介護のストレスを「食べて発散」してしまう自分に、私が足した別の逃がし方
要約
本記事では、介護の仕事のストレスをつい「食べること」で発散してしまう方に向けて、食べるのをやめるのではなく「逃がし先を増やす」という考え方をお伝えします。現場15年・独立8年の経験から、なぜ介護職のストレスが食に向かいやすいのか、その理由と、私が実際に足していった小さな逃がし方を具体的に紹介します。食べたあとの自己嫌悪でさらに疲れてしまう前に、読んでいただけたらうれしいです。
夜勤明けのコンビニで、気づけばカゴがいっぱいになっていた
夜勤明けの帰り道。まっすぐ帰ればいいのに、なぜかコンビニに寄ってしまう。
菓子パン、甘い飲み物、揚げ物。とくにお腹が空いているわけでもないのに、気づいたらカゴがいっぱいになっている。
家に帰って一気に食べて、食べている間だけは何も考えなくて済む。でも食べ終わったあとに残るのは、満足感ではなく「またやってしまった」という気持ちでした。
私も現場にいた頃、これを何年も繰り返していました。
同じことをしている介護士さんは、たぶんかなり多いと思います。そして多くの人が、それを「意志が弱いから」と自分のせいにしています。
結論:やめようとするより、「逃がし先」を増やすほうがうまくいった
先に私なりの答えを書きます。
「食べて発散するのをやめる」ではなく、「食べる以外の逃がし方を足す」ほうが、結果的にうまくいきました。
理由は単純で、やめようとすると、ストレスの行き場そのものがなくなってしまうからです。
食べることは、今の自分にとって数少ない「回復のスイッチ」です。それを取り上げてしまえば、当然どこかで反動が来ます。実際、私も「今日から食べない」と決めた日ほど、我慢しきれなくなっていました。
だから私は、引き算ではなく足し算に切り替えました。逃がし先が1つしかないから全部そこに流れ込むのであって、3つも4つもあれば、自然と分散していきます。
なぜ介護のストレスは「食べること」に向かいやすいのか
意志の問題ではなく、仕事の構造の問題だと私は考えています。
休憩時間が細切れで、食べることしか手が届かない
介護の現場は、まとまった休憩を取りづらい職場が多いです。呼び出しがあれば途中で立つことになります。
15分しかない休憩で、運動もできない、出かけることもできない。そのなかで確実にできる気分転換が「食べること」なんです。
現場では、感情を外に出せない
利用者さんに理不尽なことを言われても、ご家族に責められても、その場では表情に出せません。
出せなかった感情は消えるわけではなく、そのまま体の中に残ります。それを一番手っ取り早く上書きしてくれるのが、味の強いものや甘いものでした。
夜勤で生活リズムが崩れる
夜勤中や夜勤明けは、体が本来休んでいる時間帯に起きています。そういうときに食欲の感じ方が普段と変わる、というのは、多くの介護士さんが実感としてご存じだと思います。
つまり「夜勤明けについ食べてしまう」のは、性格ではなく働き方から来ている面が大きい。ここを理解しておくだけでも、自分を責める気持ちはかなり減ります。
私が実際に足していった、5つの逃がし方
どれも大げさなことはしていません。現場にいながらできることだけです。
1.職場を出る前に、3行だけ書き出す
これが一番効きました。
更衣室でも駐車場の車の中でもいいので、スマホのメモに3行だけ書きます。
今日いちばん嫌だったこと
そのとき本当は何と言いたかったか
明日に持ち越さなくていいこと
たったこれだけです。3分もかかりません。
言えなかった言葉を文字にして外に出しておくと、帰り道にコンビニへ寄る回数がはっきり減りました。感情が体の中に残ったままだから、食べ物で押し流したくなるのだと思います。
2.「愚痴を言う相手」を用途で分けておく
同じ職場の人にだけ話していると、話が悪口の共有になってしまい、かえってしんどくなることがあります。
私は相手を分けていました。
現場のことがわかる人(他施設の同期など)=内容を理解してほしいとき
介護と関係ない友人=ただ聞いてほしいとき
家族=事実だけを短く共有するとき
「誰に何を話すか」を決めておくと、話したあとの後味が変わります。
3.体を先にゆるめる
心を切り替えようとしても、体が緊張したままだとうまくいきません。
私がやっていたのは、湯船に浸かることと、帰り道に一駅ぶんだけ歩くことでした。移乗介助で固まった背中と肩がゆるむと、不思議とイライラの濃度が下がります。
激しい運動である必要はまったくありません。「先に体、あとから気持ち」の順番が大事でした。
4.頭を使わない手作業をひとつ持っておく
食べることの良さは、「何も考えなくていい時間」がつくれることです。
だとしたら、同じ性質のものを別に用意すればいい。私の場合は、車の掃除と、包丁を研ぐことでした。人によっては、植物の世話、プラモデル、編み物など何でもいいと思います。
条件は、上手下手を評価されないことと、途中でやめても誰にも迷惑がかからないことです。
5.食べるときは、ちゃんと味わって食べる
これは最後に足したものですが、意外と大きかったです。
スマホを見ながら、立ったまま、急いで食べる。この食べ方だと、食べた実感が残らないので満足しにくいのだと気づきました。
食べるなと言いたいのではありません。食べると決めて、座って、味わって食べる。 それだけで「気づいたらなくなっていた」という後悔の残り方が変わりました。
それでも止まらないときは、意志の問題にしないでください
ここは正直に書いておきます。
上に書いたことは、あくまで私に合った方法です。すべての人に当てはまるものではありません。
もし今、
食べ始めると自分では止められない
隠れて食べていて、誰にも言えない
食べたあとの罪悪感が強く、気持ちが落ち込み続けている
こうした状態が続いているなら、それは工夫だけで何とかしようとしなくていい領域だと思います。
介護職は、人の体調には敏感なのに、自分のことになると受診が遅れがちです。心療内科でも、かかりつけの内科でも、職場の産業医でも構いません。誰かに話してみることを、選択肢のひとつとして持っておいてほしいです。
まとめ
食べて発散してしまうのは、意志の弱さではなく働き方から来ている面が大きい
「やめる」より「逃がし先を増やす」ほうが続きやすい
帰る前に3行書く、相手を分けて話す、体を先にゆるめる、手作業を持つ、味わって食べる
自分で止められない状態が続くなら、早めに専門家に相談していい
現場を15年やって、独立して8年経った今でも思うのは、介護は「自分を後回しにするのが上手な人」ほど長く残る仕事だということです。
だからこそ、自分の逃がし方を増やしておくことは、わがままではなく、続けるための技術だと思っています。
今日の帰り道、コンビニに寄る前に3行だけ書いてみてください。それだけでも、明日が少し変わるかもしれません。
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