最近相撲を好きになった人が、羨ましくてならない。
それは恋愛とか、結婚に似ていると思っている。
私は、相撲界に恋をして、結婚した。
病める時も健やかなる時も、愛してきたし、その思いは一生変わることが無いと思う。
夫との結婚生活は、今月で21年。
でも、相撲界との結婚生活の方がずっと長くて、33年のお付き合いとなる。
今は、相撲に対して、とても穏やかな気持ちで見守っていられる。白鵬が協会を去っても、伝えたいのは愛と感謝のみ。
私には、語ることなんて、何も無い。
彼のことを尊敬し、心から信頼している。
色々あった朝青龍、日馬富士も、ずっと可愛い。貴乃花も若乃花も。大横綱は、みんな協会を去ったけれど、いいのだ。
みんな、なんだかんだで相撲を愛し、今でも相撲界に貢献し続けている。
亡くなってしまった曙も、私の心には、ずっと住んでいる。
誰一人欠けていても、今の相撲界は無かった。
頂点を極めた相撲の神が、歴史を紡いできた。
横綱も人間だ。時に迷い、道から逸れてしまうこともあるが、それさえも話題にのぼることによって、相撲界の伝統に目が注がれるなら、良いのではないかとも思う。
相撲に恋を始めた人の熱量は、高い。
あらゆる情報を集め、寝ても醒めても、相撲のことばかり。
知らないということが不安で、好きな力士のことに始まり、技や作法、裏方さんの仕事も、歴史も、ちゃんこも、相撲にまつわることは、全部全部、知りたくなる。
「東海大相模」なんてワードを見つけようものなら、勝手に脳内が「え?東海大相撲?」って勘違いする。それは相撲に恋をした兆候だ。
私が今の時代に相撲に恋を始めたなら、きっと雑誌もYouTubeも Xも、全部追いかけてしまうだろう。相撲と名のつくもの全て。
あまりの高熱に、「相撲依存症」と診断を受け、長期入院になるかもしれない。
相撲を好きになり始めた10代の頃の、あんなに恋焦がれた気持ちには、戻れない。
修学旅行の京都のホテルにまで、大相撲力士名鑑を携帯し、枕元に置いて眠った。
(今もそうだけれど。)
今は、相撲番組を見逃しても、録画を忘れても、そんなに執着していない。
そのことが、少し寂しくもあり、深い愛を再確認する瞬間でもある。
恋に夢中で、彼を知りたくてたまらなくて、少しでも長く一緒にいたくて、会えないと切なくて。
そんな頃には、もう戻れない。
最近相撲を好きになった人が、羨ましくてならない。
地方巡業で、きゃあきゃあキュンキュンしてみたい。今の私は、そっと遠くから視線を送り、惜しみない拍手を届けるだけ。
力士達が土俵上で円になって唄う、相撲甚句。
「ハァーせっかく馴染んだみなさまと
今日はお別れせにゃならぬ
いつまた何処で会えるやら
それともこのまま会えぬやら
思えば涙がパラーリパラリと」
一緒に感極まって泣いたあの頃のみずみずしさは、遠い昔の夏の記憶。
今は、おかみさんのような気持ちなのかもしれない。
相撲に恋を始めたなら、愛に変わるまで、存分に愉しんでください。
あなたが相撲に恋する文章を読むのが、今は、とても幸せなのです。
私を見つけてくださって、ありがとうございます。ああ、こんな日が来るなんて。
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