第243話 腹穴集 ストマ閉鎖篇その伍
五月雨の 窓を打つ音に 目覚めしを
ストマパウチは下剤で空なり
ストマとは けふでお別れ もう会えない
手術の月曜 梅雨空の朝
我が腸は 25センチ 短からむ
さわりなきやと人はとふなり
善玉菌よ キムチ納豆 ヨーグルト
毎日食せりはけふのため
ミヤBMの正体は酪酸菌
下降結腸の先までとどけ
乳酸ビフィズス酪酸菌
腸内フローラ復活あれかし
人工肛門がなくなった自分が
歩いている病棟の廊下の夜明
短夜の 左手で押さえる ストマ跡
廊下から望む東天の月
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを
雲のいずこにストマやどるらむ
五月雨の 明ける退院の 朝ぼらけ
病室より北闕の天を望む
提る 我アイテムの ストマパウチ
今此時ぞ 天に抛つ
ストマ閉鎖後の傷跡を見て、
「二個肛門」という言葉を口に出した瞬間、ストマ歌人だった人にミューズの女神だか波邇夜須毘売神が降りてきた。
退院した日に床に並べた座布団の上でゴロゴロしつつ、ふたつみっつ捻り出したら興が乗って四十首ほどできた。
お猿さんの千(以下削除)
あまり推敲せずの読み捨てである。
これを下痢頻便状態と言ふなり
あまり出し過ぎても薄くなるだけなので、この辺りでやめておく。
小出しに発表することも考えたが、内容に鑑み怒涛のごとく一気に“噴出”することにした。
