セブンス・コンチネント/The Seventh Continent(1989)

監督:ミヒャエル・ハネケ
公開:1989年
制作国:オーストリア
上映時間:104分

端正なる鬱映画。

―平凡な一家の日常が少しずつ歪んでいく。とある目的地を目指して。

※私は、この作品は事前情報がなるべく少ない状態で観た方がより楽しめるのではないかと思ったので、今回はネタバレ控えめです。個人的に思い入れが強い作品なので、とにかく思いの丈をぶつけるスタンスでいきます。


大傑作と出会ってしまった…鑑賞後、まずそう思いました。
同日に観た別の映画が霞んで見えたくらい、ものすごい衝撃と余韻が残りました。こんなに惹き込まれた作品は初めてで、臓腑にずしんと重く響くラストが強烈なカタルシスへ昇華されていくような経験も初めてで。レンタルDVDを自宅で再生しただけで、こんな映像体験を得られるとは思いもしませんでした。

この映画は三部構成となっています。
第一部、とある一家の日常を描く。
第二部、変わらないように見えて、少しずつ不穏な空気を纏い始める日常を描く。
第三部、目的地へ向かう一家の旅支度を描く。
といった趣ですね。

第一、二部で丁寧にお膳立てされたその先で爆発する狂気。重い打撃を食らったような衝撃。精神状態が良くないときに観ると引っ張られそうな危うさを纏った、そんな作品です。

タイトルにもある「The Seventh Continent」(原語はドイツ語ですが)。地球にある大陸はユーラシア(アジア+ヨーロッパ)、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、南極、オーストラリア。七大陸という区分で見ると、七つ目の大陸はオーストラリアに。実際、劇中で「オーストラリアへようこそ」と書かれたポスターも序盤から登場します。では六大陸という区分の場合、七つ目の大陸とは…?

もちろん、好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思います。私自身、この映画を知ったきっかけは「何やらすごい鬱映画があるらしい」という情報からだったので。さらに、胸糞映画で有名な「ファニーゲーム」の監督の作品らしいと。鑑賞中、夫にも「その映画は楽しいの…?」と不思議そうに訊かれもしましたし(笑)鬱要素を抜きにしても、前衛的な作品であるため、私が「洗練されている」「アーティスティック」と受け止めた演出やらに関しても、「鼻につく」「何がしたいかわからない」という全く異なる意見を持つ人が少なからずいるでしょう。それはそれでいいと思うんです。自分に刺さるか、刺さらないか、極論そこに行きつくだけだと思うので、「良い」「悪い」ではないんじゃないかというのが持論です。私も正直、一回観ただけの今の状態では読み取れないことばかりで、他のレビュアーさん方の解釈・考察の多様さに驚かされるばかりです。ああいう思慮深い、博学な大人になれたらかっこいいだろうな。憧れます。

再度の鑑賞が叶えば、もっと読み取れること、理解できる部分も増えるのではないかと期待しています。その際には、こんな風に文字に起こしてお披露目できればなと思っています。

ちなみに、こちらの作品の視聴手段は、実質的にレンタルDVDのみとなっていて、宅配レンタルもツタヤ、ゲオ共に順番待ちに次ぐ順番待ち状態です。レンタルショップの実店舗がお近くにある方は、ゲオやビデオワンに足を運ばれた方が確実かもしれません。セル版DVDはプレ値になってますし、サブスク配信もされる気配がないので…。


#映画レビュー #オーストリア映画






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