日本の種は誰のものか?木下敏之議員が警鐘を鳴らした「重要品種育成法案」の危険性
私はこれまで一貫して、「地域が自立できる社会」「海外や中央に依存しない経済構造」の必要性を訴えてきました。
エネルギーの自給、食料の自給、地域内でお金が循環する仕組み。
そのどれもが、国家や地域が生き残るための土台だからです。
そんな中、本日の衆議院本会議で可決されるであろう「重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案」(221国会閣46)及び種苗法の一部を改正する法律案(221国会閣47)について、大きな危機感を持っています。
まず、
についてですが、
これは、政府が「気候変動に対応し、農業の競争力と食料安全保障を強化する」ことを目的として提出した法案です。
簡単に言うと、
「高温や病害虫に強い新品種を、国や研究機関、民間企業が効率的に開発し、その種苗の生産・普及を後押しするための仕組みを作る法律」
です。
近年、日本では猛暑によるコメの品質低下や異常気象による農作物被害が増えています。そのため政府は、
高温耐性のあるコメ
病害虫に強い野菜
気候変動に適応できる果樹
などを「重要品種」と位置付け、重点的に育成しようとしています。


① 重要品種の育成を国が支援
国が重要と認定した品種について、研究開発や種苗生産を支援します。
② AIやデータを活用した育種の推進
過去の育種データや遺伝情報を活用し、AIによって効率的に新品種を開発する仕組みを整備します。
③ 民間事業者も活用
大学や研究機関だけでなく、民間企業も認定を受けて育種事業に参加できるようになります。
④ 種苗の安定供給
開発された新品種を農家へ安定的に供給できる体制づくりを進めます。
そして次に、種苗法の一部を改正する法律案(221国会閣47)ですが、

これも気候変動を理由にしています。そして我が国の優良品種の海外流出問題、育成者の保護を強化などが名目となっています。

今回の改正案の主な内容は次のとおりです。
① 育成者権の保護期間を延長
新品種を開発した人や団体が持つ「育成者権」の存続期間を10年間延長します。
現行:25年(果樹など永年性植物は30年)
改正後:35年(永年性植物は40年)
高温耐性や病害虫耐性など、複数の特性を持つ品種の開発に時間と費用がかかるようになったためです。
② 品種登録前でも海外流出を防止
現在は、品種登録が完了するまでの数年間は十分な保護がありません。
そこで改正案では、
出願中の新品種について
無断で海外へ持ち出されそうな場合
輸出差止めを可能にします。
③ 海外からの逆輸入対策
日本で開発された品種が海外へ流出し、海外で増殖された後に日本へ逆輸入されるケースへの対策を強化します。
④ 種苗リースも権利保護の対象
これまでは想定が薄かった「種苗の貸し出し(リース)」についても育成者権の保護対象に加えます。
⑤ 品種登録審査の迅速化
特に重要な品種については優先的に審査できる仕組みを導入します。
6月16日の衆議院農林水産委員会で、参政党の木下敏之議員が行った質疑は、その危険性を浮き彫りにする非常に重要なものでした。
食料安全保障とは「種」を守ること
戦争や災害が起きたとき、人間はお金だけでは生きられません。
最後に必要になるのは食料です。
そして食料の出発点は「種」です。
種を外国企業に握られれば、農業も食料も支配されます。
エネルギーを外国に依存している日本が、食料の根幹である種まで依存するようになればどうなるでしょうか。
私はそれを「静かな主権喪失」だと考えています。
木下議員は質疑の中で、日本の新品種開発力が低下している現状を指摘しました。

