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映画「ストレンジダーリン」「DROP/ドロップ」「顔を捨てた男」ハリウッドの大作じゃないやつどんどん見せてくれ!

映画を次々に見ているのに書くのを怠けていたら溜まってしまったので3作まとめて書く。これが3つともすっごくいい映画だったのだよ。

全6章の3章から始まる「ストレンジダーリン」

なるほど、こんなストーリーテリングもあるのかという映画。というのは・・・しまった!説明しようとするとネタバレになってしまう。最初にこの映画は全6章からなる、と説明が出てきて、いきなり「3章」と出てくる。なんだそりゃ?どういうことだよと見ていくと5章、1章、4章、2章、6章と進み徐々に全体像が理解でき、途中から始めた意図もわかるようにできている。
実際に起きた殺人鬼の事件が基になっているらしい。殺人鬼はなぜ殺人を繰り返したのか。悪魔が見えたからと言っていたがよくわからないまま終わる。そこを掘り下げたくて、もう一度見たくなる。
全体に音が不快感を煽ったり、老夫婦の謎の生活など、不可解さが張り巡らされている。ストーリーの構成だけでなく、不可解に包まれる嫌な感じを楽しむ映画だった。これ以上説明できないのでいますぐ映画館へ行こう。まだやってる。

高級レストランでデートなのに脅される私「DROP/ドロップ」

夫を悲惨な事件で亡くしたシングルマザーが、幼い息子を預かるから行けと妹にデートに送り出される。高層ビルの最上階の高級レストランで落ち合ったのは、マッチングアプリで惹かれたナイスガイのカメラマンだった。ウキウキだが、スマホにドロップアプリを通じてキモいメッセージが来る。最初はナイスガイとも共有していたが、メッセージで不穏な指令が飛んで来た。もうナイスガイには言えないと、孤独に奮闘する主人公。徐々に言動がおかしくなってきて周囲から不審がられる。というお話。
ドロップアプリとは、iPhoneのAirDropのように周囲15メートル以内のスマホとやり取りできるアプリ、ということらしい。AirDropでも電車の中で何者かから不快な画像を送りつけられる、という嫌がらせは実際に起こっている。それを本格的な脅迫ツールとして使うスリラー。
ちょいネタバレしちゃうけど、シングルマザーが愛する息子を人質に何者かから命令され、苦しみながら命令に応じる様が、見る者にも苦しい恐怖を与える。その基本構造がよくできている。
ツールは最新だが、主人公が1人だけ謎の犯人に揺さぶられるのは古典的で、ある意味スリラーの伝統にのっとった映画らしい映画。ほとんどレストランから出ずに物語が進むのも面白い。でも最後にちょっとした大事故と犯人との対決もあるので総合得点は高い。こういう、スリラーらしいスリラーっていいよね!

単純な反ルッキズムを超えた価値がある「顔を捨てた男」

主人公は顔中が腫瘍で覆われた、誰がどう見ても醜い男。それなのに役者を夢見る。オンボロアパートの隣に劇作家志望の美しい女性が引っ越してきて淡い恋心を抱く。
新薬の被験者になったらある日、腫瘍が取れて新しい自分に。元の自分は死んだことにして人生をやり直す。そんな主人公の前に、隣の女性が現れて醜かった自分をモデルにした芝居の公演準備をしていた。思わず役者として参加するが、元の自分のことは隠す。
ところが、まるで自分のように醜い男が現れて、やがて主人公からいろんなものを奪っていく・・・。
主人公はアベンジャーシリーズでウィンターソルジャーを演じたセバスチャン・スタン。醜い男と、そこからイケメンになった男のコンプレックスをダークに演じる。
そして新たに登場した醜い男はアダム・ピアソンという役者で、メイクではなく素顔がああいう顔なのだそうだ。上映後にそう知って驚いた。
この映画を見て「醜い外見を差別するのは良くない」と反ルッキズムのメッセージを読み取るのは勝手だが、そんな受け止め方はあまりにも表層的だ。主人公エドワードは元の自分のように醜いオズワルドが、醜いままで様々な趣味をこなし、人々から愛されることに嫉妬する。それは反ルッキズムなのだろうか?
そんなことではなく、この映画が突きつけるのは「自分」とは何か、ということではないか。エドワードは明るいオズワルドを見て、元の醜いままが本来の自分だったのではと苦悩するのだ。だからオズワルドを口汚く批判した男にナイフを向ける。おれのことを馬鹿にするなと心の底から怒ったからだろう。
この映画、大まかなストーリーは知っていて見た。主人公はいつ腫瘍が取れるのかと思っていたら、醜い状態の寂しい男が延々描かれるので気が滅入った。前半で、徹底的に醜い自分の哀しみを観客に共感させたかったのだろう。
確かに、だからこそ腫瘍が取れて何もかもうまくいき始めた嬉しさも、元の自分そっくりのオズワルド登場後の新たな憂鬱も、前半があるからこそ味わうことができた。そうした構成のうまさもよくできていた。
ただ最後、ちょっとわからなかったのだけど、あのレストランで主人公は何を感じたのか?誰か教えてください。

さて、ハリウッド映画が私は好きなのだが、マーベルやDCのヒーロー大作はいささか食傷気味だ。どちらかというと、ハリウッドでもこの3作のような個性的で作家性も強い映画が好きだ。
このところハリウッドは元気がなくこの手の作品が少なかった。また日本ではもうハリウッド作品が必ずしも好まれなくなって公開作も減っているように思う。
でも配給会社の皆さん、頑張ってこういう中小の佳作を日本でも見せてください。おれが絶対見るからね!

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