#偏見を壊すnote|3.引き出しの奥にしまわれたままの制度
制度について考えるとき、
それが「なかった」のか、
「届かなかった」のかは、
案外、区別しにくいものです。
何も決まらないまま時間が過ぎ、
気づけば話題に上らなくなっていた。
そんな経験から、
この回は始まります。
この連載は、
その距離を言葉にしていく記録です。
知られていない制度は、存在しないのと同じ
制度は、あるかどうかだけでは語れません。
知られているかどうかで、
受け取られ方は大きく変わります。
どこかに書かれている。
資料として残っている。
それだけでは、
選択肢にはなりませんでした。
知られていなければ、
思い出されることもありません。
話題に上らなければ、
検討される機会も生まれません。
制度は確かに存在しているのに、
知られていないという理由だけで、
最初から無いもののように扱われてしまう。
そんな距離が、静かに生まれていました。
書類にはあるのに、現場に届いていないもの
制度は、文章としては整っていました。
要件も手順も、
書類の中にはきちんと書かれていました。
けれど、その内容が、
日々のやり取りの中で
自然に共有されていたかというと、
そうではありませんでした。
忙しい現場では、
目の前の対応が優先されます。
書類の内容を一つひとつ確認する余裕が、
常にあるわけではありません。
その結果、
制度は「知られていない」まま、
話題に上らない状態が続いていました。
存在していても、
実際の判断には使われない。
そんな距離が、ここにもありました。
制度の話が、途中で止まっていたこと
制度の名前が、
一度も出なかったわけではありませんでした。
話の流れの中で、
ふと触れられたことはありました。
けれど、その先が続くことはありませんでした。
条件の説明までたどり着かず、
使えるかどうかの話にも進まないまま、
別の話題へと移っていきました。
誰かが意図的に止めたわけではありません。
ただ、その場では、
急ぎの話や目の前の対応が優先されました。
制度の話は、
後でまた、という位置に置かれたままでした。
一度止まった話題は、
改めて持ち出すきっかけを失います。
そのまま時間が過ぎると、
制度は「話されなかったもの」として、
静かに置かれていきました。
忙しさの中で、共有されなかった話
共有されなかったのは、
悪意があったからではありませんでした。
隠そうとしたわけでも、
伝えないと決めたわけでもありません。
日々の現場は、
いつも多くのことで動いています。
目の前の対応、急ぎの判断、
その積み重ねの中で、
制度の話は後回しになりやすいものでした。
一つひとつの確認には時間がかかります。
説明するにも、整理するにも、
余裕が必要です。
その余裕が持てないまま、
話題は次へと流れていきました。
忙しさの中で、
伝えるはずだった話が、
いつの間にか共有されないまま残る。
それは、特別な出来事ではなく、
起こり得る日常の一部でした。
制度より先に、話題が終わってしまった日
制度が使えないと決まったわけではありません。
条件に合わないと判断されたわけでもありません。
ただ、話題が終わってしまいました。
その日のやり取りの中で、
別の用件が入り、
別の判断が優先され、
制度の話は、そこで一区切りになりました。
一度終わった話題は、
改めて持ち出すのが難しくなります。
「今さら聞いていいのだろうか」
そんな迷いが生まれ、
そのまま時間が過ぎていきました。
制度は、
引き出しの奥にしまわれたまま、
再び開かれる機会を待つことになります。
話題に上らなくなった時点で、
制度は、生活から少し離れた場所へと
置かれていきました。
こうして、
使われなかった制度ではなく、
話されなかった制度として、
記憶に残ることがあります。
✎*・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話されなかったことも、
決まらなかった時間も、
何もなかったわけではありません。
名前が付かなかっただけで、
確かに、そこにありました。
📌 #偏見を壊すnote
制度は、知っているかどうかで届き方が変わります。
話題に上らなかった制度は、
選ばれなかったのではなく、
選ばれる前で止まっていたのかもしれません。
「#偏見を壊すnote」シリーズ、次は「支援との時間」の話に続きます。
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