小説3,000作品以上読んだ人間がオススメする名作30選
皆さんこんにちは
今回は今まで読んだ小説の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
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1.虐殺器官
「虐殺器官」のタイトルが示すように、人間の生死のうち、「死」がテーマとされているが、主人公は「アメリカの暗殺秘密機関」大佐であり、日本の依頼を受けて「秘密組織の命令」で、世界中で虐殺事件を工作している人物を拘束する極秘作戦を展開していくストーリーである。
「人間には虐殺に至る構造(器官)が生まれつき備わってるんです」ていう設定が土台にあって、なぜ備わっているのか、どう作用するのかの説明もよくできていると感じました。
著者の初作品であり、かなり多くの内容が含まれており、そこに「生と死」「人間の持つ恐ろしい一面(器官)」が横たわっているように感じた。
2.ハーモニー
まず、形式が面白い。
本文は、etml(html言語に近い創作された記号)によって、感情などのメタデータを日本語に与える形式で記述されている。
それが、読者に与える影響と小説全体を成立させるための「動機」を、計算した上で用いられている点に妙味がある。
現代の技術や価値観を延長した様な、人によっては楽園とも地獄とも取れる世界観の描写が特長。
1984年などの一昔のディストピア小説とは異なったまた別の息苦しさが堪らなかった。
現代社会の論理的帰結としての物語だからこそ、現代人のこころを揺さぶらずにはいられない。
3.メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット
原作であるMGS4はMGSシリーズの中で個人的に一番好きな作品であることもあり、とても入り込めました。
ノベライズですので大筋はゲームと同じですが細部が異なっており、1番目を惹かれたのはスネークの老化の描写でした。
ゲーム中ではプレイヤーが操作しているため、その老いの辛さやスネークの心の内、オタコンの心情などはムービーと無線を除きほとんど感じられません。
ですがこの作品内ではスネークはゲームのキャラではなく常に一人の傭兵、人間として描かれています。
ゲーム内でも70代程度の老化具合と説明はありますが、実際に70代の体でゲーム内のような動きをしたらどうか。
その現実を改めて突きつけられ、スネークは劇中こんなにも辛い状況で戦っていたのかと驚きを隠せませんでした。
それを間近で見続けたオタコンの心情も考えると、なんとも言い表せない気分になります。
そんな中であんな壮絶な戦いを繰り広げていたスネーク達の物語を、オタコンの語りによってその時の心情も合わせて詳細に感じることができるのが本作です。
ゲーム中以上にスネークとオタコンの信頼の強さを目の当たりにし、自然と目頭が熱くなりました。
既プレイの方はもちろん読んでいただきたいですが、メタルギアをプレイしたことがない方でも純粋に物語としてとても読み応えのあるものだと思うので是非読んでいただきたいと思える作品でした。
4.フェルマーの最終定理
350年間、数学の天才たちが挑み続けた難問に対する数々の数学者の苦悩や歴史。
その中に数学雑学などもありとても面白かった。
ある意味知的冒険読み物の様な感じで読み終えた。
記載内容に出てくる数式、用語には聞き慣れない物も多々出てきたが、あくまで解法に使用する「ツール」と考え読み飛ばした。
一方、中には今まで知らなかった事を詳細に記載された部分もあり大変参考になった。
この書籍の内容は実話であり、男臭い人生の生き様を見せられている様で幾つかの場面で感動を覚えた。
数式もほとんど使わず、数学を全然知らない読者でもここまで楽しめて感動すらさせるというすごい本。
5.悪童日記
本書では、主人公の双子の少年達による事実の記録の羅列を読者が盗み読みしているかのように物語は進んでいく。
文体は客観的事実の記載にとどまり、そこに少年達や他の登場人物達の主観が入ることはない。
第二次世界大戦下の時代背景を舞台とした不合理で冷徹な場面、悲惨で残酷な場面、倫理的に受け入れがたい様々な場面においても、本書の記述に主人公達の感情が入り込む余地はなく、ただ単なる事実として物語は進んでいく。
