【ミステリー】猛暑日の怪事件
ミステリー「猛暑日の怪事件」Amazon kindleでリリース中
2020年7月、あまりにも暑い日が続いている中、そのことを利用した殺人事件の話が書けそうだと感じ、この小説に取り組んでみました。当初は8000文字程度の短編を書こうと思いパソコンに向かいましたが、複数トリックや人の関係を増やしたことで収まりきれなくなり、結果として長編小説の入り口である120,000文字越えにまで成長し、自分で基準を定義した後の最初の長編小説となりました。
内容としては、遺産相続に関わる怪事件を追いかけたストーリーですが、その方法や関係する人々のの葛藤を書いてみました。本編では、殺人事件へと繋がり、どう解決されるのかお楽しみいただければと思います。
Amazon kindleでのペーパーバックおよび電子書籍としてリリースしました。もちろん、Kindle Unlimited対応なので、Unlimited会員の方は追加料金不要です。印刷した本であるペーパーバックは、印刷コストがページ数に応じてかかってしまうため、ほぼ限界の価格で設定しましたが、それでも電子書籍版とかなり乖離してしまいました。
電子書籍版のプロローグ部分を公開させていただきますのでお読みください。
プロローグ
先祖代々引き継がれてきた多大な資産を自らの代で二倍ほどに膨らませることに成功した男がいた。家庭を持ってはいたが、ほとんど顧みることもなく日々資産を大きくすることだけを目指して生きていた。この男は働きに出たこともなければ大きな会社の社長でもない。大学で経済学を学び、卒業後は単なる個人事業主として父親から受け継いだ資産を増やすことに全精力を使った。不動産会社、銀行、投資会社の担当者をまるで自分の部下のように使い、男は父親の代から引き継いだ不動産や金融商品資産など、約百億円をベースとして、日々、銀行や証券会社、不動産会社と情報交換しながら、かなりのハイペースで資産を増やすことに成功していた。この男の時代はまだまだ人と接して情報を得ることが主流であり、集めた情報を自ら検討して判断することが多かった時代である。今のようにインターネットを駆使して情報収集できるようなことも少なく、会社として組織で対応する必要もなく資産を大きくできた要素もある。つまり自分だけがコストだったのだ。ただ、その代わりとして男の時間の大半は仕事に向けられ、家庭を顧みる時間はほとんどなかったのだ。結果として子供たちと過ごす共通な時間も少なくなり、今となっては大きな犠牲を払ったと後悔していた。
最初の子供である長男のことは自分の跡取りだと思い、小さい頃はよく可愛がっていたのだが、その後誕生した長女、次女に対しては時間が取れずあまり遊んだ記憶もないようだった。そんな男も毎年一つずつ歳をとる。仕方ないことだが体は衰弱し衰えていくのである。そして、衰弱した自分を認識した頃、自分が死んだ後のことを真剣に考え始めるのである。この男も例外ではなかった。後悔先に立たずとはよく言ったものだ。気づいた時にはすでに手遅れで、自ら築き上げた資産という男にとっては価値あるものを安心して任せられる子供が育っていなかった。特に長男は人がいいだけで人の上に立てる器量を持ち合わせていなかった。母親のおとなしすぎる性格をそのまま受け継いでしまったようだ。しかし、人は環境で変わるものである。この男自体は、幼い頃父親から厳しく指導され、後を継ぐことのためだけに勉強を強いられたのだった。人との付き合い方、人の使い方、お金の使い方に至るまで父親から叩き込まれたのだった。しかし、そのことがこの男の時代になった時、同じことを繰り返したくないと言う気持ちに置き換わっていたのである。自分が小さい頃、あまりにも自由のない子供時代を過ごしたことが鮮明に記憶として残っていたのだ。それは普段の遊び仲間の少なさや、成長した後に気がつけば親友と呼べる友達がいないということで気がついた。そんな思いを自分の子供にはさせたくないと考え、男は自分の子供たちと自然に距離を取るようになってしまった。資産があるが故の悩みも多く抱えていたが、頑として自分の生き方を変えようとはしなかった。自分のやっている仕事に子供たちを巻き込みたくなかったのだ。お金でお金を作るような仕事に子供たちが興味を示すことが怖かったし、もっと広い世界で学んでほしかったのだ。真っ直ぐな心を保ち続けることが如何に大変なことかということを男はわかっていたし、信頼できる友達がいない辛さもわかっていたからだ。子供たちはきっとお金の力に流されてしまうだろうとも判断していた。なので子供たちには、一生懸命働いた対価としてお金が入ってくるような仕事について欲しいと思っていた。そしてそんな活動の中で、人脈を広げていってほしいと考えていた。自分と同じレールの上を歩かせたくないと思い、あえて自分の仕事を手伝わせるようなことはしなかった。しかし、そのことは子供たちに伝わるはずもなく、子供たちは次第に父親に対して不信感を抱いていったのだった。子供たちは、父は自分達よりもお金の方が大切だと考えているのではないかとさえ思い始めていた。そして、男が九十歳を超える頃には子供たちもみんな六十歳前後にまでなっていた。長男はもうすぐ年金開始になると言う年に近づいていた。すでに子供たち自体が自分達の子供に対する相続のことを考えないとならない年になっていたので、父親であるこの男に対する不信感はピークに達していたのである。
ワンマンと言える男でも、年齢に抗うことはできなくなってきていた。そこで、唯一信用できる相手と共に遺産相続のあり方を検討し整理していた。そして、やっと公式な文書としての遺言書まで作り上げることができたのだった。その内容は驚くべき内容だったが、男にとっては孫の世代になっても困らないようにするにはどうすればいいかと言うことを考え検討した結果だった。過ぎゆく時間の中で後継の事で葛藤する男と男を取り巻く様々な人間関係とお金が絡む問題の中で起こってしまった事件をこれから追いかけていきたい。
この続きは、電子書籍でお楽しみください。松浦照葉の初長編ミステリーです。
↓ つづきの内容は、こちらから。もちろん、kindle unlimited 対応です。
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