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牛丼屋 #せりふ三題噺

「学校で硫化水素なんて作る必要なくない? 何の実験よ!」

隣で牛丼をかき込む同僚がTVのニュースを見てデカい声を出している。やめろ、注目されるぞ。

「ねぎ多めで」
「すみません、ねぎのトッピングはございません」
「違う違う、玉ねぎ。玉ねぎ多めにして、肉とツユはなくてもいいから」

めずらしい注文をする人だと思ってチラ見したら、金髪の西洋人だった。でも日本語はまるで日本人。
それにしても。玉ねぎご飯だよ、それじゃ。うまそうだけど。

「ヤッタ! デッキマッシター!」
金髪美人の隣で、超カタコトの金髪ハンサムが、割り箸を割るのに成功したらしい。妙なカップルだよね。

面白そうだけど、そろそろ戻らないと仕事が片付かない。
同僚も食べ終わり、二人でガタガタと席を立って身支度をする。

「昼休みが二十分しかないなんて泣けてくるよね」
「しょうがないよ、締め切り前だし」

修羅場のような仕事場から、つかの間の「日常」を味わいたくて、私たちはこの牛丼屋に来ているのだ。

もちろん、牛丼もね。


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