「おためし地域留学」 in 北海道平取町(2025年)
「おためし地域留学」とは?
「おためし地域留学」は、「地域みらい留学」を推進する地域・教育魅力化プラットフォームが全国170以上の地域と築いてきたネットワークを活用し、地域の学校・自治体・ローカルプレーヤーと連携して初めて実現できる、”ここでしか得られない本物の体験”を提供するプログラムです。
アイヌ文化と人の温かさにふれた2泊3日
2025年7月、北海道平取町で「おためし地域留学」を開催しました。
東京・神奈川・千葉・大阪・北海道から10名の中学生が集まり、2泊3日のプログラムを通じてアイヌ文化や地域の自然、平取高校の高校生との交流を体験しました。
自然豊かな町と温かい人々との出会いは、参加した中学生にとって忘れられない時間となりました。普段の学校生活とはまったく違う空気の中で、同世代の仲間や地域の大人と共に過ごした時間は、新しい学びと発見に満ちていました。

開催概要
開催地域:北海道平取町
開催日程:2025年7月19日〜7月21日(2泊3日)
参加者:中学3年生7名、中学2年生3名(東京・神奈川・千葉・大阪・北海道から)
宿泊先:ゲストハウス二風谷ヤント
協力:平取町役場、平取高等学校、平取アイヌ文化保存会、地域農家・住民の皆さん
プログラムレポート
<1日目>
全国から集まった中学生たちは、新千歳空港に降り立ちました。
迎えてくれたのは、平取町役場の方々と平取高校のコーディネーター、そして地域みらい留学で平取高校に通う先輩たち。空港から町へ向かうバスに同乗した高校生との会話は、初対面の緊張をすぐに和らげてくれました。笑い声や質問が飛び交い、移動時間はあっという間に過ぎていきました。

最初に訪れたのは「二風谷コタン」。
ちょうどこの日は二風谷コタンDAYというイベントが開催されていたので、みんなで参加しました。
平取アイヌ文化保存会による古式舞踊は、力強くも優雅な舞で、見ているだけで心が揺さぶられます。最後には中学生も輪に入り、一緒に舞踊を体験。リズムに合わせて体を動かすうちに、自然と表情がほころんでいきました。

会場で行われていたスタンプラリーには、高校生とグループを組んで挑戦。すべてのスタンプを集めた達成感とともに、アイヌの伝統的な首飾りキットを受け取ると、みんな誇らしげな笑顔を見せていました。

続いて訪れたアイヌ文化博物館では、衣装や生活用品を通して人々の暮らしを学びました。学芸員の方の解説に耳を傾けながら、文化の奥行きと生活に息づく知恵を実感しました。
自由時間には、中高生が一緒に広場で鬼ごっこ。最初は遠慮気味だった子も、汗だくになって走り回るうちにすっかり打ち解け、気づけば大きな笑い声が響いていました。

夕食はチセ(アイヌの住居)で、アイヌの伝統料理をふんだんに使ったお弁当をいただきました。普段口にしない食材や味付けに驚きつつ、文化に触れる食体験を楽しみました。
夜はゲストハウスに戻り、カードゲームや「ゴールデンカムイ」を読みながら、初日の夜を過ごしました。互いにまだ知らない部分を残しつつも、確実に距離が縮まっていくのを感じられる夜でした。

<2日目>
2日目の午前は、アイヌの伝統料理「シト」づくりから始まりました。臼と杵を使い、イナキビを粉にしていく作業にはコツのいるものでしたが、保存会の方々に教えてもらったアイヌの歌を口ずさみながらリズムに合わせて、みんな笑顔で取り組むことができました。中には動物や星形を模した形を作る子もいて、自由な発想があふれていました。


昼食は平取高校「トマトクラブ」の高校生と一緒に、平取トマトをたっぷり使ったタコライス作り。調理を進める中で、高校生が学校での活動や普段の暮らしについて語ってくれ、中学生たちは真剣に耳を傾けていました。完成した料理は彩り鮮やかで、口に広がるトマトの甘みと酸味に思わず笑顔がこぼれました。休憩時間にはまちを散策し、洋菓子店でアイヌ紋様のクッキーを味わうグループもありました。


午後はトマト農家・田村さんのハウスを訪れました。真っ青な実を目にして驚きながら、収穫体験に挑戦。出荷される実を一つひとつ丁寧に選び取る姿は真剣そのものでした。田村さんからは農家になった経緯や平取町での暮らし、トマトづくりに込める想いなどを伺い、農業がまちの営みと強く結びついていることを学びました。

夕方は平取高校へ。学校の説明を受け、校舎を見学したあと、地域の方々や高校生と一緒にBBQ交流会を楽しみました。びらとり和牛などの平取町の特産品をふんだんに使った料理が並び、舌鼓を打ちながら自然と会話も弾みました。高校生による古式舞踊の披露では、舞の美しさに会場が一体となり拍手が沸き起こりました。

宿に戻ってからも「まだ寝たくない」とおしゃべりや交流が続きました。広間に集まり、スタッフが「もう寝るよー!」と声をかけるまで、平取で楽しかったこと、自分の地元のこと、将来の夢など、たくさんのことについて語り合いました。

<3日目>
最終日の朝は「アイヌの森」を散策。静かな森の中で、仲良くなった仲間とおしゃべりしながら歩く時間は、2泊3日のつながりを実感するものでした。大きなハスの葉を見つけると、コロポックルになりきって写真を撮る姿もあり、自然の中で遊び心がはじけました。

最後は振り返りの時間。3日間の印象に残ったことを語り合いました。
「高校生が優しく接してくれた」「自然が多くて魅力的だった」「アイヌ文化をもっと知りたい」といった言葉が次々に出てきました。
発表の場面では、一人ひとりが自分の言葉で思いを伝えました。
「平取町や高校で学ぶと優しい人たちと楽しく生活できると思った」
「豊かな自然にふれながら過ごせることが魅力だと思った」
それぞれの言葉は、この2泊3日で得た実感そのもの。聴いていた地域の方々や高校生の表情も温かく、会場全体が柔らかな空気に包まれていました。


まとめ
平取町で過ごした2泊3日は、ただの体験ではなく、文化や人、自然と心を通わせる時間でした。アイヌ文化に触れ、豊かな自然を体感し、地域の人々と笑い合った思い出は、これからの学びや将来を考える大きなきっかけとなるはずです。
「また来たい」「人が温かかった」という参加者の声の通り、平取町には人を惹きつける力があります。来年度もきっと、新しい仲間との出会いと学びがここで待っています。ぜひ、あなたも平取町での「おためし地域留学」に参加してみてください。