事実に主観的な評価を与えないこの文体から、本書は痛快で悲惨さが抑えられ、また淡々と進んでいく事実を子どもの視点から見ている効果が生まれている。
悪童とは主人公達二人の少年を指すことは明白だが、主人公達は自分達の行いを悪だとは評価していない。
本書の時代背景において、悪とは何なのか。
理不尽で不合理な社会なのか、その社会の中で存在するため様々な倫理を犯す主人公達なのか。
ストーリーも破天荒ということで、大衆受けする要素を備えつつも、第二次大戦中のハンガリーという舞台を活用して、人間存在の複雑さ、人間の欲望の深さに取り組んだ力作だと思う。
本書の続編において彼らの世界がどのように変化していくのかが大変楽しみな一冊。
6.逆ソクラテス
小学生たちが大人(担任の先生)を諭すという物語。
少年たちの日常を冒険譚にしたような作品。
個人的に「逆ワシントン」が揺さぶられた。
伊坂幸太郎の短編集には欠かせない、物語同士の繋がりがたまらなく良かった。
「わぁこの人はあの時のおおお」と最後は特にうるっときてしまった。
大人へ一歩一歩近づく「僕」が本来持っている「純真」な気持ちと、新しく体得していく「大人の常識」との間で成長していく姿。
また、大人でも、うまく説明できない善悪(なぜ、いじめはよくないのか。止めさせるにはどうしたらよいのだろう?)に、「僕」なりの判断をしていく姿。
遠い昔の子どもの頃の自分の気持ちを少しずつ思い出しながら、楽しく読ませていただきました。
人として生きる上で大切なことが詰まった1冊です。
7.失はれる物語
表題作を含む全8つの作品を収めた短編集。
全編に作者の温かい眼差しが溢れている。
各編の主人公は女子高生、会社員、小学生、高校生と多彩だが、いずれも過去・現在に負い目、疎外感や傷を抱えている。
これを時にはSF的技巧を駆使しながら、表題とは裏腹に、「生きる事の希望」の物語へと変貌させている点が作者の手柄であろう。
ユーモア風味を強調した「手を握る泥棒の物語」、ミステリ・タッチの「マリアの指」も中々読ませるが、これも主人公の再生の物語ともなっているのである。
奇想とも思える状況設定の巧みさとそれを「生きる事の希望」の物語に繋げる巧みさとが玄妙にマッチしており、作者特有の雰囲気を醸し出している。
主人公(状況)に合わせて文体は異なるが、テーマの一貫性が心地良い。
世代を選ばずに支持されているのがとても良くわかる。
そして「平易」と「簡潔」がいかに「読ませる」ことの前提として必要かもとても良くわかる作風だと思うし、それにとても長けている方だと思いました。
8.プロジェクト・ヘイル・メアリー
「ヘイル・メアリー」とは「アヴェ・マリア」の意。
アメフトで劣勢のチームが運を天にまかせて投げるロングバスの意。
つまり「神様ー!!頼んますー!!」です。
このタイトルだけでもう面白い。
言葉や感覚器の違いも乗り越えて、人類と異星人がここまで心を通わせることができるのだろうか。
グレースと異星人のロッキーはバディと言っていいほど仲良くなる。
徹頭徹尾ポジティブで暗いところがない。
どんな困難な状況でも落ち着いて対応して、乗り越えていく。
徹底的に主人公の思考と見えてる範囲の情報で物語は進むので、やがて彼は読者自身になる。
主人公の喜びも悲しみも痛みも覚悟も直に胸に腹に響く。
SF小説で声をあげて泣いたのは初めてだった。
9.三体
ストーリーが面白いのは言うまでもなく、登場人物の台詞に垣間見える深い洞察や優れた比喩表現も圧巻です。
とにかくスケールが大きく、読めば読むほど引き込まれていきます。
後半から怒涛の流れが押し寄せあれやこれやと話が展開していくのですが、科学の背景を一つ一つを理解しようとすると頭がパンクしそうです
結果読み終えるともう一度詳細を理解したくなる、内容の衝撃とともに話の難しさも相交える独特な読書体験になると思います
洗練された翻訳と分かりやすい解説により、初心者からSF通まで幅広い読者に刺激と感動を与える一冊です。
特に宇宙好きには絶対読んでほしい
10.あなたの人生の物語
表題作は異星人とのコンタクトっていうSFなんだけど、これは「時間」と「愛」についての、すごくパーソナルな物語だった。
もし未来のすべてが見えたら、悲しいことも嬉しいことも全部わかっていたら、自分はどうするだろう?
