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湿布って本当に効くの?整形外科医が解説する正しい種類・選び方・使い方

「冷たい湿布と温かい湿布ってどっちが効果あるの?」
「薬局で湿布を買ったけど、あまり効いているきがしない!」

こんにちは。Dr.utaです。
整形外科の外来では、こうした疑問をよく耳にします。
湿布は薬局でも気軽に手に入るため、痛みがあれば「とりあえず貼る」という方も多いでしょう。実際に外来でも、とりあえず湿布をたくさん持っておきたい!という患者さんもしばしばこられます。

子供から大人まで、みんなが大好きな湿布ですが、薬局でどれがいいのか、病院でどんな湿布を処方されているのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、整形外科医の立場から、湿布の効果・種類・選び方を順を追って説明します。

結論:湿布の強さは3段階!

局所の鎮痛を目的とした場合に、湿布の強度は三段階に分かれます。
①冷感・温感湿布
②NSAIDs含有(局所作用型)
③NSAIDs含有(全身作用型)

NSAIDs(ロキソニン)含有とは、ざっくり痛み止め成分含有の湿布薬と思ってもらえればOKです。一般的に、私たちが外来で最も処方するものは②です。それでも効果がなかった場合に、③を使用します。実際に効果があるのは、②③であり、①を処方する機会はほとんどありません。

湿布で痛みを取りたい方は、市販で売っているロキソニン含有の湿布の購入をお勧めします。市販薬でも効果がない場合や、歩けない・動けないほどの痛みであれば、我慢することなく病院へ受診するようにしましょう。

※痛みに対する貼付剤はリドカインテープや、フェントステープなどほかにもありますが、整形外科領域では使用することが少なかったり、癌性疼痛に対しての使用で適応が異なるため、割愛します。

湿布(貼り薬)はどのように体に作用するのか

湿布に含まれる薬の成分は、皮膚を通じて体内に取り込まれます。
この吸収のしくみを「経皮吸収」といいます。
飲み薬と異なり、胃腸への負担が少なく、患部に近い場所から薬が届くのが特徴です。ただし、皮膚は体を守るためのバリアとして働いています。
薬が深部の筋肉や関節まで届く量は限られており、すべての痛みに万能なわけではありません。
「貼れば深いところまで確実に効く」というわけではないことを、まず知っておく必要があります。

湿布の種類と、それぞれのはたらき

温湿布と冷湿布どちらを選べばいいのか

湿布には「冷湿布」と「温湿布」があります。
冷湿布は、メントールが含有されていて、貼るとひんやりした感覚を得られます。
それに対し温湿布は、トウガラシ由来の成分であるカプサイシンが含有されていて、温かく感じさせます。

これらの湿布は張った時の感じ方が違うだけで、実際に患部を冷やす・温める効果はありません。そして、湿布自体に、局所の痛みを抑える効果はありません。
逆に言うと、効果はないが、薬効の副作用も正直ありません。(湿布をはることでの皮膚かぶれはあるかもしれませんが・・・)
「湿布を貼ったら、なんとなくましな気がする!!」副作用が怖いけど、湿布はなんとなく貼っていたい・・・そんな人こそめっちゃ効くかもしれない湿布なのです笑

NSAIDs配合の湿布
——ロキソニンテープ・ジクロフェナクテープetc…

NSAIDsは、炎症や痛みを引き起こす「プロスタグランジン」という物質の産生を抑えます。
これらは、貼った部位の炎症を局所的に抑えることが目的の薬です。
飲み薬のロキソニンと成分は同じですが、血液中への移行量が少なく抑えられています。その分胃や腎臓への負担は軽くなりますが、効果も貼った部位に限局します。
腎臓や、胃が悪い人でも、このような湿布薬なら、リスクは少ないだろうと出すことは多い薬です。

NSAIDs配合の湿布
——ジクトルテープ、ロコアテープ

これらの薬は比較的新しい湿布薬です。
薬の吸収がより効率的になった薬で、湿布薬だけど、ロキソニンを内服したときと同様に全身に効く湿布です。
整形外科外来で処方する湿布薬では一番強い湿布薬かもしれません。(麻薬は除く)

ロキソニンテープと比べ、鎮痛効果を実感される方も多いです。
しかし、強い薬のため、ロキソニン同様に、腎臓や胃に負担がかかりやすいため、市販はされていません。
また、適応疾患も限られており、現在では、変形性関節症や、慢性腰痛症、肩関節周囲炎、頚椎症、腱鞘炎などに適応があります。(ロコアテープとジクトルテープでも適応は異なるので、担当の先生に相談してください。)

パップ剤とテープ剤

湿布には「パップ剤」と「テープ剤」の2種類があります。
パップ剤は、白くて厚みがあるプルプルなシップです。
水分を多く含んでいるため皮膚への刺激が少なく、かぶれにくい傾向があります。その一方で、はがれやすく、関節など動きのある部位には不向きです。

テープ剤は、薄くて粘着力が強いタイプです。
膝や肩など動きのある部位にも貼りやすく、衣服の下でも目立ちにくいのが利点です。ただし、パップ剤と比べると皮膚への刺激が出やすい場合があります。
皮膚が敏感な方・高齢の方にはパップ剤が向いていることが多く、運動習慣がある方や長時間の使用にはテープ剤が適しています。