特に都道府県など公的機関による品種開発は大幅に減少しています。
しかし問題は単純な件数ではありません。
なぜ減ったのか。
その背景には、長年続いてきた予算削減と人員削減があります。
公的育種を弱体化させておいて民間頼み?
政府は気候変動対策を理由にAI育種やスマート育種を推進しています。
しかし木下議員が示したデータによれば、過去20年間で研究職員は大幅に削減され、現場で栽培試験を行う職員も激減しています。
私はここに大きな矛盾を感じます。
本当に日本の農業を守りたいのであれば、まずやるべきことは公的研究機関の強化ではないでしょうか。
地方の農業試験場や研究所を充実させることこそが、日本の食料安全保障を守る道です。
ところが現実には、人員も予算も削減した上で、民間企業や巨大資本への依存を強める方向へ進んでいるように見えます。
これでは「農業の民営化」と言われても仕方がありません。
AI育種データ流出は新たな国防問題
木下議員が特に懸念したのが、AI育種システムのデータ流出リスクです。
私はこの指摘は極めて重要だと思います。
なぜなら、現代では石油だけでなくデータも国家資産だからです。
何十年にもわたって日本の研究者や農家が積み上げてきた育種データ。
それは日本人の努力の結晶です。
もし外国資本が関与する企業が、そのデータから利益を得るようなことになればどうでしょうか。
過去には愛媛県の高級品種が海外へ流出した事例もありました。
一度流出した知的財産は取り戻せません。
農業分野のデータ流出は、単なる情報漏洩ではなく食料安全保障そのものの問題なのです。
人口減少時代だからこそ「コメ増産」が必要だ
木下議員の質疑を聞いていて、私は改めて感じたことがあります。
それは、「種を守ること」と「食料を増産すること」は切り離せないということです。
現在の日本は、出生率の低下、高齢化、人口流出によって、かつて経験したことのない人口減少時代に突入しています。
私の住む福島県でも、農家の高齢化や後継者不足が深刻化し、耕作放棄地が増え続けています。
しかし、日本の歴史を振り返ると、人口減少や社会不安を乗り越えてきた時代には共通点がありました。
それが「コメの増産」です。
縄文後期の気候変動後に稲作が導入され、平安・鎌倉期には各地で開墾が進み、江戸時代には大規模な新田開発によって人口を支える生産基盤が築かれました。
日本人は人口問題に直面するたびに、生産力を高めることで未来を切り拓いてきたのです。
ところが戦後の日本は、真逆の政策を進めてきました。
長年にわたる減反政策によって、コメの生産能力は意図的に抑えられ、多くの農地が耕作放棄地となりました。
その結果、食料自給率は先進国でも最低水準となり、日本人の命を支える食料までも海外依存が進んでしまいました。
本来であれば、気候変動対応や人口減少への対策として必要なのは、農業を縮小させることではなく、生産基盤を強化することではないでしょうか。
種を守り、農地を守り、地域の農家を守る。
その上で、スマート農業やAI技術を活用しながら、現代版の「新田開発」とも言える農業再生を進めるべきです。
地域主権の観点から見た最大の問題
私が常々訴えているのは「中央集権から地域主権へ」という考え方です。
農業も同じです。
本来であれば各地域が気候や風土に合わせた品種を守り育てるべきです。
ところが全国一律の仕組みの中で、大資本や中央主導のシステムに依存していけば、地域独自の農業文化は失われていきます。
福島県にも長年受け継がれてきた農産物があります。
それらを守る力を失えば、地域の誇りも失われてしまうでしょう。
私は郡山市長選挙への挑戦を通じて、地域内でお金が循環する経済の重要性を訴えてきました。
その考え方は農業にも当てはまります。
地域で生産し、地域で消費し、地域で利益が循環する。
これこそが本当の地方創生です。
食料自給率向上こそ最優先課題
現在の日本の食料自給率は先進国の中でも極めて低い水準です。
私は以前から主張しているように、日本が本当に豊かな国を目指すのであれば、食料自給率を高める政策を最優先に据えるべきだと考えています。
コメ増産は単なる農業政策ではありません。
食料安全保障であり、地方創生であり、雇用対策であり、人口減少対策でもあります。
そして何より、日本という国が再び自立するための国家戦略です。
輸出拡大も重要でしょう。
しかしその前に、日本人が安心して食べられる食料を国内で確保できる体制を築くことが先です。
その土台となるのが「種」であり、「農地」であり、「農家」なのです。
おわりに
木下敏之議員の質疑は、単なる法案反対ではありませんでした。
日本農業の未来、食料安全保障、地方の存続、そして国家主権の問題に対する重要な警鐘だったと思います。
気候変動対策という美名の下で、公的育種の弱体化やデータ流出のリスクが見過ごされてはなりません。
日本の農業を守るために必要なのは、外資依存でも中央依存でもありません。
地域の農家、地域の研究機関、地域の知恵を守り育てることです。
そして守った種を使って食料を増産し、地域を豊かにし、日本を再び自立できる国へと再生していくことです。
私はこれからも、食料主権と地域主権を守る立場から、この問題を注視し、声を上げ続けていきたいと思います。
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