2月24日 月光仮面登場の日 【SS】正義の味方
【今日は何の日】- 月光仮面登場の日
私が生まれた年に、月光仮面のテレビ放送が始まったようです。ということは私がみていた月光仮面は再放送だったということですね。
1958年(昭和33年)のこの日、ラジオ東京(現:TBS)で国産初の連続テレビ映画『月光仮面』のテレビ放送が始まりました。月光仮面は、白いターバンと覆面の上に黒いサングラスと白マフラー、白の全身タイツに黒いベルトを着け、裏地に色のついた白マントをまとい、手袋とブーツを着けている正義の味方。今考えると変な格好です。ただ、日本のヒーロー番組の元祖でもあり、人気を博したようです。番組は1959年(昭和34年)まで、130回が放送されたようです。
【SS】正義の味方
世の中には「正義のため」に働く職業がありますよね。裁判官、警察官、弁護士、政治家、などがそうあるべきですが、みなさんどうでしょうか。違和感を感じてしまいますよね。きっと。そもそも「正義」ってなんでしょうか。似たような言葉では「善」という言葉もあります。みなさん区別して使っていますか。善は自分自身の行動規範のようなものであり、正義とは社会を維持するために、他人に対しての行いに起因するものであるのかもしれません。それを踏まえると、政治家は「善」は不得意かもしれませんが「正義」に関しては堂々とものを言うような気もしますね。
結局は人それぞれがどう受け止めているかと言うことに帰結するのかもしれません。ある政治家は「正義感」が強いと常日頃から言われていました。警察官出身であることもそう言われることを助長していたのかもしれません。しかし、当の本人は自分なりの「正義感」と言うものを持っていたようです。法律を犯すような悪いことをした人間に対しては制裁を加えるべきであるという正義感です。彼にとって法律は絶対であり、それを犯した人は悪い人であり罰を与えなければならないと考えていました。
しかし、悪いことをした人間に対しても「人権」があるため、法的にはいろいろと難しい問題も発生します。時として被害者は泣き寝入りしなければならないこともあるわけです。月光仮面のように悪いことをしている人間を懲らしめて被害者を救済するということが実際には簡単ではありません。ある政治家はそんな世の中の仕組み自体を嫌悪し、自分がなんとかしなければという彼なりの正義感で世の中を正そうと考えてしまいました。
政治家の彼は顔が知られてはまずいと考えました。そこで仮面をつけることを思いついたのです。しかし、テレビ漫画の主人公のようなスタイルでは却って目立ってしまい注目されるかもしれないと考えました。「そうだ。能面を被ろう」そう考え、暗いところでは通常の顔と間違えてしまいそうな「能面」を被ることにしました。もちろん深々と帽子も被りました。正義の味方に扮したつもりでした。
彼は夜になると繁華街の近くの裏通りに出没していました。なぜなら人通りが少なく、帰宅途中や飲んだ後などの人を襲いやすい場所だと考えたからです。実は彼自身も親父狩りと呼ばれた少年に襲われる事件の被害者になったことがあったのです。その経験を踏まえ、被っている帽子の内側はヘルメットに利用されている強化プラスティックで頭部をガードするようにし、首から肩にかけてはコートの下にアメフトで利用されるプロテクターを付けていました。そして攻撃用として一瞬で伸ばすことができる特殊警棒を二本持っていました。靴は当然鉄板の入った安全靴です。お腹周りには医療用のコルセットをつけ表面をプラスティックの板で覆いました。
そんな格好で暗がりを彼なりの見回りをしていると、数人組の男が一人のサラリーマンに襲いかかっているところに出くわしました。相手は数人いるので不利だと直感的に判断した彼は、そのまま物陰から様子を見ていました。サラリーマンの男は抵抗する力も無くなりその場に崩れ落ちました。数人組の男たちはサラリーマンから財布を奪い取るとその場から走り去りました。それを確認すると、彼は数人組の男たちを追いかけようとして走り出しましたが、装備が重くかつ能面のせいで息苦しさもあり、追いつくどころか息が上がってしまい追いかけることすらできませんでした。
彼は反省し、道路に横たわっているサラリーマンのところに戻りました。ぐったりとして意識がありません。彼はポケットからスマホを取り出し救急車の手配をしました。救急車が到着するまではいなくてはいけないだろうと能面をつけていることすら忘れその場で救急車の到着を待っていました。程なくして救急車は到着し救急隊員が降りてきました。後ろからはパトカーも来ています。救急隊員がサラリーマンを保護したかと思うとパトカーから降りてきた警官は彼をいきなり拘束しました。
「暴行容疑の現行犯で逮捕する」
彼は焦りました。「救急車を呼んだのは私です」そう言っても聞き入れてくれませんでした。なぜなら、襲われたサラリーマンは追いかけられてこの路地に来る前に「能面を被った男に追いかけられている。助けてくれ」と警察に電話を入れていたのです。そしてその直後数名の男たちに襲われてしまったのでした。数人の男たちは顔がバレないようになんと能面を被っていたのでした。
こうして正義の味方になりたかった政治家の男は逮捕されてしまったのです。このことは、ニュースで報じられ全国に知れ渡ることとなりました。
「政治家であるが故の日頃のストレスを晴らすために犯行を重ねていたようです。顔がバレないように能面を被っていた悪質さも露呈しています」
この後、彼は冤罪と戦うために多くの時間を使うこととなってしまいました。もちろん政治生命は終わりとなり、拘置所に入ることになってしまったのです。正義の味方どころか卑劣な悪人として、彼のことを世間は見るようになってしまいました。彼は自分が目指した正義の味方が間違っていたことを認識せざるを得ませんでした。それが現実だったのです。真犯人は今も逮捕されずに犯行を繰り返しているようです。ただ、能面は付けなくなっているようです。能面の男は逮捕されたと報道されてしまったのですから。
了
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