「何を売るか」で夜中に悩んでる経営者へ。答えは"そこ"じゃなかった件-ライアン・レヴェスクの本を読んで-
深夜2時、誰もいないオフィスでスプレッドシートとにらめっこ。「次の柱になる事業は何だ」と、もう3ヶ月くらい同じセルを眺めている——。
そんなこんなもんもんとしていると、目に付いたのがこの本のタイトル「最強の選択術」 ☕️
アビームコンサルティングの調査によると、新規事業が累損解消に至る割合はわずか7%。裏を返せば93%は失敗に終わっている。2025年版の中小企業白書でも、2024年の倒産件数は1万件を超え、人手不足と物価高のダブルパンチが中小企業を直撃している実態が報告されています。
「新しいことやらなきゃ」と思いつつ、「でも外したら終わる」という恐怖。この板挟みの感覚、経営者なら痛いほどわかるんじゃないでしょうか。
そんな中で、ちょっと面白い視点で本書は書かれています。
ライアン・レヴェスク。アメリカでInc. 5000(急成長企業ランキング)に7回選出され、累計1億ドル以上の売上を叩き出した起業家です。著書『Ask』はInc.誌の「年間マーケティング本No.1」に選ばれ、23もの異なる業界でビジネスを成功させてきた。
で、この人が次に書いた本が『Choose:最強の選択術』。タイトルがいいですよね。「選べ」と 📕
レヴェスクが言うのは、こういうことです。
新規事業で最初に考えるべきは「何を売るか(What)」じゃない。「誰に届けるか(Who)」だ。
……え、それだけ? と思いますよね。私も最初そう思いました。でも、これがなかなか深い。
私たちが新規事業を考えるとき、どうしても「何を」から入ってしまう。DXツールを売ろうとか、サブスクモデルにしようとか、AIを活用した何かを……とか。
でもレヴェスクの考え方は逆で、「まず"誰の夜も眠れない悩み"を解決するのか決めろ」と。Whatは後からいくらでも変えられる。でもWhoを間違えると、何を作っても空振りになる。
これ、中小企業の経営者にとって地味に刺さりませんか。
大企業みたいに「とりあえず100個試して3つ当たればいい」なんて、うちらにはできない。限られたリソースで、最初の一手を外せない。だからこそ、「何を作るか」より先に「誰の横に座るか」を決める——この順番が効いてくるわけです 💡
レヴェスクが実践してきた「ASKメソッド」も、根っこは同じ発想です。顧客にアンケートやクイズ形式の質問を投げかけて、相手を「バケット(グループ)」に分類する。そのうえで、バケットごとに違うメッセージを届ける。
一見シンプルですけど、これをやると何が起きるかというと、「お客さんが勝手に"これ、私のことだ"と思ってくれる」。
実際に、あるオンラインコース販売者がASKメソッドを導入したところ、同じ商品なのに受講者を4つのバケットに分けてメッセージを変えただけで、売上が倍増したケースが報告されています。商品は変えていない。変えたのは「届け方」だけ。
中小企業の現場でいえば、たとえばこういうことかもしれません。同じ製造技術を持っていても、「自動車部品メーカー向け」と「医療機器メーカー向け」では、刺さる言葉がまったく違う。技術(What)は同じでも、Who次第で見え方が変わる ✨
面白いのは、レヴェスクが今、バーモント州の140エーカーの農場で家族と暮らしていることです。デジタルマーケティングの第一人者が、再生型農業をやっている。
彼は最近のニュースレター「The Digital Contrarian」で、こんなことを書いています。AIが大量のコンテンツを生み出す時代だからこそ、「人間にしかできない本物のつながり」が最大の競争優位になる、と。
ドーパミン(刺激や報酬)ではなくオキシトシン(信頼や絆)。スケールしないものにこそ価値がある——。
これって、中小企業の経営者が昔からやってきたことそのものですよね。お客さんの顔を見て、名前を覚えて、困りごとを聞いて。大企業がAIで効率化を追いかけている横で、うちらが持っている「非効率な人間関係」が、実は最強の武器だったりする 🍀
PwCコンサルティングの「新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025」では、多くの日本企業が3年以内に新規事業の成否を判断しているという結果が出ています。3年。短いようで長い。その3年の最初の一歩を、「何を作るか」ではなく「誰のそばにいるか」から始めてみる。
レヴェスクの言葉を借りれば、それは「空のプールに飛び込んで首を折るリスク」を減らすこと。
完璧な商品を作ってから市場に出すんじゃなくて、まず「この人たちの悩みなら、自分は本気で向き合える」という相手を見つける。商品はその後でいい。
なんだか、肩の力が少し抜けませんか 💭
新規事業の成功率7%という数字を見ると、正直しんどくなります。でも、「打席に立つ回数を増やしながら、打率も上げる」という考え方なら、もう少しやれそうな気がする。
そのための第一歩が、「What」を手放して「Who」を掴むこと。
明日もぼちぼち、行きましょう。あなたの会社の「誰か」は、きっともう目の前にいます 🤝
