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2月6日 プロフェッショナルの日 【SS】二人のコンサル

【今日は何の日】- プロフェッショナルの日

 語呂合わせで「プロ」と読み取れることからこの日をプロフェッショナルの日として、人材のマッチングを実施する会社であるみらいワークスが制定した日である。2019年(平成31年)4月以降、「高度プロフェッショナル制度」が創設されるのにともない、より多くの人に「プロフェッショナル」を身近に感じてもらうことが目的。


【SS】二人のコンサル

 どんな職業にしろ、対価をもらって仕事をしているのであればプロフェッショナルであり、そこに認定試験などはない。近年、高度プロフェッショナル制度なるものが取り沙汰され始めた。それ以前は裁量労働という言葉が主流だったが、裁量労働はあくまでも労働基準法の適用内の解釈であり、高度プロフェッショナル制度は労働基準法の適用を受けないというところが最も大きい。そのため、年収千七十五万円以上であることも定義されているのである。見方を変えれば企業を保護している制度とも受け取られかねないが適用された人の自覚が大切になる制度だ。

 あるコンサルティング会社に高度プロフェッショナルの適用を受けている二人のコンサルタントがいた。一人は、親野心(おやのこころ)という三十一歳のシステムコンサルタント、もうひとりは、勝野中(かつのあたる)という三十三歳の戦略コンサルタントだった。

 この二人は、当初お客様からの信頼も厚く仕事も正確だった。ただ、この二人にはたった一つ大きな違いがあった。それはスピード。ココロは納得いくまでじっくりと熟考するタイプだったが、アタルは経験によるテンプレートをベースにお客に合わせて少しだけカストマイズして提供するので圧倒的に仕事が早い。したがって、会社として利益率が高いのはアタルの方だった。仕事は契約期間より前に結果をお客様に提出すればそこで契約を終了できるからである。

 アタルは全ての案件を予定の期間より早く終わらせるので年間で担当する案件数が他のコンサルタントに比べ非常に多かった。ある時、偶然にココロとアタルが話をする機会を持つことができ、対象とするお客様の違いはあるのだが、コンサルタントとしての心構えなどを話し合っていた。

「頑張っているみたいだな。ココロ」

「ありがとうございます。でも、アタル先輩には追いつけません」

「あれ、ひょっとして追いつこうと思ってたのかな。まだ十年早いな」

「そうかもしれませんね。アタル先輩のコンサルに対する取り組みって、なんか先輩なりのルールみたいなものを持ってるんですか」

「俺はさ、これまで担当した顧客の状況を常に整理して業種ごとの戦略テンプレートを育てているんだよ。それをベースに顧客に提案しているから他のコンサルに比べると半分くらいの労力で結果を出せるんだ。顧客の考えなんてほとんど聞き流しているね。顧客は不安なんだから、それを消してあげるのが俺の仕事。そのためのテンプレートを俺は持っている」

「すごいですね。でもそれじゃあ、その会社の思い入れとか社長の願いみたいなものは取り込めてないなんてことになりませんか」

「おい、ココロ。だからお前の案件はいつもギリギリまで結果を出せないんだよ。重要なことは顧客を安心させることであって、希望とか要望を聞くことじゃないんだよ。もっともココロは、システムコンサルだから仕方ないケースもあるかもしれないけど、システム化なんてテンプレート化できるだろう。すでに業務がある場合がほとんどなんだから。俺だったら、全く新規の分野の案件なんかは受けないで、既存業務の改善だけを受注するな。そうすればテンプレートで商売できるだろ」

「なるほどね。アタル先輩のパフォーマンスの高さが少し理解できた様な気がします。僕にはできないかなぁ」

「だろう。だからテンプレートをろくに作っていないお前は俺に追いつくことはできないんだよ。せいぜい俺の背中を見続けるだけかな。はっはっは」

 ココロは決してアタルを追いかけているわけではなかった。彼の信念は「お客様の数だけ仕事の結果は違う。金太郎飴の様にアウトプットしていては長いお付き合いはできない」というものだった。実際、アタルは仕事は早いのだがリピートオーダー率が低かった。それに比べ、ココロは新規のお客様を開拓する時間がないほどリピートオーダーが多かった。

 ある日、贔屓にしていただいているお客様からココロに連絡が入ってきた。

「これまで多くのシステムコンサルを実施してもらい、とても助かりました。大体コンサルの結果を受けたシステム開発はうまくいかないという社内のクレームも今では過去のことになりました。それで、今回のご相談なのですが、新しい事業分野を目指す時期にきたのではないかと考えていて、戦略コンサルを親野さんに担当していただきたいと思っているのです。引き受けていただけないでしょうか」

「ありがとうございます。高く評価していただいてとても嬉しく思います。ただ、戦略コンサルであれば弊社にも勝野というコンサルタントも在籍しておりますが、そちらでなくてもよろしいのでしょうか。私よりも勝野のほうが戦略分野はくわしいのですが」

「ええ、存じ上げております。ただ、勝野さんには以前ちょっとした戦略コンサルを実施していただいたのですが、我が社の方針や施策、目指すところをあまり真剣に見ていただけなかったもので、社内から強い反発を買っているのです。同じ御社内の方を悪くは言いたくないのですが、弊社とはあまり会わない方の様です」

「そうですか。わかりました。私でよければ担当させていただきます。早速来週にでも、御社の戦略についてお話を聞きに伺うとともに契約書をお持ちしたいと思います。担当させていただいたシステムコンサルの結果の一ヶ月後の状況も確認したいと思っていますので、その時で如何でしょうか」

 こうして、ココロはお客様の評価を地道に得て、固定客が増えリピートオーダーを増加させていったのである。一方、アタルの方は新規の案件依頼も目減りしてきたため、見切りをつけ外資系のコンサルタント会社への転職を模索していた。しかし、アタルの業界内での評判は結構有名になっていたので、彼を受け入れてくれるコンサルティング会社はなかなか現れることはなかった。

 そして十年経過した。ココロは役員待遇になり、信頼される若手コンサルタントの育成に力を入れるようになっていた。「お客様の話にまず耳を傾け咀嚼しろ」というのが彼のモットーだった。転職できなかったアタルは、いつの間にかココロの部下として仕事をする様になっていた。十年経過して立場は逆転してしまっていたのである。


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