「最近、前みたいに頑張れない」と感じたときに考えてほしいこと
「最近、前みたいに頑張れないんです」
キャリア面談をしていると、このような言葉を聞きます。声のトーンは静かだけど、その奥には少しだけ自己否定が混じっている感じがします。
会議で、昔ほど積極的に発言できなくなった
夜遅くまで働けなくなった
新しいことに挑戦する気力が湧かない
昔は率先してやっていたことを、今は避けている
だからなんとなくこんな言葉を使ってしまう。
「やっぱり、私は衰えたんだ」
「モチベーションが下がったんだ」
でも、それらの言葉を聞くたびに、私は少し立ち止まります。
本当にそれは「頑張れなくなった」のでしょうか。
物差しが古いままになっていないか
20代〜30代半ばの頃。私たちは外に向かって、全力でエネルギーを注いできました。評価、成果、役割、期待。誰かに求められていることに応えることで、自分の価値を確かめていた時期でもあります。
一方、今はどうでしょうか。
エネルギーは、外だけでなく内にも配分されています。家庭、体力、心の余白、仕事の意味や価値、納得感。前より慎重に、選びながら使っている感覚があるかもしれません。
これは低下ではなく分散。衰えではなく構造の変化です。
それなのに私たちは、つい昔の物差しのままで今の自分を測ってしまいます。環境が変われば、本来は測る定規や、測り方そのものも変える必要があるのに。
同じスピード、同じ出力が出ないことを、私たちは「できなくなった」と解釈してしまうのです。
「現状維持は衰退」という思い込み
「現状維持は衰退」という言葉があります。ビジネスの文脈では確かにそうかもしれません。市場はものすごいスピードで動き続けるし、競合も進化する。止まっていれば相対的に遅れていく。
でも、この言葉をそのまま個人のキャリアや人生に当てはめると、大切なものを見落としてしまうかもしれません。
なぜなら「現状維持」の定義が、外側の成果や役職だけで測られてしまうからです。
例えば、
家族との時間が増えた
自分の判断基準が明確になった
無理なく続けられるペースを掴んだ
これらは、人生全体で見れば、明らかに前進なのに、仕事のアウトプットだけを見て「維持」や「後退」と捉えてしまうのです。
「何をもって維持とするか」
「何をもって成長とするか」
その問い自体が、更新されていないのです。
本当に見直すべきは能力ではなく問い
実は、今の私たちに必要なのは、能力の反省ではなく、問いの見直しです。
今の私は、何に一番エネルギーを使っている?
昔の「頑張り」は、誰の期待に応えていた?
今の「抑えている感じ」は、本当に衰え?それとも自分の選択?
実際に面談の中でこれらの問いを一緒に深めていくと、多くの方がこんなことに気づいていきます。「頑張れなくなった」のではなく、無意識に「全部は出さない」という判断をしていることに。
それは弱さではありません。
むしろ、自分の人生全体を考えているサインでもあります。
キャリアは右肩上がりである必要はない
キャリアは、一時的に止まったり、スピードを落としたり、配分を変えたりしながら、長く続いていくものです。
もし今、以前の自分と比べて落ち込んでいるとしたら、その比較軸そのものが、もう今のあなたには合っていないのかもしれません。
頑張り方が変わるのは、止まった証拠ではありません。人生全体を見渡せる場所に、視点が移ったというだけです。
焦ってアクセルを踏み直す前に、一度、自分のエネルギーの使い道を見渡してみてもいいのではないでしょうか。
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