自律神経シリーズ Vol.016|毎日出ていても便秘かも?自律神経・直腸感覚・骨盤底から考える慢性便秘

「数日間、便が出ない」
「毎日出ているけれど、すっきりしない」
「便が硬く、強くいきまないと出ない」
「出口で引っかかっている感じがする」
このような状態には、慢性便秘症が関係していることがあります。
便秘というと、排便回数が少ない状態を想像するかもしれません。
しかし、毎日排便があっても、
・強くいきまないと出ない
・便が硬い
・排便に時間がかかる
・残便感がある
・出口が塞がっている感じがする
といった症状が続いていれば、便秘に含まれる可能性があります。
便秘は、単に「腸の動きが悪い」「食物繊維が足りない」だけではありません。
便意を感じる直腸の感覚、呼吸、腹圧、骨盤底筋、姿勢、自律神経、生活リズムなどが複雑に関係しています。
忙しい女性に多い「便意の我慢」
30代・40代の女性は、仕事、家事、育児などに追われ、自分の排便を後回しにしてしまうことがあります。
朝に便意があっても、
「子どもの準備をしなければならない」
「仕事に遅れそう」
「外のトイレでは落ち着かない」
などの理由から、便意を我慢してしまうことも少なくありません。
便が直腸へ移動すると、直腸の壁が広がり、その刺激が脳へ伝わることで便意を感じます。
しかし、便意を繰り返し我慢すると、次第に便意を感じにくくなる場合があります。
便意を逃す
↓
便が腸内に長く留まる
↓
水分が吸収されて便が硬くなる
↓
排便時に痛みや強いいきみが起こる
↓
さらに排便を避ける
このような悪循環につながります。
女性では月経周期や妊娠・産後の変化、運動量の低下、食事量、睡眠不足などが便通に影響することもあります。
「身体のリズムが乱れているだけ」と我慢せず、便の硬さや残便感、排便時の負担にも目を向けることが大切です。
骨盤底筋は鍛えるだけではありません
骨盤底筋は、膀胱、子宮、直腸などを下から支える筋肉です。
尿漏れ予防などでは「骨盤底筋を締める運動」が紹介されることが多いですが、排便時には骨盤底筋を適切に緩める必要があります。
排便するときには、
・横隔膜が動く
・腹圧が高まる
・直腸が収縮する
・肛門や骨盤底筋が緩む
・身体が軽く前傾する
という動きが協調して行われます。
ところが、いきむ時に骨盤底筋が緩まず、反対に締まってしまうと、便が出口まで来ていても排出しにくくなります。
このような場合、腹筋や骨盤底筋を強く鍛えるだけでは、かえって力が抜けにくくなることがあります。
必要なのは、力の強さだけではなく、適切なタイミングで「緩められること」です。
子どもの便秘は「我慢のサイン」に注意
子どもの便秘も珍しくありません。
一度、硬い便で痛い思いをすると、子どもは次の排便を避けようとします。
・足を交差する
・お尻を強く締める
・つま先立ちになる
・部屋の隅へ隠れる
・トイレへ行きたがらない
このような行動は、いきんでいるように見えて、実際には便を出さないように我慢している場合があります。
便を我慢するとさらに硬くなり、次の排便も痛くなるため、悪循環が続きます。
保護者の方が、
「どうしてトイレに行かないの?」
「野菜を食べないからだよ」
と責めてしまうと、子どもはさらに排便に不安を感じることがあります。
便秘の背景には、排便時の痛みだけでなく、学校や園のトイレが苦手、音やにおいが気になる、姿勢が安定しない、生活環境が変わったといった要因が隠れていることもあります。
まずは子どもが便秘をわざとしているのではないことを理解し、安心して排便できる環境を整えることが大切です。
自律神経と便秘の関係
大腸の運動や分泌、血流は、腸管神経系と自律神経によって調節されています。
睡眠不足、仕事や育児の負担、環境の変化、強い緊張などが続くと、身体が休息へ切り替わりにくくなります。
すると、
・呼吸が浅くなる
・お腹に力が入り続ける
・便意に気づきにくくなる
・排便時にも力を抜けない
といった状態につながる可能性があります。
ただし、便秘のすべてが自律神経だけで起こるわけではありません。
食事量、水分、薬の影響、甲状腺や神経の病気、大腸や直腸の問題などが関係する場合もあります。
オステオパシーではどう考えるのか
森田治療室では、便秘という症状だけを追いかけるのではありません。
・頭頸部と自律神経系
・胸郭、肋骨
・横隔膜と呼吸
・腹壁の緊張
・腰椎、仙骨、骨盤
・骨盤底と腹圧の協調
・股関節と排便姿勢
・睡眠や生活リズム
などを総合的に評価します。
オステオパシーでは身体全体を評価し、神経・呼吸・循環・関節・筋膜などが働きやすい身体環境を整えることを目的としています。
目標は、施術後に一時的に便を出すことではありません。
便意に気づき、無理にいきまず、自然な排便につながる「余裕のある身体」を目指します。
日常生活で意識したいこと
便意を感じた時は、できる範囲で後回しにしないようにします。
朝食後は腸が動きやすいため、数分間トイレへ座る習慣をつくるのも一つの方法です。
足が床につかない場合は足台を使用し、膝を股関節より少し高くして、軽く前傾すると排便しやすくなることがあります。
食物繊維は大切ですが、急に増やすとガスやお腹の張りが悪化することがあります。
水分、食事量、活動量も含めて、少しずつ調整してください。
下剤を使用している方は、「癖になるのでは」と自己判断で中止せず、医師や薬剤師へ相談しましょう。
医療機関へ相談してほしい症状
次のような症状がある場合は、自律神経や体質の問題と判断せず、消化器内科や小児科へ相談してください。
・血便、黒い便
・意図しない体重減少
・貧血や発熱
・強い腹痛や嘔吐
・急に始まった便秘
・子どもの成長や体重増加の低下
・乳児期から続く強い便秘
便秘は、回数だけで判断するものではありません。
腸の動き、便意、直腸感覚、呼吸、腹圧、骨盤底、姿勢などが協調して、初めて自然な排便につながります。
岡山・倉敷の森田治療室では、大人だけでなく、便秘を繰り返す子どもの身体も全身的に評価しています。
※本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療の代わりとなるものではありません。
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