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9月26日 くつろぎの日 【SS】愛しすぎた人(3.別荘の男)

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- くつろぎの日

愛知県名古屋市東区に本社を置き、喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」や甘味喫茶「おかげ庵」などを展開する株式会社コメダが制定。

日付は「く(9)つ(2)ろ(6)ぎ」と読む語呂合わせから。

同社は「コメダ珈琲店」を全国に展開し、多くの人に「くつろぎの場」を提供をしてきた。2018年(平成30年)に創業50年を迎え、お客様にとってさらに「くつろぐ、いちばんいいところ」であり続けることが目的。記念日は2019年(令和元年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。


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【SS】愛しすぎた人(3.別荘の男)

 証刑事と縁梨刑事は、キャンプ場とは反対側の山にある分譲別荘地に向かった。大半の別荘は普段は人がいないのだが、たまに退職した人たちが街の喧騒から離れたいと決断し、引っ越してくることがある。別所もその一人だった。別所は小さな商社で役員まで務め上げ、在職時代に二軒の別荘をこの地に購入していた。一軒は自分が将来住むために購入し、もう一軒は子供家族が遊びに来る時のためにと購入したものだった。

 別所は退職後は妻と二人で別荘で暮らすつもりだったのだが、残念ながら引っ越す前に妻は病を患い他界してしまった。それで別所は、妻との思い出が詰まった家を売却し、老後の資金として別荘に引っ越し、楽しかった昔を思い出しながら、のんびりとくつろぐ毎日を送っていた。子供家族も忙しいようで、別荘にくるようなこともなく、そのうちに海外に転勤になり、家族でイタリアに引っ越してしまったのだった。小鳥の囀りや虫の鳴き声を聞きながらグラスを傾ける毎日を過ごしていたのだ。

「こんにちは。別所さん、いらっしゃいますか。神奈川県警です」

 別所はベランダにいた。コーヒーを片手に、木々の葉っぱが風に揺られて奏でる自然の音楽を聴きながらくつろいでいた。急に声をかけられ、心地よい時間を中断しなければいけなくなり、少し不機嫌に男は証刑事たちを見て返事をした。

「はい。私が別所ですが、警察の方々が一体何用ですか?」

「お寛ぎのところ申し訳ありません。少しお話をさせてください。実は常夏旅人さんの遺体が発見されまして、そのことで少し聞かせていただきたいのです」

「えっ、常夏が殺された。本当ですか、信じられません。何日か留守にすることはこれまでも何回もありましたが、まさか殺されるなんて。そういえば、数日見ていませんね」

「常夏さんが普段生活されている別荘はどこでしょうか。案内をお願いしてもよろしいですか」

「えっ、ああ、もちろん。私は一応家主ですから。少しお待ちください。鍵をとってきます」

 こうして別所の案内の下、常夏が生活していた別荘に向かった。その際、証刑事は別所が住んでいる別荘の中を確認し、角のあるテーブルのようなものがあるか確認していた。部屋の中にはそれほど重たそうなテーブルはなかったが、ベランダには鉄製のテーブルとイスが置いてあるのを確認していた。

 常夏が住んでいた別荘に案内してもらう途中、証刑事は別所に質問しながら歩いていた。

「この辺りは、秋になれば紅葉が綺麗なんでしょうね」

「ええ、ただ私は色弱なので紅葉の綺麗さをあまり感じないんですよ。通常の葉っぱとの色の見分けがあまりつかないので」

「そうなんですか。これは失礼な質問をしてしまいました。申し訳ありません」

「いえいえ、私も全然気にしてませんので、大丈夫です」

「ところで、最近、常夏さんの生活に変わったところはありませんでしたか」

「ええ、実は、知り合いだったので、別荘を貸したのですが、別荘の中の物置に入れてあった骨董品を勝手に売り捌いていたみたいなんですよ。街には一軒しか骨董屋は無いので不審に思った骨董屋の主人が電話をしてきたんですよ。盗まれたのでは無いかって」

「それで実際のところはどうなんです。勝手に転売されていたわけですか」

「ええ、そうでした。ただ、常夏が住み始めた別荘に保管してある骨董品は、大半が贋作なので私もことを荒立てることなく静観していました。気づいてやめてくれれば良いかなと思っていた程度です」

「なるほど。その中に高額な品物はなかっということですね」

「ええ、そうです。それ以前に家賃をきちんと払わないということの方が問題でしたよ。私もあまり督促したくは無いので、ほったらかしていたのですが、もう数ヶ月間家賃をもらっていないので、そろそろ何とかしなければと思っていたところでした」

「ということは大家さんとしては、きちんと家賃を払うか出ていくかしてほしかったわけですね」

「ええ、まぁ、そう言われればそうなりますね。私も今では年金暮らしなので」

 常夏が生活をしていた別荘に到着した。別所が住んでいるところからは、徒歩で数分程度の距離だった。間に数件別荘が存在しているので、別所の住まいからは直接見える場所ではない。利用時のプライバシーを考慮して、少し離れた別荘を購入していたのだ。その時、縁梨刑事が常夏が生活していた別荘の前の道を確認して何かを見つけ、証刑事に耳打ちをした。

「証刑事、常夏が乗っていたのは表に止まっている軽自動車ですが、その前にはSUVらしき車のタイヤ痕がありましたよ。要確認ですね」

 三人は、別所が持っている合鍵で常夏の住まいである別荘の中に入った。まず目に飛び込んできたのが、一枚板でできた頑丈そうな食卓だった。証刑事は、縁梨刑事にルミノール反応を鑑識に依頼するように言った。別所を玄関で待たせて、証刑事は部屋の中を一通り見て回った。あまりにも綺麗に掃除され整理されているので逆に違和感を感じていた。特に、ベッド周りはホテルのベッドのようにベッドメイキングが施されている。男性一人で収入もそれほどでもない生活にしてはゆとりを感じたのだ。あとは、鑑識の仕事を待つことにした。

「別所さん、つかぬことを伺いますが、今、車は何にお乗りですか」

「ここに引っ越してからは、軽自動車のジムニーに変えました。遠出もしませんしね」

「なるほど。この辺りでSUV車を見かけることはありますか」

「他の別荘の方は今では大半がSUVに乗っておられるようですから、よく見かけますよ」

「そうですか。常夏さんのところには来客は結構あったのでしょうか?」

「ああ、常夏さんのところには時々緑色の車が来ていましたね。そういえばそれもSUV車だったと思います」

 証刑事と縁梨刑事は、常夏の住まいの鑑識の結果を待つとともに、別荘地一体の監視カメラの映像を手配して近くの警察署で確認することにした。そしてあることに気付く。

続く


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