湿布は本当に効くのか
科学的な根拠から考える

「湿布なんて気休めじゃないの?」という感覚は、正直わかります。
ただ、NSAIDs配合の湿布には、科学的なエビデンス(根拠)が蓄積されています。

コクランレビューとは、複数の臨床研究を統合して評価した、信頼性の高い分析のことです。このコクランレビューによると、急性の筋骨格系疼痛(急な腰痛・捻挫など)に対して、NSAIDsの外用薬は有意な鎮痛効果を示すと報告されています。
慢性疼痛においても、偽薬(プラセボ)と比較して有効性が認められています。

効果が出やすいのは、次のような状況です。
 ・皮膚や関節に近い、表在性(ひょうざいせい)の痛み
                                                                           (膝・手首・足首など)
 ・炎症が主体となっている急性の痛み

一方で、深部の筋肉・神経が関わる痛みや、慢性化した神経障害性疼痛には、効果が限られることが多くなります。
「ロキソニンテープを貼っても効かない」と感じる場合、痛みの性質が湿布に向いていない可能性があります。

薬局で買える湿布と、病院で処方される湿布の違い

有効成分の量が異なる

市販品と処方薬の最大の違いは、有効成分の含有量です。
ロキソプロフェン含有テープを例にとると、市販品は1枚あたりの含有量が処方薬より少なく規定されています。
これは、医師の管理なしに使用される場合の安全性を確保するための規制によるものです。

大きさと使える部位が違う

処方薬には腰などの広い範囲をカバーできる大判サイズのものがあります。市販品はサイズの選択肢が限られており、同じ効果を得にくい場面もでてきます。

コスト面での比較

保険診療で処方される湿布は自己負担3割ですが、枚数に制限が設けられることもあります。軽い症状であれば市販品で対応できることも多く、どちらが有利かは状況によって変わります。
慢性疾患や広い範囲に使う場合は、処方薬のほうがトータルコストを抑えられることもあります。

整形外科医はどんな基準で湿布を選んでいるのか

湿布は「とりあえず処方しておく薬」ではありません。処方する際は、痛みの原因・部位・患者さんの全身状態を踏まえて判断しています。

……とはいいますが、湿布薬はロキソニン内服に比べればリスクが少なく、飲み薬は増やしたくないけど、湿布はほしいという方も多く、割と処方のハードルは低いかもしれません。
私個人の基準ですが、皮膚状態が悪くない、局所的な炎症が原因の痛みに対しては、よくロキソニン湿布(局所)を処方しています。それでも効果がない方で、全身作用型のロキソニン湿布を処方しています。(副作用が出る方も散見するので、適応は絞っていますが)
温感・冷感はこの湿布が欲しい!!とまれに来る人くらいでしょうか。最近では出した記憶がありません。

逆に湿布を処方しない人は、膠原病などで、全身の痛みがある人、皮膚炎や、皮膚が薄いなど、皮膚トラブルになりやすい人、アレルギーの人くらいでしょうか・・・

湿布を上手に使うために知っておきたいこと

湿布の効果を引き出すために、日常的に意識したいポイントをまとめます。

・用法を守って使う:
  1日の使用回数・貼り替えのタイミングは製品の指示に従う
・清潔な皮膚に貼る:
  汚れや汗があると薬の吸収が落ち、かぶれの原因になる
・かぶれたらすぐにはがす:
  無理に使い続けると皮膚炎が悪化することがある
・貼る位置を少しずつずらす:
  同じ場所に繰り返し貼ると皮膚にダメージが蓄積する
・1〜2週間試して改善がなければ受診する:
  種類が合っていない可能性がある
・日光に当てない:
  光刺激で、皮膚トラブルが起こったり、色素沈着が出るリスクもあるの 
  で、直射日光に当てないようにしましょう。

たまに、体の痛いところに全部はるって言って、一日1袋(7枚)使っている方がいたりします。気持ちは分かりますが、さすがに貼りすぎですし、すぐなくなってしまいますので、その場合は、内服薬など、別の手段で調整してもらうようにしましょう。

まとめ

NSAIDs配合の湿布には、科学的な根拠にもとづいた鎮痛効果があります。ただし、痛みの原因・部位・種類によって、効果の出方は大きく異なります。「なんとなく貼っているだけ」では、十分な効果を得られないことも少なくありません。

どの種類を選ぶか、どのように使うかを知ることが、湿布を活かすうえで一番大切な一歩です。
改善がみられない場合は、自己判断を続けずに整形外科を受診してみてください。

本記事は情報提供を目的とするものであり、診断・治療の代替となるものではありません。個別の症状や治療方針については、必ず医師または医療機関にご相談ください。

参考文献

1. Massey T, Derry S, Moore RA, McQuay HJ. Topical NSAIDs for acute pain in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2010;(6):CD007402.

2. Derry S, Conaghan P, Da Silva JA, Wiffen PJ, Moore RA. Topical NSAIDs for chronic musculoskeletal pain in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2016;4:CD007400.

3. 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 腰痛診療ガイドライン策定委員会. 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版). 南江堂; 2019.

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