第249話 腹穴集 漢詩篇
春夜
春宵一刻 直千金
飯有清香月有陰
患者寝台声細細
走廊病房夜沈沈
訳文)
春宵一刻 直千金
晩飯の残香 月はおぼろに
ベッドの患者の声もいつか静まり
病棟の廊下に夜は更けていく
送人工肛門
病室朝雨浥玻璃
客舎嘩嘩柳色新
勸君更盡一杯水
房出手術無故人
訳文)
別れの朝 病室の窓を雨が濡らす
強い雨が病院の建物を洗う
君に勧めるもう一杯の水
手術室を出るともう会うことは無い
鹿柴
岩山不見人
但聞人語響
界外球深林
復響尖叫人
訳文)
人気のない岩山には、人の姿は見えず
ただどこからか人の声が響いてくるだけだ
打球がOBの林の中に入り
またゴルファーの悲鳴が聞こえる
※岩山 栃木県鹿沼市にある低山
ハイキングコースとして整備されている
隣接してゴルフ場がある
川中島
人工肛門昼過河
今見川中島戦跡
造設一年磨貼付
流星光底逸長蛇
訳文)
人工肛門 昼 千曲川を渡る
今日 川中島の古戦場跡を見る
ストマ造設一年 パウチ装着の技を磨く
でも失敗することもあるよ
四月十三夜腸洗浄
糞満膀胱臭気有
数回便通月三更
茂尾併飲水一升
漏莫尿口瘻糞便
訳文)
糞は膀胱に満ち臭気あり
夜半までに便痛は数回
モビプレップと水1.8リットル併せ飲む
糞便よ瘻を通り尿道口より出るなかれ
糞膀
腸破山河有
城春桜木咲
痛膀胱濺涙
尿口糞驚心
糞尿連三日
健康抵万金
白頭掻既短
渾欲人工肛
訳文)
腸破れて山河あり
春、桜が咲く頃
膀胱の痛さに涙を流し
チンコからウンコに心を驚かす
糞混じりの尿は何日も続き
健康こそ万金に値するを知る
掻きむしる白髪頭は既に短く
人工肛門になっても一向に構わん!
さすがに長恨歌は無理だわ。
