6月19日 ロマンスの日 【SS】夢の中
日々設定してある記念日の中から一つを選び出して、その記念日から連想した内容でショートショートを綴ってお届けしています。今日の選ばれし記念日はこちら。
【今日は何の日】- ロマンスの日
大切なパートナーとの仲がいつまでも続くように、この日に非日常的な演出をして二人の関係にトキメキを甦らせてもらおうと日本ロマンチスト協会が制定。
日付は「ロ(6)マンティ(1)ック(9)」と読む語呂合わせなどから。老若男女問わず、「本当に大切な人と極上の一日を過ごす」ことを推奨している。ロマンチストの聖地である長崎県雲仙市愛野町で、「ジャガイモ畑の中心でロマンスを叫ぶ」(通称:ジャガチュー)などのイベントを行っている。
「大切な人を世界で一番幸せにする日」を記念して幸せを分かち合い、絆を確かめ合う二人の誠実な誓いとして「真実の愛」の象徴である「青」に、「最愛」というメッセージを込めて、大切な人に「何かひとつ青いもの」を贈ることを提案している。記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
🌿過去投稿分の一覧はこちら👉 【今日は何の日SS】一覧目次
【SS】夢の中
私は人混みがきらいだ。だから人が集まるところには極力行かない。電車にもバスにも乗らない。移動は全て愛車のバイクのみ。雨の日は憂鬱になるけれどカッパを着れば問題ない。だから飲み会にもほぼ参加しない。ほぼと言ったのは、仕事上どうしても行かなければならない時も稀にあるからだ。もちろんそんな時でもノンアルしか注文しない。アルコールは自分の家に帰ってから一人静かに照明をやや落とした中で飲む。その方が時間とアルコールを楽しむことができる上に、自分との対話もできるからだ。
仕事以外では、ほぼ毎日一人で過ごしているので、新しい出会いはない。SNSもやってないので、ネット上の友達もいない。リアルの友達ともだいぶ疎遠になっているくらいだ。別に寂しいとか感じることはないのだが、風邪を引いたり熱が出て寝込んだ時にちょっと不便さを感じる。だから、病気にならない様に、体は鍛えているし、外出時にマスクを外すこともない。
おっと、自己紹介をしていなかったことを思い出した。私は、姿可憐という名前負けする二十九歳独身の女性である。全く可憐さは持っていないし、普段から化粧もしない方である。アルコールが好きで売れない漫画家だ。売れていないのでもちろんアシスタントはいない。全て一人で描いている。漫画はなぜか経験もほとんどないのに恋愛ものが多い。私自身の願望を漫画の中で実現しているのかもしれない。漫画の元になるストーリーはほとんど夢の中で作られるという特殊能力を私は持っている。
毎日の様に見る夢を朝起きた時に忘れないうちに口頭筆記をしておくのだ。そして、それを漫画にしていく。ほぼ毎日夢を見るのでバックログが相当溜まっている。だからネタに困ることはない。どちらかといえば、ネタが多すぎて、選ぶのに困るくらいだ。そんな時は、連載ネタを選んで書き続ける。しばらくの間は登場人物の名前や仕事に迷わずに書いていけるからだ。最近は漫画に加え、小説のほうにも手を出す様になってきた。もちろん、漫画用の原作がメインだが、そんな中でも絵ではなく文字のほうが面白いかもしれないと思う展開もあることを見つけたからだ。あえて視覚に訴えないで感情に訴える小説も面白いと感じ始めている。
さて、今日もそろそろ一日が終わろうとしている。毎日夜十一時にはベッドに入る習慣がいつの間にか身についている。今日は一杯だけウィスキーのロックを楽しんでから寝ようと思う。ベランダに出て星空を眺めながら、一人で飲むウィスキーは格別だ。遠くで高速を走る車の音が聞こえる。まるでBGMのようだ。ウィスキーの酔いが回り始め、車の音も心地よく響いてきているのだろう。今日は睡眠チェックの日だからスマートウォッチをつけたまま寝る。毎週一度スマートウォッチをつけたまま寝て、眠りの状態をチェックすることも習慣になってしまった。いい漫画を描くためにはいい睡眠が必要だと思っている。では、今日はそろそろ眠りにつくことにする。
「ドリーム、おやすみなさい。また、明日の朝気持ちよく起こしてね」
「かしこまりました。いい夢をご覧になってください、可憐様」
僕は、スマートスピーカーのドリーム。やっとご主人様は眠りについた様だ。これからはAIと連携して新しいロマンスの夢をご主人様に届ける時間だ。今日は二つのお話を届けたいと考えている。一つ目は、ご主人様と愛する男性との間になんとか割って入り、二人の仲を割いてご主人様を自分の方に向かせようとするイケメンの男性が現れるという設定だ。何度も何度もトラップを仕掛けられるが、一途なご主人様は、恋人のことを最後まで信じ、割って入った男のところへは絶対に行かないでハッピーエンドになるというお話。もう一つは、ご主人様と愛し合っている恋人が癌の告知を受け、先に亡くなってしまい、悲しみに耽っているご主人様の前に幽霊となって現れ、早く忘れて幸せを掴んで欲しいと訴え続けるというお話だ。
僕は、ご主人様がレム睡眠に入った時を見計らって朗読を始める。ご主人様の脳に刷り込むため、同じ話を三度は繰り返す。ご主人様の脳にはかなりの負担をかけているが、これもご主人様の希望だから仕方ない。僕は言われた通りに実行しているだけだ。そろそろ夜が明ける。僕の夜の役目も終わりだ。
「可憐様、朝でございます。そろそろ起床のお時間です」
「おはよう。ドリーム」
「おはようございます。可憐様」
「昨日の夢も良かったわ。素敵な相手だった。手に取るように記憶に残っているわ。しかも、昨日はお話二つだったのよ。片方はちょっと悲しいお話だけど、いい夢だったわ」
「それは何よりでした。可憐様の特殊な能力が素晴らしい夢をみさせてくれるのでしょう。これでまたいいお話が書けますね」
「そうね。またいいお話を書けそうだわ。小説でもいいかもしれないわね。今日も頑張って書かないとね」
こうして私は、今日もパソコンとタブレットを使って夢で見たストーリーを漫画に起こしている。それもロマンスものばかり。
了
🌿【照葉の小説】今日は何の日SS集 ← 記念日からの創作SSマガジン
↓↓↓ 文書で一覧になっている目次はこちらです ↓↓↓
いつも読んでいただきありがとうございます。
コメントも気軽に入れていただけるとうれしいです。
「てりは」のnoteへ初めての方は、こちらのホテルへもお越しください。
🌿サイトマップ-異次元ホテル照葉
#ショートショート #創作 #小説 #フィクション #今日は何の日ショートショート #今日は何の日 #掌編小説 #超短編小説
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければチップによるご支援をお願いします。皆さんに提供できるものは「経験」と「創造」のみですが、小説やエッセイにしてあなたにお届けしたいと思っています。いただいたチップは創作活動費用として使わせていただきます。