11月7日 もつ鍋の日 【SS】博多といえば
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- もつ鍋の日
日本畜産副産物協会が2011年(平成23年)に制定。また、長崎県佐世保市に本社を置き、食肉や牛、豚などのもつ(ホルモン)を扱う株式会社丸協食産も制定。
この日が「立冬」(11月7日頃)になることが多いことと、「いい(11)もつな(7)べ」(いいもつ鍋)と読む語呂合わせから。もつ鍋の美味しさ、動物からもたらされる資源の有効活用などを広めることが目的。また、7月13日は「もつ焼の日」となっている。記念日は丸協食産が制定した日として一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
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【SS】博多といえば
久しぶりに博多に出張できたサラリーマン二人がいた。美味しいものが沢山ある街である。羽田から飛行機に乗った時から夕食のことばかりを考えていた。今日は、移動だけなので夕方の便で福岡入りした。福岡空港に着いてホテルにチェックインするため博多まで移動した。
「博多は久しぶりだな。最近はネットでの会議ばかりだから、たまには出張したいなって思ってたんだよな。ラッキーだったな、なぁ、タケシ」
「ホント、そうだよ。でも、なんで俺たち二人だったんだろう。いきなりの出張命令だったもんな。まぁ、今日は前泊で入ったから仕事はないし、美味いもん食おうぜ。ユウタはどこか美味い店知ってるか。俺は博多初めてだから全くわからないよ」
「へえ、タケシって博多はじめてなんだ。そうか、出身、東北だもんな。まぁ、僕も今回で三回目くらいだけどな。そうだなぁ、博多に詳しいわけじゃないけど、名物といえば、ラーメン、水炊き、もつ鍋、海鮮、明太子、あと有名なのは、うどん、ぐるぐる巻きのトリ皮の焼き鳥とかかなぁ」
「おお、すごい。でも全部は食べられないな。そうか、博多ってもつ鍋が有名なんだよな。確か「もつ鍋の日」っていう記念日があるけど、東京都と長崎県で制定された記念日だったみたいだな。でも実際に有名なのは福岡。不思議だなぁ。よし、もつ鍋にしようよ、今夜のご飯」
こうして、何となく最初の日の夕食はもつ鍋を食べようということに決まった。早速お店探しが始まった。ユウタは効率よくネット検索を始めた。タケシは周りを見回してもつ鍋屋を探しているようだ。当然博多駅にももつ鍋屋さんは入っている。看板を見つけたタケシは、ホテルも博多駅前だし、駅で食べればいいやと思い、見つけた看板をユウタに教えた。
「ユウタ。ここ博多駅にも、もつ鍋屋さんがあるみたいだよ。近くていいんじゃないか。早く行こうぜ」
「タケシ。ちょっと待て。せっかく来たんだから、駅じゃないところに行ってみようぜ。いいとこ見つけたんだ。赤坂にあるもつ鍋屋だ」
「おいおい、ユウタ。ここは博多だよ。東京の赤坂の店探してどうすんだよ」
「いや、違うよ。博多にも赤坂ってところがあるんだよ。地下鉄ですぐだよ。ここのお店、全然もつ鍋って感じがしないんだ。まるでホテルの入り口みたい。ここにしよう。あっ、ちょっと待って。博多にも同じ店がある」
ユウタは早速電話をした。ラッキーなことにキャンセルが出たので予約が可能だったのだ。そうして二人は、博多駅のそばにある「やま中」を目指し歩いた。到着して入ろうとした時、タケシは一瞬ユウタに確認した。
「おい、ユウタ。ここ、もつ鍋って書いてあるけど、高級クラブかなんかじゃないか。もつ鍋って感じがしないんだけど」
「タケシ。こういう雰囲気の店なんだよ、やま中は。心配しないで入ろう。今日はちょっと奮発してコースでも頼んでしまおうよ」
こうして、二人はおしゃれな店内が特徴のもつ鍋屋さんでもつ鍋のコース料理を食べ、いい気分で、ホテルに戻った。もつ鍋のモツがプリプリでたまらなく美味しかったことが二人の記憶に刻まれた。次の日は仕事である。あまり遊んでばかりはいられない。それぞれの部屋に行き、ちょっとだけ仕事の予習をしてベッドに入った。
翌日、朝食をとった後、二人は博多の店舗に出向いた。二人はアパレルメーカー勤務だ。今回博多に進出するということで、姉妹店の博多支店に視察に来たのだった。売れ筋などを会議で確認し、土地柄の違いなどを議論し、一日が終わった。
「なぁ、タケシ。やっぱり場所が変わると売れ筋も変化するものなんだな。何だか面白かったな、いろんなことが分かって」
「いやー、全くその通り。びっくりしたよな。今日は飛行機にのる前にラーメンを食べていこうぜ」
二人は、博多駅内にあるラーメン街で博多ラーメンを堪能し空港に向かった。飛行機は遅れることなく、予定時刻に離陸し羽田にも定刻通りに着いた。今日はそのまま本社に直行だった。二人の上司が報告を待っているという連絡が入ったからだ。
羽田についた後、五反田にある本社に向かって移動した。すでに午後を回っていた。二人とも、後一泊したかったと思ってはいたが、出張なのでそうもいかない。それよりも上司への報告を頭の中でおさらいしながら部長が待っている部屋のドアをノックした。
「おお、冴木雄太君と兵藤武君、お疲れ様。博多はどうだった?」
「最高でした。食べ物は美味しいし、活気があって若い人も多い気がしました」
「そうか、そうか、それはよかった。博多にはもうすぐ新店舗を立ち上げようとしているから、二人に出張してもらったんだよ。博多の雰囲気を味わってもらうためにね。まぁ、勘のいい君たちのことだ。大方察しはついているとは思うが、正式に私の口から伝えよう。君たちは、博多進出の一号店と二号店の店長として博多赴任をしてもらうことなる。どうだ、驚いたかね」
「え、いや。驚くも何も、博多のことをほとんど知らない僕たちがですか?」
「ああ、そうだよ。博多に帰りたいという社員もいる中で、君たちを選んだんだ。物おじしない性格と、真っ白なキャンバスのような君たちをね。これからは、二人はライバルになるんだぞ。頑張って売り上げを伸ばしてくれよ。期待しているからな」
こうして、友達同士の二人は、福岡に赴任することとなり、改めて自分たちの縁を喜んだ。きっといろんな施策を考えて博多の若者を惹きつける店舗にしてくれることだろう。また、もつ鍋屋さんで集う日も近そうだ。
了
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