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2月12日 ダーウィンの日 【SS】闇の中の進化

【今日は何の日】- ダーウィンの日

 1859年に『種の起源』(On the Origin of Species)を著したイギリスの自然科学者であるチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin 、1809~1882年)の誕生日。卓越した地質学者・生物学者で、種の形成理論を構築し、全ての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、彼が自然選択(自然淘汰)と呼んだプロセスを通して進化したことを明らかにした。進化論である。


【SS】闇の中の進化

 太陽が照りつける地上や水に覆われた海中の生物、空気を押し除けて飛ぶ生物を中心とした進化論は、種の起源を元にダーウィンが理論を提唱した。長い時間をかけ、人類というものが誕生したことも理論づけられた。

 だが、目に見えない世界、そう、闇の世界でも目まぐるしい進化が起きはじめていたことは知られてもいないし解明もされていない。人類が誕生し、コミュニティを作る様になった頃から犠牲となって命を落とす人間が多数発生していた。死の世界へお供をさせられるものや奴隷たちの末路、戦いに敗れたものたちの悲惨な最後など、人の死は歴史と共に目を覆いたくなるようなことを史実が物語っている。

 自分の意思とは関係なく、ある日突然、その命を奪われてしまったものたちの魂は闇の中に集まり、生きているものたちの世界とは別の世界を作り始めた。次第にその数は戦争による略奪や植民地化などにより増加し続け、闇の中に集まる魂の数は膨大になっていった。現代でこそ、新しく闇の中に入る魂は少なくなっているが、一時期は大きな渦となる様な魂がうごめき、少しずつ魂が進化していったのである。

 闇の世界の魂たちは、生きているものたちの魂に、密かに語りかける方法を見つけてしまった。そしてその方法が次第に進化していったのだ。最初は闇の中の魂は、自分を闇の中に送ったものに対してのみ語りかけることができていた。だが、その語りかける相手も闇の中に来ていることも多くあり、魂だけになった憎悪の塊は吐口を無くし肥大化していったのである。そして、魂同士が結合をする様になり、新しい魂として活動になっていった。すると二つの魂の憎悪が融合した結果、その憎悪を向ける生きている人間も共有することができる様になっていったのである。いわゆる、魂同士の結婚が頻繁に発生する様になり、生きている人間への影響範囲も拡大させていったのだ。魂は幾度となく結婚を繰り返すことで語りかけることのできる人間、つまりは攻撃できる人間を増やしていき、共有し大きくなった憎悪を生きている人間の魂にぶつける様になっていった。

 複数の憎悪が、容赦なく生きている人間の魂を攻撃するのだからひとたまりもない。攻撃された人間は、突然、常軌を逸した行動をする様になり、全く知らない他人を傷つけたり、放火したり、強盗したりする様になり、世の中の平和を脅かす存在になっていった。しかし、人間はそれが闇からの攻撃とは気づきようがない。淡々と犯罪者として逮捕され、収監され続けた。だが、その数は一向に減少しないばかりか、増加していったのである。

 過去において人間が犯した業というものが、現代社会に対して因果応報とでもいうような形で戻ってきている様だった。

 一人の正直に生きてきた若者が異変に気づき始めた。実はこの若者も攻撃された一人だった。しかし、あまりにも心が綺麗すぎるため、闇の魂からの攻撃が全く効かないどころか、攻撃そのものが浄化され消えてしまったのだ。闇の魂は初めての経験で慌てていた。若者は自分の心の異変を感じ、この状況に負けた心は魂そのものが置き換わってしまい、悪行に走ってしまうような感覚を感じ取った。その後の若者の行動は早かった。全世界に注意喚起するメッセージをSNSで拡散し、闇からの攻撃を防御するグッズを開発し販売し始めた。このグッズは攻撃を阻止することはできないが、若者に攻撃を転送することができるグッズだった。この若者を信じる若者はどんどん増加していった。同時に意味不明な犯罪は減少していった。

 しかし、政府は危機感を感じていた。一人の若者が世の中の仕組みを変えてしまうかもしれない。即刻、この若者のSNSアカウントに警告文を送り、販売しているグッズも回収させ、若者を拘束する様に仕向けた。そしてSNSでは、若者のアカウントに誹謗中傷のメーセージが集まり、炎上する様になり凍結されてしまった。流石の若者の心も折れた。闇の魂はここぞとばかりに若者を攻撃した。

 若者の魂は闇からの攻撃を受け、若者は生きているにもかかわらず闇の世界へと自らの魂を送り込んだ。魂の進化を阻止するために。若者の魂は闇の世界の太陽となり、憎悪に満ちた魂を一つずつ優しく浄化していった。新たに送られてくる魂はたちどころに浄化され、次第に闇の中の魂はいなくなってしまった。

 その頃捉えられた若者は拘置所に入れられ、動きを拘束されていた。しかし、魂の働きにより、闇からの攻撃がなくなり、意味不明な犯罪は皆無となっていた。この現象を見て、政府は「やはり元凶は若者にあった。捉えて拘束したのは正しかった」と自分たちの行動を正当化し、国民を安心させることに心血を注いでいたのだ。

 時は経過し、若者は歳をとり獄中で亡くなってしまった。だが、魂はすでに闇の中で太陽となっている。そしてそれは今でも輝き続けている。この魂の太陽がある限り、闇に落ちてきた魂は浄化され続けるだろう。誰にも認められない正しい行いが世の中を支えているということを政府の人間は誰一人として知らない。


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