主人公の選択を思うと、涙が出そうになる。
読み終わってから、自分の人生も、これから起こることも、全部ひっくるめて愛おしく思えた。短いお話なのに、余韻がすごい。
自分たちの住む現実世界とは全く違う概念の世界を堪能出来ました。
いくつもの新しい世界観を提示しているので、自分の世界が拡がっているように感じました。
全て読み終えたときの満足感は高いです。
絶対に読んで後悔しない1冊です。
11.息吹
人間に扱いきれない技術、道具が出てきたときにそれをどう扱うか人の心の在り様が描かれている。
AI、テクノロジーが進歩しても人間は進化も進歩もしない。
少し哲学的な話も多くそういった話が好きな人にはオススメ。
これほど儚く美しくしかも壮大なまでに物語を紡げる作者の力量には驚嘆せざるを得ません。
寡作であるというのも無理はない。
一作一作に魂がこもっているのもむべなるかな,という印象。
若い時に読むのと40代、50代になってから読むのとで作品の感じ方がまた変わってきそうで面白い。
12.爆弾
本作は一部を除いて、対話形式でストーリーが進んでいく。
その章の人物の一人称で語られるが、個性あるキャラの心理描写と文章の構成力が素晴らしいので、読みやすく理解しやすい。
内容はほとんどが取り調べ室でのやり取りです。
テンポ良く適度な緊迫感もあり、スズキのイライラしいセリフまわしも興味深い。
取り調べ中のやり取りの随所に伏線が潜んでいて目が離せない。
ただの無差別爆弾犯と頭の切れる捜査官の話ではない
他者との関係、欲と正義、道徳観に問題提起される読み物としてめちゃくちゃ面白い。
本作を気に入った方は続編もどうぞ
13.13階段
正直なところ、最初は読み始めたことを後悔した。
あまりに暗く、救いがないように思えたから。
それでも先を知りたくて読み進めるうち、いつしか引き込まれていた。
殺人を犯した者は死刑に値する。じゃなければ、殺された人の無念さは、突如奪われた命は報われない。
当然と思っていた既成概念がぐらつくのを感じた。
冤罪、そして、実行する刑務官の苦悩。
簡単には片付けられない。
犯罪の裏にある一人一人の人生、それを決定する法機関、実行する刑務官の思いや人生。
そして、どんなに愚かな犯罪を犯そうとも、自分の子どもは自分にとって唯一無二の存在であり、代わりはいない。
世間では許されなくても自分は許し、その子どもを殺した相手は自分にとっては死刑に値する。
また、たとえ正当防衛であろうと自分の手で人を殺したならば、一生そのことはその人についてまわり、自分の中の終身刑と化してしまう。
人一人の命の重さをずっしりと感じる1冊だった。
自分は当然なことを当然と分かっていなかったんだな、と思った。
推理小説としても秀逸だが、それ以外にも考えさせられる内容、一人でも多くの人に読んでほしいです。
読後の感想は…、疲れた。圧倒される感動にである。
14.薔薇の名前
この小説では、中世の北イタリアの山上の由緒ある修道院で起こった奇怪な連続殺人事件の謎に、当修道院を訪れたフランチェスコ会修道士、バスカヴィルのウィリアムと、その弟子のベネディクト会見習い修道士、メルクのアドソの師弟が挑む1327年11月末の7日間が描かれています。
鋭い頭脳の持ち主であるウィリアムは、謎解きの途中で、この事件の原因は修道士同士の争いや復讐ではなく、修道院の敷地内に建つ巨大な迷宮構造を有する文書館に秘蔵されてきた禁じられた一巻の書物が関係していることに気づきます。
舞台は中世、修道院。
シャーロック・ホームズとワトソンのような関係の師弟修道士が、文書館をめぐる殺人事件に挑む。
エンターテイメントでもあり、学術的でもあり、ミステリーと記号論と歴史と宗教学を同時に含んでいる。
本の迷宮をめぐる物語は、その本自体もまた迷宮のようで、人によって、見方によって、さまざまな読み方ができる。
個人的に、おもしろいと思ったのは、この本の構成。
遠い昔に書かれた書物を、現代の著者が見つけて、訳出していくという作りになっている。
語り継がれて、失われて、そうしたことがめぐりめぐって、今この手元に本がある。
ふだんはうっかり忘れているけれど、多くの伝承や物語に、わたしたちはそうやって出会っているのである。
本の本の本、とでもいうべき多重構造が、なんともさすがというべきか。
学術でもいいし、娯楽でもいい。
そんな本はめったいにないので、たとえぶ厚くてびっくりしても、物語の迷宮に迷いこむ価値はあると思う。
15.火星の人
主人公がユーモアがあって前向きで、読んでいてストレスなく読める。
火星に一人取り残されるという絶望的な孤独の中でも、読者も一緒に陰鬱な気持ちになるということはなく、むしろ、生き残るための小さな目標を立てて一つ一つ課題に立ち向かっていく姿にかえって元気づけられる。
明るく元気いっぱいって感じではないのもいい。
皮肉屋で、ふてくされたり悪態をつきつつも一晩寝て忘れるぞって感じで、軽快な語り口で記録を残していくところがいい。
ユーモアは、様々な困難を乗り越えて前に進める、大きな推進力であり、潤滑油となる。
『火星の人』は、一流のSFエンターテイメントであり、人が生きていくうえで大切な精神を気づかせてくれる。
16.代償
終盤まで嫌悪感が続くので読むことがしんどくなる人もいるだろう。それでも一気に読んでしまう。
ストーリー展開は、徐々に謎が深まり最後にそれが解明されて、読んでいて飽きない。
1部は特に胸糞が悪い内容で、読んでいて陰鬱な気分になった。
しかし2部で、1部でさりげなく張り巡らされた伏線を回収していく様は痛快だった。
完読して思うことは、第一部の読むのが嫌になるほどの少年時代を知らなければ、この物語を理解することはできない。
ここまで感情移入する作品は久しぶりでした。
17.阪急電車
阪急今津線を舞台に、電車内で出会う人々の物語が描かれています。
電車の中でがやがやうるさいおばさん、ヤンキー男から離れられなかったり、彼氏を寝取られた女性は世の中にたくさんあふれていて、そんな経験を実際に経験したり友だちから愚痴を聞かされることは、よくあることかもしれない。
そこをスッキリする経験やスカッとする話を聞くことはなかなかない。
そこがやはり奇跡であり、そんな話が展開するのがなんとも痛快かつほっこりする。
短い乗車時間の中で、登場人物たちが少しずつ前向きになっていく様子が心に残ります。
日常の中の優しさに気づかされ、読後に心が温かくなる一冊です。
18.影法師
最高傑作
ストーリー展開、剣術と戦闘シーン、友情と武士道どれをとっても素晴らしい!
