介護の管理職になる前に、知っておきたかった3つのこと
要約
本記事では、介護の現場リーダーや管理職を目指す方、なりたての方に向けて、15年の現場経験と6年の独立を経てたどり着いた「管理職になる前に知っておきたかった3つのこと」をお伝えします。現場で評価される力と管理職に必要な力は別物であること、板挟みとの付き合い方、そして「いい人」をやめる勇気について、実体験を交えて解説します。昇進を打診されて迷っている方の、判断材料になれば幸いです。
「現場」だった私が、管理職でつまずいた話
現場では、それなりに頼られていたほうだと思います。
利用者さんとの関係づくりも、急な対応も、新人のフォローも。 「あなたがいると安心する」と言ってもらえることが、誇りでした。
だからリーダーの話をいただいたとき、正直「自分なら大丈夫だろう」と思っていました。
でも、なってみて分かりました。 現場で評価されることと、人をまとめることは、まったく別の力だったんです。
ここでは、当時の私が知らなかった3つのことをお話しします。
1つめ:現場で評価される力と、管理職の力は別物だった
一番つまずいたのは、ここでした。
プレイヤーとして優秀な人ほど、「自分でやった方が早い」と感じてしまいます。
私もそうでした。 スタッフに任せて待つより、自分が動いた方が確実で、速い。
でも、それを続けるとどうなるか。 スタッフは育たず、自分は倒れます。 チーム全体の力は、いつまでも「自分一人分」のままです。
管理職に求められるのは、自分が一番動くことではありません。 人が動ける状態をつくることです。
この発想の切り替えに、私は半年以上かかりました。 もっと早く知っておけば、最初の数ヶ月であんなに空回りせずに済んだと思います。
2つめ:「板挟み」は消えない。だから、どこに立つかを先に決めておく
リーダーになって一番こたえたのが、上と下の板挟みでした。
上からは「人員を増やさず回せ」と言われ、 下からは「もう限界、人を増やしてほしい」と言われる。
どちらの言い分も分かるからこそ、苦しい。
当時の私は、この板挟みを「なくそう」としていました。 両方の顔を立てて、誰も傷つかない着地点を探して、結局どっちつかずになる。
でも今なら分かります。 板挟みは、管理職である限り消えません。
大事なのは、なくすことではなく、自分がどこに立つかを先に決めておくことです。
「現場が壊れる判断はしない」 私はそこを軸にしました。
軸が決まると、上に交渉するときの言葉が変わります。 ぶれない人の言葉は、不思議と通りやすくなるものです。
3つめ:「みんなにいい人」をやめないと、チームは守れない
これが、一番伝えたいことかもしれません。
私はずっと「嫌われたくない」人間でした。 だから管理職になっても、全員にいい顔をしようとしていました。
でも、それは無理なんです。
シフトの調整、評価、注意。 管理職の仕事には、誰かにとって不都合な決断が必ず含まれます。
全員に好かれようとすると、決められなくなります。 決められないリーダーの下では、まじめな人ほど損をして、先に潰れていきます。
「いい人」をやめるのは、冷たくなることではありません。 守るべき人を、ちゃんと守るための覚悟です。
私がそれに気づいたのは、信頼していたスタッフが辞めていったあとでした。 もっと早く知りたかった、と今でも思います。
おわりに
管理職は、罰ゲームではありません。
現場では見えなかった景色が見えるようになるし、 チームが育っていく手応えは、プレイヤー時代とは別の喜びがあります。
ただ、その入口で空回りする人を、私はたくさん見てきました。 かつての自分も、その一人でした。
これから管理職になる方が、この3つを少しでも頭の隅に置いて臨んでくれたら。 当時の私が遠回りした分、あなたの遠回りが少しでも減るなら、これ以上うれしいことはありません。
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