【第5回】勝つ身体は食事で仕上がる― 高校球児のための食トレ戦略 ―第2章:身体を作る栄養戦略「タンパク質 ― 身体を作る材料 ―」
前回は五大栄養素とエネルギーの関係について整理しました。人の身体は、水分と脂質を除くとほとんどがタンパク質でできています。
筋肉はもちろん、
•内臓
•血液
•ホルモン
•酵素
•免疫細胞
など、人体のすべての細胞においてタンパク質は主要な構造的・機能的要素となっています。つまり、身体を大きくすること、強くすることはタンパク質をどう摂るかという問題でもあります。
タンパク質を多く含む食品と聞くと、多くの人は「鶏のささみ」を思い浮かべるかもしれません。確かにささみは高タンパク食品ですが、実は
•マグロ
•カツオ
•イワシ
などの魚類は、肉類と同等、あるいはそれ以上のタンパク質を含んでいます。さらに、魚に含まれる脂質にはEPAやDHAといった身体に有益な脂肪酸が含まれています。そのためタンパク質は、肉だけでなく魚も含め、さまざまな食品から摂ることが大切になります。
ここで一つ重要なことがあります。肉や魚に含まれるタンパク質は約20%です。つまり肉や魚を100g食べても摂取できるタンパク質は約20g程度になります。そのため、肉や魚だけで必要量を満たすことは意外と難しいのです。そこで大切になるのが副菜を使ったタンパク質の積み上げです。
例えば
•味噌汁に豆腐を入れる
•納豆をプラスする
•サラダに枝豆を加える
•乳製品を摂る
こうした小さな積み重ねが、1日のタンパク質量を大きく変えていきます。例えば牛乳。牛乳を1L飲むと、約40gのタンパク質を摂取できます。
では実際に、どれくらい摂る必要があるのでしょうか。高校球児の1日の摂取目安は
「体重 1kg× 2〜3g」
です。
例えば体重70kgなら
「140〜210g」
になります。
ここで参考になるデータがあります。厚生労働省の調査では、日本人の平均的なタンパク質摂取量は体重1kgあたり約1g程度とされています。つまり、家庭の食事をしっかり食べていれば体重×1g程度は摂れていると考えることができます。ということは、高校球児の場合あと1〜2g/kgをどう摂るかが重要になります。
例えば、
手軽にタンパク質を補える食品として
•シーチキン缶:約12.6g
•サバ缶:約31.5g
•魚肉ソーセージ:約8g
•ちくわ:約8g
•納豆1パック:約8g
•豆腐1パック:約7.5g
などがあります。こうした食品をうまく組み合わせることで、タンパク質は積み上げていくことができます。
例えば、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手は、ゆで卵を1日9個食べていると言われています。卵1個のタンパク質は約6〜7g。つまり、ゆで卵だけで約60gのタンパク質を摂取していることになります。もちろんこれは食事の一部であり、ここに肉や魚、乳製品などが加わります。大切なのは、同じことを真似することではなく
トップ選手がそれだけの量を当たり前に摂っているという「基準」を知ることです。
食事だけで不足する場合、プロテインパウダーを活用する方法もあります。プロテインは牛乳や大豆などを原料にした栄養補助食品です。つまり食品からタンパク質を取り出したものと考えることができます。
国産の製品は比較的シンプルな原料のものが多い一方で、海外製のプロテインには人工甘味料などの添加物が含まれているものもあります。味の面では海外製の方がおいしいものも多いですが、こうした特徴を理解した上で目的に応じて選択することが大切です。プロテインは魔法の食品ではありません。あくまで「栄養補助食品」として活用するものです。
もう一つ重要なことがあります。タンパク質は重要ですが、多ければ多いほど良いわけではありません。一般的に体重1kgあたり2〜3g程度の摂取は問題ないとされています。一方で、3.5〜4g/kg以上の極端な摂取は避けた方がよいと考えられています。研究では体重1kgあたり3g程度の摂取では腎機能に有害な変化は認められないという報告もあります。大切なのは多さではなく適切さです。
そして最後に、もう一つ大切なことがあります。タンパク質だけ摂っても、筋肉は作られません。エネルギーが不足すると、身体はタンパク質をエネルギーとして使ってしまいます。つまり筋肉が削られるということです。だからこそ炭水化物が重要になります。
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次回は、野球選手にとって最も重要なエネルギー源である炭水化物について整理していきます。
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身体づくりにおいて、食事は「才能を超える努力」です。
体は、日々の選択の積み重ねでできていきます。
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※現場での栄養講習を通して、選手の身体づくりをサポートしています。
