見出し画像

水を視る、 三:筑後川と出会う

 表紙の写真は、2022年6月に佐賀空港離陸直後に撮影した筑後川(右)と早津江川(左)。福岡への転勤を直後に控えた1週間の佐賀出張ではじめてみた筑後川の雄大な流れが、ずっと眼に焼きついています。

 筑後川との出会いは、中学3年生の秋。
 合唱コンクールのクラス曲が、丸山豊作詞、團伊玖磨作曲による混声合唱組曲『筑後川』第五楽章「河口」になった時でした。
 2年生の時のクラス曲はクラス内の投票で決めたのに、3年生にそのまま持ち上がった担任は、なぜか今年のクラス曲は「河口」にすると宣言して譲らず、クラスで知るもののいなかったその曲をカセットテープから流しました。


終曲(フィナーレ)を
こんなにはっきり予想して
川は大きくなる
終曲(フィナーレ)を
華やかにかざりながら
川は大きくなる

混声合唱組曲『筑後川』第五楽章「河口」
作詞:丸山 豊 作曲:團 伊玖磨 


 正直、ゆったりと雄大にはじまるのその曲は歌唱力がないと相当厳しく、またほかの課題曲と比べると地味で中学生受けは良くはなかった(うちの中学校は学年ごとに音楽教員が決めた複数の課題曲の中から1曲をクラス曲として選ぶルールで、3クラス以上がかぶった場合には抽選で2クラスがその曲を歌うことができるというシステムだった。(失礼ながら)もちろん「河口」を選ぶクラスはほかになかった。)。
 それでも、担任のただならぬ雰囲気におされて、前年に指揮者賞を獲った私は、「じゃあ、今年も指揮者やります。」と、なんとなくその場をおさめたのでした。

 「河口」は、緊張感のある雄大なはじまりから一転して、生きものの描写パートはとてもかわいらしく表情豊かな曲調に変わります。
 大人になってあらためて聴くと、さすが團伊玖磨と思わせる素晴らしい作曲。
 そのかわいらしさを私たちのクラスの歌では表現しきれなかったと思うけれど、私はそのパートを指揮する時、とてもリラックスしながら指揮していたと思います。

 そして、筑後川は、時に優しく時に厳しく、筑後平野の百万の生活の幸を祈り、有明海へそそいでゆく。
 神々しいほど厳かにフィナーレを歌いあげながら。

 教科書レベルの知識で、利根川と並ぶ暴れ川、九州一の河川として撮られた写真からは想像のつかない姿を思い描きながら指揮をした私は、神様に恋をするような気持ちで、筑後川を思っていました。

 いつか、行きたい筑後川-

 その筑後川にはじめて行ったのは、福岡への転勤が内定した直後、翌月には福岡へ引越しするという2022年6月のはじめのことでした。

 30年越しにはじめて会う筑後川への期待が昂まる-

佐賀空港へ向かう機内から望む有明海


 つづく(つづきたい

いいなと思ったら応援しよう!