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終わってるオッサンの独り言 過去編【059】新店オープン!の巻

もはやこの頃のオッサン、

まぁまぁ普通に店長として結果を出し、
まぁまぁ普通に店も回せるようになっていた。
売上も平均600万円

「あれ?オレ、もしかして店長向いてるんちゃう?」
くらいには調子に乗ってた頃である。

そんなある日、本社の人間から連絡が入った。
「ちょっと相談っていうか報告なんだけど、近くにいい物件が空いたから出店することになったわ」

「ほう、どの辺ですか?」

「お前の店から歩いて5分くらい」

「えっ!? なんすかそれ?」

いやいやいや。
近すぎるやろ。
それ、出店っていうか半分ケンカ売っとるやん。

すると本社の人間は、まるで何の問題もないかのように続けた。
「いや、今の店って裏路地じゃん?
新しい店は大通り沿いで、めっちゃいい場所なんだよ。
席数も30席くらいあって、売上1200万は堅いと思うんだよね~」


「それはわかるんですけど……
こっちの売上、どうなると思います?」

そら気になるやろ。
自分が必死こいて育ててきた店のすぐ近くに、
もっと条件のいい新店を出すって言われてるんやから。

すると返ってきたのがこの言葉。

「いや、なんとかなるでしょ?
っていうかコンセプト全然変えてオープンするから大丈夫だよ!
名前は一緒だけど」

「どういうことですか?」

「今の店はつけ麺と醤油豚骨メインでしょ?
新店舗は新メニューをたくさん作って、
北海道から九州まで各地のラーメンを食べられる感じのコンセプトにするんだよね。だから、つけ麺とかはやらないの」

「なるほど……ならいいですね!」

「そんなの社長もわかり切ってるよ!
お前のこと潰すようなことするわけないじゃん!
しかも“ドミナント効果”って言って、
近くに店を出すことで相乗効果で売上アップも考えられるんだよ!」


「なるほど、了解いたしました」

今思えば、
この【なるほど】
まったく納得してない人間が言う【なるほど】である。

でも当時のオッサンは、
まだ会社というものをちょっと信じていた。

「じゃ、またよろしくね!」

そんな感じで話は終わり、
新店は予定通りオープンした。
そして1カ月後――。
結果から言うと、
心配していたうちの店の売上は、
まったく大きく下がらなかった。
むしろ、なんやったら650万(笑)


「あれ? ぜんぜん大丈夫やん」
問題は新店のほうだった。
正直、正確な売上は知らん。
でも、評判はすこぶる悪かった(笑)

うちの店に来るお客さんから、次々と報告が入る。
「あっち行ったけど、全然うまくなかったよ」
「こっちに比べて店長がなんか感じ悪いねん」
「あっちはダメだね。すぐ潰れると思うよ」
……もう言われ放題である。

まぁ、うちの常連さんやから
多少こっち贔屓に見てくれてた部分はあると思う。
でもそれを差し引いても、
【なんかあっちは違う】
って空気が出まくってたんよね。
しかも店長が、よりによってあの男。

プライドだけが命のあんぽんたん人間、
たくや君(笑)


一応オープン前に
「それ、やめたほうがいいんじゃないですか?」
とは反対してあげた。

でもまぁ、本社が決めたことやし、
あとはどうなるか見守るしかなかった。

で、結果は――
まぁ、やっぱりな。
である(笑)

そんな中、お客さんから聞いた話で
一番衝撃的やったのがこれ。
「あっちの店、大丈夫?
めっちゃ暇そうにしてて、
店長っぽい人がお店の前でハトに餌あげてたけど……」

……いや、ダメだろ(笑)
飲食店の店長が、
店先でハトと交流してる場合ちゃうねん。
ラーメンの研究しろ。
接客見直せ。
せめて掃除しろ。
ハトと信頼関係を築いてどうすんねん(笑)

そら売上も最悪なんやろなと思った。
さすがに心配になったオッサンは、
一応社長に連絡した。
「新店の売上、大丈夫ですか?
たくやの悪い噂、めっちゃうちのお客さん言うてますけど」

すると社長は少しトーンを落としてこう言った。
「おう、ありがとう。いや、実はよくないんだよ……
今いろいろ施策も考えててなぁ

「あー、そうですか。
また何か力になれることがあったら、いつでも言ってください!
できる限りは協力しますので!」

「おう、ありがとう! 頼むぞ!」
「はい!」
このとき社長が言っていた
【施策】
それが、とんでもない施策だったと気づくのは、
もうちょい後の話。
続く

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