【読了】 #105 『カラオケ行こ!』
『カラオケ行こ!』
著:和山 やま
この漫画、ずっと変な空気で進む。
いや、“変”というより、
緊張と脱力のバランスがおかしい。
合唱部の中学生・岡聡実と、
ヤクザの成田狂児。
普通なら絶対交わらない二人なのに、
「組のカラオケ大会で最下位を回避したい」という理由だけで繋がる。
設定だけ見るとギャグ漫画っぽい。
実際めちゃくちゃ笑える。
でも読んでいくと、だんだん気づく。
この作品、本当に描いてるのは
“うまく大人になれない人たち”なんだと思う。
狂児って、ヤクザなのにずっと不器用だ。
怖そうに見えるのに、妙に礼儀正しいし、
歌は下手だし、聡実に対して変に誠実。
しかも、“怖い大人”として振る舞いきれていない。
だから読んでるうちに、
ヤクザなのにどんどん“近所のおもろい兄ちゃん”みたいに見えてくる。
でもそのズレが、この作品の魅力なんだと思う。
一方で聡実も、めちゃくちゃ中学生っぽい。
ちょっと冷めてる。
大人を斜めから見てる。
でも、本当はかなり真面目。
合唱に対しても、変声期に対しても、ちゃんと悩んでる。
つまりこの二人、年齢も立場も全然違うのに、
どこか似てる。
“自分の声”に悩んでるんだよな〜〜〜
これ、この作品のタイトルとも繋がってる気がする。
『カラオケ行こ!』って、
めちゃくちゃ軽い誘い文句なのに、
実際やってることは「声」の話なんだと思う。
歌がうまいか下手かじゃなくて、
どんな声で生きていくのか。
変声期で声が変わっていく聡実。
ヤクザ社会の中で“強そうな声”を求められる狂児。
どっちも、自分の声とズレながら生きてる。
あと、この作品の好きなところは、関係性を“説明しすぎない”ところ。
友情なのか、保護なのか、憧れなのか。
簡単に名前をつけない。
だから余計にリアル。
人間関係って、本来これくらい曖昧なものだよな〜〜〜〜〜と思う。
何気ないやり取りなのに、ずっと“間”が生きてる。
変な沈黙。
微妙な空気。
ちょっとズレた返答。
それが全部リアルで、めちゃくちゃ笑える。
なのに時々、急に寂しくなる。
特に終盤。
聡実にとって狂児との時間って、
ただの“変な思い出”で終わるはずだった。
でもきっと、人生のどこかでずっと残り続ける。
中学生の頃に出会った、理解不能で、ちょっと怖くて、でも妙に優しかった大人。
読み終わったあと、爆笑したはずなのに、少しだけセンチメンタルになる。
たぶんそれは、この漫画が「青春」と「しょうもなさ」を同じ熱量で描いてるからだと思う。
#カラオケ行こ #和山やま
#読了#読書#読書記録#読書日記#読書部#読書メモ#読書感想文#本のある暮らし#読書好きな人と繋がりたい#本スタグラム#本紹介#おすすめ本
#本屋大賞
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! 