【2026年トレンド予測】気候変動と品種の世代交代がもたらす、食卓の変化ーゆうだい21、サンシャインレッド、ぐんま名月
あっという間に年の瀬ですね!今回は、2026年の農産物トレンド予測について書きます。気候変動や消費者の嗜好の変化など様々な潮流に伴い、農産物、ひいては私たちの食卓がどう変わっていくのか予測します。
メディア関係者の方には「次に取材すべきネタ」として、生産者の方には「作付け戦略のヒント」として読んでいただければ幸いです!
☀️ 「暑さ対応型」品種の本格的な席巻
「暑すぎて色づかない」「高温障害で品質が落ちる」。ここ数年、多くの生産現場で記録的な猛暑への悲鳴が上がっています。2026年は、高温耐性を持った品種の存在感がますます増していくと考えられます。
🍚「白くなるお米」からの脱却、"ゆうだい21"の台頭
記録的な猛暑により、お米が白く濁る(白未熟粒)被害が多発しましたが、ここで評価が急上昇しているのが「ゆうだい21」などの高温耐性品種です。
「ゆうだい21」は単に暑さに強いだけでなく、モチモチとした食感が現代人の好みにマッチ。今年12月上旬に開催された、お米の品評会の中でももっとも権威のある「第27回米・食味分析鑑定コンクール」でも、金賞を受賞したお米42点のうち、なんと31点がゆうだい21!

お米は "コシヒカリ一強時代"が長く続きましたが、"ゆうだい21”が次世代のニュースタンダード品種になっていくと考えています。
🌕"ぐんま名月"などの「黄色いりんご」の定着
りんごと言えば「赤」のイメージですが、美しい赤い色を出すには冷え込みが必須。近年は温暖化で「美しく赤く仕上げるのが難しい」状況が続いています。
そこで台頭しているのが、"ぐんま名月"をはじめとした「黄りんご」。着色管理の手間が省けるだけでなく、「ぐんま名月」などは、はちみつのような甘さで、某テレビ番組でマツコデラックスさんが「天下を獲れる味」と絶賛したほどの食味のよさ!

「赤くないと売れない!」は過去の話。2026年には、「黄色いりんご」が「おいしさ」で選ばれていくはず。
🍇不可逆的な「品種の世代交代」
各品目を代表する品種が、確実に世代交代をしつつあります。味の優劣だけではなく、栽培のしやすさや現在への気候・物流への適正など様々な背景で世代交代が進んでいます。
🍒さくらんぼ:佐藤錦→紅秀峰
さくらんぼの王様といえば「佐藤錦」でしたが、近年立て続けに不作に見舞われています。そんななか、台頭してきたのが「紅秀峰」。紅秀峰は、まず糖度が高く大粒 という現在の消費者の嗜好にあっています。それだけではなく、「輸送に向くー贈り物に向く」というのが紅秀峰の強み。皮がかたく実が締まって完熟後に実が柔らかくなりにくく、日持ちが良いため、贈りものとしても安心。
そもそもさくらんぼが「ギフト需要」が非常に高い果物ですから、輸送に向く品種である「紅秀峰」が台頭するのは必然といえます。
🍇ぶどう:シャインマスカット→サンシャインレッド、クイーンルージュ、クイーンニーナ、クイーンセブンなど
シャインマスカットは「育てやすい・おいしい・高単価で売れる」まさにぶどうの革命児でしたが、その育てやすさゆえにここ数年は供給過剰の状態が続いています。
ぶどうの育種家や生産者さんたちは、シャインマスカットバブル崩壊を見越して、シャインマスカットを親にした品種の育成や栽培に挑戦しています。
群雄割拠の「ネクストシャインマスカット」の中でも注目なのが、今年の「食べチョクぶどうグランプリ2025」で最高金賞に輝いた「サンシャインレッド」。

「サンシャインレッド」は2025年時点では山梨県限定品種のため、生産量の急増は見込めないものの、その甘さや上品な香りの良さは次世代ぶどうの中でも随一。「単純に甘い!」ではなく、上品な甘さや余韻が魅力です。
また、キャンディのような甘さの「クイーンセブン」も、いちご界の「あまりん」のような存在になれると考えています。
総じて、シャインマスカットは「皮ごと食べられる赤系ぶどう」に世代交代しつつあると言えます。赤系ぶどうが台頭している背景については、先日農業共済新聞さまに寄稿させていただきましたが、またどこかでご紹介できたらと。
先日農林水産省が発表した、「2025年農業技術10大ニュース」にも「サニーハート」というシャインマスカットを親にした赤系ぶどうの新品種誕生のニュースがランクインしていました。
🍓とちおとめ→とちあいか
関東で「いちご」といえば「とちおとめ」でしたが、急速に「とちあいか」への転換が進んでいます。大手お茶専門店「LUPICIA」のとちおとめフレーバー茶が、とちおとめ減産により終売というニュースも衝撃的でした。
長年、ご愛顧いただきました「とちおとめ」のお茶🍓
— LUPICIA ルピシア (@LUPICIA_jp) December 19, 2025
天然由来の香りにこだわり、お届けしてきましたが、「とちおとめ」の生産量減少のため今季で終売します。
これまでの感謝を込めて、最後の「とちおとめ」のお茶をご用意しました。
旬の苺の香りをお楽しみください☕https://t.co/10WsXSEzP3 pic.twitter.com/WpzapBgJNN
「とちあいか」は甘味が強く、実が大きく、収穫量も多く、そして病気や暑さに強い、何拍子もそろった期待の新星です。流通向きの品種のため、これまでの「いちごといえばとちおとめ」という常識が、今後か「いちごといえばとちあいか」に切り替わっていくはずです。
いっぽう、いちごは各自治体や民間企業の育種も盛ん。品種登録数は出願中のものも含めると450品種を超え、まさに「戦国時代」の様相です。
食べチョクでは今年度で第三回目となる全国いちご品評会「食べチョクいちごグランプリ2026」を2月に開催します。第一回目はやよいひめ、第二回目はほしうららが最高金賞。第三回目は、どの品種が選ばれるのか、今から楽しみです。
👛進む「品種指名買い」
「いちごをください」「ぶどうを買いたいです」という買い方は過去のものになりつつあります。
コンビニのアイスクリームやお菓子、ジュース売り場を見渡せば、かつては「桃アイス」「りんごグミ」などとして売られていたのに、今では「黄金桃アイス」「シナノゴールドグミ」など、品種名まで書いた状態で販売されています。

消費者も、自分の好みにあった「品種」を指名買いする時代になりつつあります。2026年は、この傾向がさらに加速し、「品種名=ブランド」としての地位が確立していくはずです。
まとめ
気候変動への適応や品種の世代交代により、私たちの食卓は徐々にコシヒカリからゆうだい21、ぶどうはシャインマスカットから赤系ぶどうに変わっていくかもしれません。
2026年の農産物は、ますます「気候変動」という地球規模の課題にどう対応するかを求められてくると予測します。生産現場では新しい品種や栽培方法の導入が進んでいますが、その実情が消費者にまだまだ伝わっていないと感じています。
「ゆうだい21」や「黄色いりんご」を買うことは、おいしいだけではなく、生産現場にも優しい選択肢であるということも伝えていけたら…と思っています。2026年、新しい「おいしい」を一緒に広めていきましょう。
