【SS 12月30日】地下鉄記念日
【今日は何の日ショートショート】- 地下鉄記念日
1927年の今日、上野~浅草間(2.2km)に日本初の地下鉄が走った。名実ともに地下鉄が運行開始した日だ。工事期間も早く二年と三ヶ月の期間だった。当時は珍しさもあり多くの人が押し寄せて来たようだ。地下鉄の父とも呼ばれる早川徳次の尽力の成果だった。
【SS】迷路のような地下鉄
何気なく地下鉄に乗り込み移動する。そんな光景は都内では当たり前だ。
だが四十五年前というとちょっと話は変わる。例えば、銀座線に乗ると、レールの継ぎ目で電気の供給が途切れて一瞬車内は真っ暗になることもあった。ちょっとした恐怖体験だった。
かと思えば、東西線に至っては船橋でなんとか乗車して乗っていくとあまりの混み具合のため、体が宙に浮いたこともあった。かなり驚いた経験だ。なんとか早稲田あたりになり乗客が少なくなると、ブックバンドの間に挟んでいたボールペンが悲惨な姿となって車内の床に転がっていたこともある。学生時代の話である。当時私はブックバンドで教科書を挟んで電車に乗っていたのだ。
その後、地下鉄はどんどん追加され、地下四階のホームなどほとんどモグラの街状態に東京の地下は穴だらけになった。それに伴い、乗り換えが水平の乗り換えから垂直の乗り換えに変わり、いつの間にか駅構内の案内図は立体構造を表すために3Dになっていた。
上京した人たちにとっては迷路となっている地下鉄ではないだろうか。そしてさらに地上に出た時の混乱。向いている方向が解らないといったことが初めて降りる駅では起こりうる。一生懸命スマホでGoogleマップを開いて確認してはいないだろうか。デジタルの世界はとても便利だ。
それだけ複雑になっている東京の地下鉄は便利さも生み出したが、人間の持つ感覚を鈍くしているようにも感じてしまう。案内板やスマホに従って動いているだけのような気がしてならない。もし、スマホが間違いを教えたり、案内板が間違っていたら、人は正しく目的地に到達できるのだろうか。
今の世の中は、自分の記憶や経験、感性で判断する機会が奪われ過ぎているような気もしてしまう。もしかして、デジタルに頼り過ぎて、アナログデバイドになっているのではないだろうか。
了
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