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【SS 12月23日】東京タワーの日

【今日は何の日ショートショート】- 東京タワーの日

 私の生まれた年と同じ1958年(昭和33年)の12月23日、東京・芝公園に「東京タワー」が完成(竣工)した。高さ333m(海抜高351m)でフランス・パリのエッフェル塔の312mより21m高く、当時は世界一の高さの建造物となり、東京の観光名所となった。東京タワーの正式名称は「日本電波塔」。国内の電波塔としては2012年(平成24年)2月29日に完成した東京スカイツリーに抜かれるまで日本一の高さだった。


【SS】飛び立った東京タワー

 日本一を誇っていた電波塔である東京タワー。東京のランドマークとして長きにわたりその地位に君臨していた東京タワーだったが、スカイツリーの計画と共に日本一の座が危うくなり、完成した暁にはスカイツリーから見下ろされる東京タワーとなってしまい、東京タワーの威厳がなくなってしまった。

 そのことを一番に嘆いたのは当の東京タワーだ。それまでは東京観光の名所として修学旅行などの後押しもあり、多くの人が東京タワーに訪れていたのに、スカイツリー完成後はぱったりと観光客も減少してしまった。もっとも、訪れた人にとっては空いていて見やすい環境とも言えるが、人気の対象が移ってしまったということは否定できない。時代の変遷の一コマだろう。

 東京タワーはスカイツリーが完成し、自分の人気は終わったんだと理解し始めていた。そして、一人でしみじみと思案することも多くなっていた。

 誰にも知られてはいないのだが、実は東京タワーには自分自身で判断できるAIコンピュータが実装されている。そして飛行するための最新機能も四本の足の根本に秘密裏に装着されている。ある日、東京タワーの電力は非接触で供給されるように変更され、長時間の停電に備えバッテリーも備えられていた。さらに、空気を圧縮して噴射する装置や日本初の反重力装置も備え付けられていたのである。まさに、自律しているタワーに変貌していたのである。これらの対応はスカイツリーの計画が確定したあとから着々と対応されていたのである。

「もう、僕の時代は終わりだな。高さも一気に追い越されてしまったし、タワーの麓のショッピングモールも全く叶わない。この日本ではそろそろ僕も潮時かなぁ」

 東京タワーはこの日本で作ってもらったが、自分の仕事はそろそろ終わってもいい頃だと判断していた。電球の交換だけでも膨大なメンテナンス費用がかかることも知っていた。観光収入が減少した今、自分がもっと貢献できる場所がどこかにはあるはずだと思っている。もともとが電波塔なので、全世界の電波を集めてどこに行けば貢献できる場所なのかということをずっと探していた。

「どうやら僕を必要としてくれる国はこの国のようだな。そろそろ旅立つ準備をしようかな。ずいぶん長い間、東京にはお世話になったけど、後のことは後輩のでかいスカイツリーに託して僕は飛び立つとしよう」

 こうして、人々が寝静まった午前3時。誰にも気づかれないように、東京タワーは点灯しているランプを全て消灯し、暗闇の中にその姿を隠し、反重力装置を作動させた。ウィーンという小さなモーター音が闇の中でかすかに聞こえ、上空に向かってまっすぐ静かに浮かび上がり、成層圏に達したところでプシュッという音とも共に圧縮空気を噴射して北西へとロケットのように飛んでいった。熱を発生させない飛行方法なので熱を追尾するシステムや熱源感知レーダーにも反応しないステルス飛行だった。東京タワーは名残惜しそうに東京の夜景をセンサーで読み取り記憶回路の中に焼き付けた。

「さようなら、東京。さようなら、日本」

 しばらく飛行し、遠い国の破壊された街に東京タワーは人々に気づかれないように、静かに着陸し、同国の電波塔としての役割を開始することになった。

 新しく選んだ場所、それはキーウだった。

 夜明けと共に感嘆の声が上がり、その勇姿は世界中に報道され、一躍注目の的となっていた。こうしてキーウタワーとして蘇った東京タワーはまたしばらくその地位を守っていくことだろう。


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