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河川改修は「災害復旧」ではなく「地域経済への投資」である ― 照内川改修工事から考える郡山市の治水政策

こんにちは、大坂佳巨です。

郡山市議会には、「河川改修工事その2(準用河川照内川)」の工事請負契約議案が可決されています。


照内川は普段は小さな川ですが、令和元年東日本台風(台風19号)では流域に大きな浸水被害をもたらしました。

今回は、この工事がどのような目的で行われ、どのような技術が使われるのかを分かりやすく解説します。

まずその前に、今回成立した契約内容について説明します。

資料の「議案第97号 河川改修工事その2(準用河川照内川)」の内容を整理すると、以下のようになります。


契約の相手方は、
●開東産業株式会社 代表取締役 菅野 彰一   
郡山市大槻町字下中野4番地の2
●ダイリ建設株式会社 代表取締役 渡邉 浩章   
郡山市亀田一丁目51番11号
の2社です。


契約金額は、1億5691万5,000円です。

河川改修工事その2(準用河川照内川)の概要

1. 工事の目的

この工事は、準用河川照内川において、令和元年東日本台風(台風第19号)で発生した甚大な浸水被害を軽減することを目的としています。

照内川は郡山市富久山町福原地区などを流れる河川ですが、令和元年の豪雨では流下能力が不足し、周辺住宅地などで大きな浸水被害が発生しました。そのため、河川断面を拡大し、護岸を整備する改修事業が進められています。


2. 工事場所

郡山市富久山町福原字戸ノ内 地内で施工されます。

3. 工事内容

今回の工事区間は

  • 施工延長:約140.0m

主な工事は次のとおりです。

  • 作業土工

  • 法覆護岸工(河川護岸のブロック整備)

  • 付属物設置工

設計図によると、

  • 大型積ブロック工 約818.6㎡

  • 大型張ブロック工 約125.2㎡

  • 仮設桟橋工 一式

が施工されます。


4. 全体計画の中での位置付け

照内川全体では

約1,500m

を改修する計画となっています。

今回施工する140mはその一部であり、

  • 施工済区間

  • 現在施工中区間

  • 未施工区間

に分けながら、段階的に整備が進められています。

図面では、照内川が最終的に一級河川藤田川へ接続する流れも示されています。

5. 工期

工期は

令和9年3月15日まで

となっています。

6. 契約の概要

  • 工種:土木一式工事

  • 入札方式:事前審査型制限付一般競争入札(電子)

  • 市内業者による単体施工

  • 入札参加者:16者

  • 契約相手方:開東産業株式会社、ダイリ建設株式会社

この工事のポイント

この工事は単なる護岸整備ではなく、令和元年東日本台風で被害を受けた富久山町福原地区の治水対策として進められている事業です。

しかし、今回施工されるのは全体1,500mのうち140mに過ぎず、今後も長期間にわたり順次整備が続く計画となっています。そのため、周辺住民にとっては「どこまで改修が進んでいるのか」「残る区間はいつ整備されるのか」が重要な関心事項になると考えられます。

照内川は普段は小さな川ですが、令和元年東日本台風(台風19号)では流域に大きな浸水被害をもたらしました。

今回は、この工事がどのような目的で行われ、どのような技術が使われるのかを分かりやすく解説します。


照内川とはどんな川?

照内川は、郡山市が管理する準用河川です。

主に富久山町周辺を流れ、最終的には福島県が管理する一級河川「藤田川」へ合流します。


つまり、

照内川(市管理) → 藤田川(県管理) → 阿武隈川(国管理)

という流れになっています。

そのため、上流だけでなく下流側の河川状況も洪水対策には大きく影響します。


東日本台風で何が起きたのか

令和元年(2019年)の東日本台風では、郡山市全域で甚大な洪水被害が発生しました。

被害の主な原因は、

  • 阿武隈川本川の越水・溢水

  • 谷田川や藤田川など支流の越水・決壊

でした。

郡山市管理河川全体でも113件もの被害が報告されています。

照内川は藤田川へ合流するため、下流の藤田川の水位が上昇すると水が流れにくくなる「バックウォーター現象」の影響を受けやすい河川です。

そのため、合流部周辺では浸水リスクが高く、地域からも早急な対策が求められてきました。


今回の河川改修工事とは?

今回の工事では、照内川の流れる能力(流下能力)を高めるための改修が行われます。

主な内容は次のとおりです。

河道掘削

川底に堆積した土砂を取り除き、流水断面積(河積)を確保します。

施工では

  • 筋掘り

  • スライド掘削

などの工法を用い、濁水の発生を抑えながら効率よく掘削を進めます。

掘削した土砂についても、適切に処分するだけでなく、再利用可能なものは有効活用されます。


施工中の部分 藤田川

護岸工事

川岸が崩れないよう護岸を整備します。

主な施工内容は、

  • のり覆工(法面保護)

  • 基礎工(洗掘防止)

  • 根固工(水流による基礎の侵食防止)

