郵政民営化改正法で本当に得をするのは誰なのか
皆さん、こんにちは。大坂佳巨です。
このたび6月11日に衆議院総務委員会で起草された「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」は16日の本会議で可決され、参議院に送付されました。


これを見ていて、私が最も気になったのは、
「結局、この法案で一番利益を受けるのは誰なのか」
という点です。
政府や賛成議員は、
「地方の郵便局を守るため」
「地域住民の生活を支えるため」
と説明しています。
しかし、政策を評価する時は、必ず
『誰が利益を受け、誰が負担を負うのか』
を見なければなりません。
今回の法案は、郵便局ネットワーク維持のための交付金制度の拡充や、日本郵政によるゆうちょ銀行・かんぽ生命株の保有見直しなどを柱としています。法案の目的としては、ユニバーサルサービスの維持と地域住民支援が掲げられています。 (新・国民民主党 - つくろう、新しい答え。)
では、誰が利益を受けるのでしょうか。

利用者は本当に得をするのか
利用者にとってのメリットはあります。
郵便局がなくなれば、
郵便
貯金
保険
のサービスを受ける場所が減ります。
特に高齢者の多い地域では、郵便局は単なる窓口ではなく生活インフラです。
その意味では、利用者にも一定の利益があります。
しかし一方で、
今回の法案によって配達日数が短縮されるわけでもありません。
窓口サービスが劇的に向上するわけでもありません。
利用者が直接恩恵を実感できるかというと、必ずしも明確ではありません。
地方住民は恩恵を受けるのか
地方に住む人々にとっては、郵便局存続そのものが利益です。
過疎地では、
金融機関が撤退
商店が閉鎖
公共交通が縮小
という状況が続いています。
そうした中で郵便局は数少ない公共的拠点です。
法案の趣旨どおりに運用されれば、地方住民は恩恵を受けるでしょう。
しかし、
本当に地方住民のためなら、
なぜ郵便局以外の地域インフラとの連携や再編まで踏み込まないのか。
そこには疑問が残ります。
日本郵便は確実に利益を受ける
今回の法改正で最も直接的に利益を受けるのは日本郵便です。
郵便物の減少が続く中、
郵便局ネットワーク維持のための支援制度が強化されるからです。
企業経営の観点から見れば、
これは大きな支援策です。
もちろん、それ自体を否定するつもりはありません。
しかし、
「民営化によって自立する」
という当初の理念との整合性は問われるべきでしょう。
全特(全国郵便局長会)が最大の受益者ではないか
私が最も注目しているのはここです。
全国郵便局長会(全特)は長年、
郵便局ネットワーク維持
地方局存続
郵政事業の公共性維持
を主張してきました。
今回の法案は、その方向性と極めて近い内容になっています。
郵便局が維持されれば、
当然ながら局長ポストも維持されます。
組織規模も維持されます。
だからこそ、
「最大の受益者は全特ではないのか」
という疑問が生まれるのです。
もちろん、これは推測であり断定ではありません。
しかし、この法案が議員立法として提出されたことを考えると、その政治的背景については今後も検証が必要でしょう。
与党にも政治的利益がある
郵便局は全国に約2万4千局あります。
郵便局ネットワークは地方に深く根を張っています。
地方票を重視する政党にとって、
郵便局政策は重要な政治課題です。
そのため、
今回の法案によって与党が地方へのアピール材料を得たことも事実でしょう。
政策的利益だけでなく、政治的利益も存在していると考えるべきです。
私は、この法案で利益を受ける順番は、
日本郵便
全特(全国郵便局長会)
与党
地方住民
利用者
ではないかと考えています。
もちろん異論はあるでしょう。
しかし、
本当に地方住民のための法案であるならば、
なぜ議員立法だったのか。

なぜ民営化の失敗を正面から総括しないのか。
なぜ再公営化か完全民営化かという本質的議論を避けるのか。
私はそこに大きな疑問を感じています。
郵政民営化から19年。
今こそ私たちは、
「誰のための郵便局なのか」
を改めて問い直すべきではないでしょうか。
私自身の政治人生と郵政民営化
私はこの問題について、単なる評論家として語っているわけではありません。
民主党所属の衆議院議員秘書として国政の現場に身を置き、郵政民営化の混乱を現場で見てきました。
2009年の政権交代の際、全国郵便局長会(全特)は、それまで支持していた自民党ではなく民主党を支援しました。
理由は明確でした。
全特は小泉内閣による郵政民営化に反対していたからです。
私は当時、与党議員秘書として数多くの郵便局を回りました。
そこで聞いた声は、
「民営化によって失われた制度を修正してほしい」
というものでした。
郵便局の公共性を守りたい。
地方の郵便局を維持したい。
地域住民の生活基盤を守りたい。
そうした切実な声を私は直接聞いてきました。
ところが2012年に政権が再び自民党へ戻ると、状況は変わっていきます。
全特も再び自民党支持へと戻っていきました。
私はその流れを見ながら大きな違和感を覚えていました。
なぜなら、本来問われるべきだった
「郵政民営化は正しかったのか」
という根本問題が次第に語られなくなっていったからです。
その後、私は郵政民営化反対の立場を一貫して貫いてきました。
そして郵政民営化に反対したことで自民党を離れた荒井広幸参議院議員のもとへ行き、荒井氏が代表を務める新党改革から2016年の参議院選挙に立候補しました。荒井氏自身も郵政民営化反対を掲げて自民党を離党した政治家でした。
私は民主党にもいました。
その後は新党改革にもいました。
だからこそ言えることがあります。
それは、郵政民営化の問題は本来、保守か革新か、自民党か民主党かという話ではなかったということです。
地域の生活インフラをどう守るのか。
郵便局の公共性をどう維持するのか。
その議論こそが本質だったはずです。
しかし現在の議論は、
「郵便局を維持するために公的支援を行う」
という話ばかりで、
「そもそも郵政民営化は何だったのか」
という総括が置き去りにされています。
私は二十年以上にわたりこの問題を見てきた一人として、今こそ政治はその原点に立ち返るべきだと考えています。
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