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東京に1000億円、地方は後回しのまま「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」?

私はこれまで、福島県の地方自治を見続けながら、「本当に必要なところに税金が使われているのか」を問い続けてきました。

歩行器を必要とする障害者への支援が十分に行き届かない。

子育て世帯は物価高に苦しみ、介護現場は人手不足に悩み、地方の公共インフラは老朽化している。

そんな現実がある中で、国はまたしても東京に巨額の税金を投入しようとしています。

それが、今回の「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の一部を改正する法律案」です。


「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」とは何か

今回の法改正の最大の目玉は、「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)」構想です。

東京・恵比寿の旧防衛研究所跡地という一等地に、世界最高水準のイノベーション拠点を整備しようという計画です。

そのために新たに「先端技術研究成果活用推進機構」という認可法人を設立し、

  • 研究開発支援

  • スタートアップへの出資・融資

  • 知的財産支援

  • 人材育成

  • 海外研究者招へい

などを行うとされています。


問題は、その規模です。

すでに関連基金として636億円。

施設建設費は約970億円。

さらに恵比寿の国有地まで無償貸付。

実質的には1000億円を超える国家プロジェクトです。

しかし私は、この構想に強い違和感を覚えます。

森ようすけ議員の鋭い追及

6月17日の衆議院内閣委員会では、国民民主党の森ようすけ議員が、この法案の問題点を鋭く指摘しました。

森議員はスタートアップ経営の経験を持つ実務家とのことです。

その視点から、

「なぜ既存施策の検証も不十分なまま新たな箱物を作るのか」

と問いただしました。

特に私が重要だと感じたのは、

基金636億円がほとんど使われていない

という点です。

国は緊急性を訴えて予算を確保したにもかかわらず、実際には多額の資金が眠ったままになっています。

それなのに新しい組織を作り、新しい建物を建設しようとしている。

これは企業経営で言えば、倉庫に在庫が山積みなのに新しい倉庫を建てるようなものです。

まず既存の仕組みを見直すのが先ではないでしょうか。

1. 基金の概要と積み立て経緯

  • 総額:約636億円

    • 2022年度補正予算:66億円

    • 2023年度補正予算:570億円

    • 合計:636億円

  • 目的:GSC構想の本格始動前に、研究プロジェクトの立ち上げや運営体制整備などの「先行的活動」を進めるための資金。

  • 管理主体:JST(科学技術振興機構)が基金管理を行っています。

2. 現在の運用・執行状況(2026年6月時点)

森ようすけ議員の質疑で明らかになった執行状況は以下の通りです。


まず2022年度は66億円の予算を計上しておきながら、執行したのはたったの4万円です。
2023年度以降も余りまくっています。

  • 執行率は極めて低い(ほぼ未執行状態)。

  • 主な支出内容:人件費、事務費、基金管理関連経費 + 先行的活動の準備費用。

  • 基金は現金で保有されており、金利上昇局面でも十分に運用活用されていない状況です。

3. 今後の運用計画(政府答弁)

政府は「本格化するにつれて支出を拡大させる」と説明しています。

  • 先行的活動の3プログラム(今後3年間で約270億円執行予定)

    1. 国際研究プログラム(3年間で210億円):世界の優秀研究者を招へいし、確信的研究テーマで研究開発を推進。

    2. 事業化支援プログラム(3年間で30億円):研究成果の事業化支援、メンタリング、コミュニティ形成。

    3. 人材育成プログラム(3年間で30億円):若手研究者などの育成。

  • 年間平均執行イメージ:約90億円程度。

  • 基金の性格:先行的活動専用。GSC施設の建設費(970億円規模)には充てられない(別途財政要求予定)。

4. 問題点・懸念

  • 執行の遅れ:補正予算で「緊急性が高い」と積みながら、4年近くほとんど使われていない。

  • 成果の見通し:210億円規模の国際研究プログラムで、十分な質・量の研究者が集まるか不透明。

  • 基金の使途制限:施設建設には使えず、別途巨額予算が必要になる可能性。

  • 機会費用:638億円を低利で寝かせている状態は、税金の非効率運用と言えます。

「無償貸付」は見えない補助金

私が最も問題だと思うのは、恵比寿の一等地と巨大施設を無償貸付できる点です。

これは実質的な補助金です。

しかも国民にはその負担額が見えにくい。

毎年予算として計上されれば国会で議論されます。

しかし無償貸付という形にしてしまえば、どれだけの税金が投入されているのか分かりにくくなります。

税金の使い道は、国民が監視できる状態でなければなりません。

見えない補助金は、民主主義にとって危険です。

東京に1000億円、地方には何が残るのか

私は以前から、

「地方が衰退する最大の理由は、お金が地域外へ流出する構造にある」

と訴えてきました。

地方で働いても利益は東京本社へ。

税収も中央へ。

投資も東京へ。

若者も東京へ。

そして今回もまた、1000億円規模の国家資源が東京へ集中しようとしています。

福島県や郡山市を見れば分かります。

高齢化が進み、公共交通は縮小し、地域医療は厳しく、子育て世帯も苦しんでいる。

地方には解決すべき課題が山ほどあります。

その一方で東京には新たな巨大施設。

本当にこれが「全国民のための成長戦略」なのでしょうか。

私はそうは思いません。

本当に必要なのは地方分散型イノベーション

私は科学技術や研究開発そのものに反対しているわけではありません。

むしろ科学を学び、宇宙や物理学に関心を持ってきた人間として、技術革新の重要性は理解しています。

しかし、だからこそ言いたいのです。

なぜ東京だけなのか。

なぜ地方の大学や研究機関ではないのか。

なぜ地域産業と結びつけた分散型の研究開発拠点を全国に作らないのか。

1000億円あれば、地方大学の研究環境改善や地域企業との連携強化に大きく投資できます。

その方が日本全体の底上げにつながるのではないでしょうか。

結論

私はこの法案に反対です。

理由は単純です。

  • 巨額の税金投入

  • 不透明な無償貸付

  • 効果検証不足

  • 東京一極集中の加速

これらが解消されない限り、国民の理解は得られないでしょう。

日本が本当に豊かになるために必要なのは、東京にさらに資源を集中させることではありません。

地方が自立し、地域の中でお金が循環し、地域から新しい産業や技術が生まれる仕組みを作ることです。

私はこれからも、「地方から日本を立て直す」という視点で、税金の使い道を監視し続けたいと思います。

皆さんは、この1000億円超のプロジェクトをどう思いますか。

ぜひコメント欄でご意見をお聞かせください。

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大坂佳巨 現場取材や資料調査、地域での活動を続けながら発信しています。 「この視点は必要だ」と感じていただけましたら、応援のチップをいただけると励みになります。いただいた支援は、取材・発信活動に活用させていただきます。