クリス・ウィタカー「われら闇より天を見る」
ほろ苦さの残る複雑で重いミステリー
・警察署長の犯人捜しよりも、悲劇に立ち向かう一本気な少女と素直に優しい弟の行方がひたすら気になりつつ読む。どうか幸せになってと祈りながら。クセのある人物が多く言葉使いも下品で共感しにくいのは欠点だが、本作品の特徴でもある。猥雑な世界の複雑で重いミステリー。少女の母親を銃で殺したのは果たして誰か。銃社会米国の日常的な悲劇でもある。(注:米国の銃死数は年間数万人と交通事故死数並みのありふれた現象)
・「無法者」と自称するひねくれた少女は、つい手が先に出て悪さもするのだが憎めない。一連の事件が終わり姉弟はハッピーとなるが、姉弟のしたことの故にほろ苦さがいつまでも残る。姉が最後に追い詰めたのは?
(書籍データ:鈴木恵訳、2022年、早川書房)