です。

施工中は仮締切(仮設の止水設備)を設置し、水を遮断して乾いた状態で工事を行います。


堤防・築堤工事

必要に応じて堤防を築き直します。

その際には、

  • 盛土

  • 転圧による締固め

  • 遮水工

  • 側帯設置

などが行われ、洪水時でも堤防が安定する構造に仕上げます。



付帯工事

河川改修では本体工事だけではありません。

必要に応じて、

  • 橋梁改築

  • 樋門・水門整備

  • 樹木伐採

  • 床止め工

なども実施されます。

河川全体の流れを改善するためには、これらの工事も重要になります。


工事は「作る」だけではない

河川工事では施工管理も非常に重要です。

例えば、

安全管理

  • 仮設構造物の安定確認

  • 作業員の安全確保

  • 洪水時の緊急対応

品質管理

  • コンクリートや資材の品質試験

  • 出来形測定

  • 設計どおり施工されているかの確認

環境管理

  • 濁水防止

  • 騒音・振動対策

  • 周辺住民への配慮

これらを適切に管理するため、工事には1級土木施工管理技士などの有資格技術者の配置が求められます。

しかし、本当に重要なのは「川全体」で考えること

照内川だけを改修しても、それだけで浸水が解決するとは限りません。

照内川は藤田川へ流れ込み、藤田川は阿武隈川へ流れます。

つまり、

照内川 → 藤田川 → 阿武隈川

という一つの流域として考えなければなりません。

下流の水位が上昇すれば、上流の水は流れにくくなります。

これがバックウォーター現象です。

近年の豪雨災害では、このように「本流が原因で支流があふれる」ケースが全国で増えています。

そのため、国・県・市がそれぞれ別々に工事を進めるだけでは十分ではありません。

流域全体を一つのシステムとして捉え、上下流を一体で整備していく「流域治水」の考え方が不可欠です。


防災は「コスト」ではなく「投資」である

公共事業には、「税金の無駄遣いではないか」という批判がつきものです。

もちろん、不要な工事や費用対効果の低い事業は見直すべきです。

しかし、防災事業は性質が異なります。

例えば、一度大規模な浸水が発生すれば、

  • 住宅の修繕費

  • 家財の買い替え

  • 事業者の営業損失

  • 農地や農業施設の被害

  • 道路や上下水道など公共インフラの復旧費

など、莫大な社会的損失が発生します。

さらに、地域の人口流出や企業の撤退につながれば、その影響は何年、何十年にも及びます。

だからこそ、河川改修は単なる土木工事ではなく、地域の経済活動を守るための先行投資なのです。


防災と地域経済は切り離せない

私は以前から、「防災は経済政策でもある」と訴えてきました。

企業が工場や店舗を建設するとき、「この地域は安全か」を重視します。

住宅を購入する人も、浸水リスクを気にします。

つまり、防災対策が進んだ地域ほど、人も企業も安心して集まりやすくなります。

逆に、「毎年のように冠水する地域」というイメージが定着すれば、土地の価値や地域の魅力にも影響を及ぼしかねません。

河川整備は、企業誘致や定住促進にもつながる重要な基盤整備なのです。


公共事業は地域にお金を循環させる視点も重要

今回の工事は、市内企業が受注する公共工事です。

地域企業が受注すれば、

  • 地元で雇用が生まれる

  • 地元企業へ発注が広がる

  • 働く人の所得が地域で消費される

という経済循環が期待できます。

私は、公共事業は単に施設を造るだけではなく、「地域経済を循環させる仕組み」として設計されるべきだと考えています。

さらに私が提案している「減価する地域通貨」を組み合わせれば、公共事業によって生まれた所得が地域内でより多く循環し、地域経済の活性化につながる可能性があります。

防災投資と地域経済政策は、本来、一体的に考えるべきテーマなのです。


行政に求められるのは「工事をやりました」ではない

行政の役割は、工事を発注して終わりではありません。

重要なのは、

  • どれだけ浸水被害が軽減されたのか。

  • 想定する降雨規模に対して、どの程度の安全性が確保されたのか。

  • 流域全体の治水計画と整合しているのか。

  • 維持管理まで含めて費用対効果がどう評価されるのか。

こうした点を市民に分かりやすく説明し、検証可能な形で示していくことが、これからの行政には求められます。


今後の課題

今回の工事は、令和元年東日本台風の教訓を踏まえた重要な治水事業です。

しかし、照内川だけを改修しても十分ではありません。

下流の藤田川や、その先の阿武隈川との一体的な治水対策を進めなければ、バックウォーター現象による浸水リスクは残ります。

また、近年は線状降水帯や短時間豪雨が全国各地で頻発しており、「想定外」を前提とした河川整備や流域治水の考え方がこれまで以上に重要になっています。

関東産業・ダイリ建設両社の方々には品質を高めた工事をお願いしたいと思います。


おわりに

河川改修は、目立つ施設を造る工事ではありません。

しかし、私たちの命や財産を守るためには欠かせない社会資本整備です。

工事の進捗だけでなく、「どの程度の雨に耐えられる河川になるのか」「下流河川との連携は十分なのか」といった視点で行政をチェックしていくことも、市民にとって重要ではないでしょうか。

私は今後も、議会資料や現地調査をもとに、市民の皆さんに分かりやすく公共事業の内容をお伝えしていきます。

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大坂佳巨 現場取材や資料調査、地域での活動を続けながら発信しています。 「この視点は必要だ」と感じていただけましたら、応援のチップをいただけると励みになります。いただいた支援は、取材・発信活動に活用させていただきます。