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4月24日 植物学の日・マキノの日 【SS】もしかして

日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。


【今日は何の日】- 植物学の日・マキノの日

1862年(文久2年)のこの日(旧暦の4月24日)、植物学者の牧野富太郎(まきの とみたろう、1862~1957年)が土佐国佐川村(現:高知県高岡郡佐川町)で生まれた。

その家は近隣から「佐川の岸屋」と呼ばれた商家で、雑貨業と酒造業を営む裕福な家だった。そして、彼は幼少のころから植物に興味を示していたと伝わる。

牧野博士は「日本の植物学の父」といわれ、独学で植物分類学を研究し、94歳でこの世を去るまでの生涯を植物研究に費やした。その研究成果は50万点もの標本や観察記録、そして『牧野日本植物図鑑』に代表される多数の著作として残っている。

NHK連続テレビ小説の「らんまん」のモデルになった人物である。



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【SS】もしかして

 気がついた時、僕はペットショップのガラスの内側にいた。たしか、かすかな記憶だとどこかの戦争に参加していた兵士だったような気がするのだが、今はなぜか四本足で歩いている。時々ガラスに自分の姿が映るが、色は真っ白のようだ。確かに手足を見ると白い毛で覆われている。もしかして、僕は生まれ変わったのか。もしかして戦争で死んだのか。もしかして、もしかして、そんな言葉が頭の中で渦巻いている。

「わー、この子可愛い。ねぇパパ、この子がいい」

「ん、どれどれ、おお、本当だ、可愛いね」

 どうやら僕を見ながら親子で話をしている。もしかして僕は商品なんだろうか。店員のような女性が鍵を開けて中に入るなり、僕を片手でヒョイっと抱え上げた。

「お客様、どうぞ、抱っこしてみますか。お嬢さんの方がいいかな」

「パパ、抱っこするする。わー、やっぱりカワイイ。この子がいい」

「そうか、じゃあ、この子にうちの子になってもらおうか。すみません、この子を気に入ったようなので、この子でお願いします」

「はい、わかりました。ありがとうございます。では、こちらで手続きをお願いします」

 どうやら僕は「お買い上げ」されたようだ。これは夢でもなんでもなく、やはり僕は転生して犬になってしまったんだな。しかし、なぜ人間の時の記憶が消えていないんだろう。もしかして、この後真っ当な人生ならぬ犬生を送れば、また人間に生まれ変われるのだろうか。もしかしたらそうかもしれない。ならば、今はペットの犬として一生懸命に生きることにしよう。

 程なくして、僕は女の子に抱かれ新しい僕の家になるだろうという場所に連れて帰られた。

「この子の名前はどうするんだ」

「えっとね、白いからシロ」

 どうやら僕の名前はシロになるようだ。こうなればとことん犬としてこの家に馴染んでやろうと思った。初めての場所での初めての夜を迎え、僕はふかふかの専用ベッドで横になった。あまりの気持ちよさに眠りの中に落ちて行った。

 明るい日差しで目が覚めた。しかし、周りに見えるものが昨日とは違う。周りには高い木がそびえたっていて、その間から眩しい朝日が光を届けていた。僕が寝ていたところを確認して見ると、草のようなものが敷き詰められているだけの粗末なベッドだった。そう、これはワラだ。遠くから声が聞こえてきた。

「タロ、朝ごはんじゃ」

 おじいさんが、僕のことをタロと呼んでいる。気がつくと昨日は真っ白だった手足は黄ばんでいてなんとなく汚れている。何か変だ。もしかして違う犬の中に僕の意識は移されたのか。それとも、もしかしてこれが現実で昨日のことは夢だったのか。だんだん自分でもわからなくなってきた。でもお腹は空いたのでご飯を食べた。

 おじいさんが近寄ってきて、朝ごはんを食べたことを確認すると、繋いでいたロープを外して、僕を歩かせ始めた。どうやら散歩らしい。ちょっと面倒だったけど付き合うことにした。ひとしきり山を回って家に戻ってきた。周りには一件も家がないところだ。散歩が終わり、おじいさんは一眠りしそうな気配。僕も一緒にウトウトし始めた。なんとなくしばらく眠っていたなと思い目を覚ました。もしかして随分寝たかもしれないと思い。表に出てみた。家の前は、車通りでトラックやタクシーが先を急ぐように飛び交っている。ふと脳裏を嫌な予感が通り過ぎた。もしかしてまた違う犬になっているのかと。

『今度は色がグレーのシュナウザーじゃないか。一体どうなっているんだろう』

「シン、散歩に行きましょう。あなたの健康を守らないといけませんからね」

なんだか妙に丁寧な言葉だ。今回の僕はシンという名前らしい。散歩はとっても短くて家の周りを一周するだけだ。二十分でおしまい。でも家を回るだけで二十分って家が大きいみたいだ。散歩から戻ってくると、白いエプロンをしているおばさんが僕のご飯を準備していてくれた。なんとどこからどうみても美味しそうな肉だ。兵士の時もその後の犬になってからもこんな立派なステーキ肉を食べたことはない。いきなり貪りつこうとしたら、お皿を取り上げられて、お手だの伏せなどと言われた。ここで逆らっても得なことはないことはわかっていたので、言われた通りに動く。やっとステーキにありついた。美味い、こんないい肉食べた経験はなかった。これはいい暮らしだ、このまま続いて欲しいと思うくらいだった。

 ひとしきり遊んで日が暮れ夕食をとったら、お風呂にも入れてもらって、すっきり、さっぱり。ふかふかのベッドにゴロンとなって周りを見渡したら、なんて広い部屋なんだと思うくらいの僕の部屋。うとうとしてそのうち眠りに落ちていた。

 周りが騒がしい。聞いたことがある音だ。そう思ったら、隣のやつに叩き起こされた。

「敵襲だ。起きろ。やられるぞ」

「えっ、ここは戦場じゃないか」そう思い、思わず手を見た。人間の手だった。今までのは夢だったのかと思ったが、やけに鮮明な記憶だ。しかし、そんなことを考えている余裕はない。相棒のヒットマンという名前のシェパードのリードを掴み建物の後ろに回った。もちろんマシンガンも持っている。

 もしかして、僕は犬と共に行動する兵士だから、犬の経験をさせられたのかと思った。地雷エリアなどはヒットマンに先頭を任せていたり、銃撃戦の時には銃弾の雨を潜り抜けて敵に噛みつき、僕たちが安全に進めるようにしてくれていた。それまではそんな役割の犬だからと思っていたのだが、自分が犬になってしまうと人間となんら変わらないということがわかってしまった。これまで悪いことをしていたなと反省もした。

 もしかして、神様は犬の気持ちをわからせるために僕を犬の意識に送り込んだのだろうか。それにしても、犬から犬に渡り歩いたことで、一つのことを知り尽くす重要さを見にしみて学習できたような気がする。今は、目の前に迫っている敵襲からなんとか逃れて体制を作り直す時間が必要だ。

「ヒットマン。すまないが、我々が安全なエリアまで逃げる時間を稼いでくれ」

 苦渋の決断を僕は下すとともにヒットマンを繋いでいるリードを外した。


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