【SS】クールダウンする車
やっと涼しくなってきたと思ってはいたが、時折訪れる小春日和を超えた真夏のような暑さの日。ニュースでは幼い子が車の中に放置され死亡する事故がニュースから流れる。毎回同じように、こんな悲惨な事故は二度と起こさないようにして欲しいという被害者の声も現場には届いていないかのように感じる。働いている方も大変なのかもしれないが「命」のことをもう少し考えてくれていたら行動も変わるのにと思いながらいつもニュースを見ている。
そして23年が経った2045年、やっと対策を実施した新しい車が発売されるというニュースが流れている。
「世界に誇る自動車メーカーのハラチ自動車は、熱中症防止機能がついた自動車の販売を開始しました。園児置き去り事件などを受け研究者が開発を続け、ようやく安全性が確認され販売開始になった模様です」
ホームページに行って仕組みを確認してみると、三重サッシとなった完全断熱の窓ガラスが装備され、天井や車体には断熱材が入れられ、さらにソーラーの電気だけで稼働する簡易型エアコンの吹き出し口が天井についているというものだった。もちろん、天井の外側は全面が熱交換率の高いソーラーパネルとなっている。バッテリーを消費しないので通常の機能には影響しない作りが売りとなっていた。センサーにより、車内温度が28度以上の時にしか作動しない設定となっているのもエコ対応だ。通園通学用のバスに設置され販売開始されるようだ。もちろん、全座席にはセンサーが付けられ停車後一定時間経過しても乗車している人を検知した場合は連絡がメールで入るとともにクラクションが作動するようになっている。
一件でも事故が少なくなることを願い、政府から買い替え補助金のプログラムが発表された。補助金は新車価格の70%で販売会社は旧車を30%で下取りすることを計画している。この施策により、幼稚園や学校は追加費用なしで新しい車を導入できるようになるだろう。まずは幼稚園や学校を対象とした施策として始まるようだ。ハラチ自動車では政府からの支援を受け、今後も幼児にとって安全な車になるような改善を続けていくらしい。
ハラチ自動車とともに、小さな命をみんなで守っていきたい。大切な日本の将来なのだから。
了
近頃ニュースで放送される痛ましい車の事故。特に小さい子供の車内放置。とても胸が痛みます。そんなニュースを見ていて根本的に内部が暑くならない車があればいいのにと思いショートショートにしてみました。
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