彦四郎という優れた人がなぜそんなことを?とずっと思ってたけど、主人公の望みを支えるためであり、好きな人を護るために人生を捧げたんだと切ない気持ちになった。
主人公も、彦四郎が思っていた人も、彦四郎に会って抱きしめたかったはずなのにそれができないのがやりきれない気持ちになる
万作同様、彦四郎も真の侍だったんだと胸が痛くなった
江戸時代の背景や身分に関してもわかりやすくてずっと飽きずに読むことができた。
エンディングは鳥肌が立つくらい感動した1冊。
人の究極的な何かを見せつけられた気がする。
本書を読み終わった後も、とても深い余韻を残している。
このような本に出会えることは稀である。またいつか、再読したい。
19.アルジャーノンに花束を
知的障害の方から見る世界を知ることができた。
表出する行動に目を向けるのではなく、その深層を知ろうとすることが大事だと思った。
また何事においても愛の力は強く、そして幼少期における親の存在はその後の人格形成に大きな影響を及ぼすと改めて感じた。
あらためてじっくり読んでいて、ふと気がつきました。
この小説に出てくるような、特別な手術や薬がなくても「人が生まれて、教育と努力で成長して、やがて衰えて身体的にも知能的にも退化していく」のは人類の性かもしれません。
そうなったときに必要なのは「人を愛し愛されて、明るく朗らかに生きていく」性格と、それによって培われた人間関係だけかもしれないと思いました。
それと、花束をささげる誰かも。
20.世界99
村田沙耶香作品の中でも、最も静かで、最もグロテスクな一冊だと感じた。
舞台は、差別や暴力が排除されたとされる「クリーン」な未来社会。
しかし読み進めるうちに、その清廉潔白さが実はとてつもない欺瞞の上に成り立っていることに気づかされる。
特に戦慄したのは、この世界における「女性の役割」の扱いだ。
表向き、女性は産む苦しみや性的な役割から解放されている。
しかし、それは男性優位社会が反省したからではなく、「ピョコルン」という別の生き物に、かつての男尊女卑的な欲望(性欲処理、家事労働、生殖)をすべてアウトソーシングしたに過ぎないからだ。
「人間には人権があるから殴ってはいけないが、製造された生物なら愛でるも犯すも自由」。
この構造は、現代社会が抱える「見たくないものを不可視化して成り立つ平和」の究極系であり、洗練されたミソジニー(女性蔑視)の最終形態と言えるだろう。
主人公・空子が最後に選んだ道は、一見すると破滅に見える。
だが、自分の「記憶(=個としての歴史)」を差し出し、思考停止した愛玩動物へと堕ちるその姿は、ある種の「悟り」のようにも映った。
自我という幻想にしがみつき、複雑怪奇な社会で摩耗するくらいなら、いっそ人間を辞めてしまったほうが幸福なのではないか。
読後、自分の生きている現実世界の床が抜けたような感覚に陥る傑作。
21.ブレイクショットの軌跡
いくつもの破滅的な方向に向かう疾走感ある話が、どれも連関し合って収束されていく爽快感がある。
ブレイクショットという軸を持ったストーリーなので繋がりを感じ、時空を超えて行き来しながら話が展開していく。
登場人物の心理描写に納得感があり感情移入しやすい。
聖書を引用したお金を元手に商いをしないで神様に叱られる話が印象に残った。
人のために自分が持っているものを供していかないと幸せになれないという教訓を得た思いする。
真剣に生きていこうとしても自分を見失うことはある。
気づいたら立ち止まって、自分に正直になれる場を求めることが良いのかもしれない。
人生はままならないけど、お天道様は見てくれている、と思わせる本だった。
とても爽快な気分になり、憧れを感じる本だった。
22.化物語シリーズ
西尾維新さんの独特な言い回しや世界観、とても素晴らしかったです。
アニメなどもたしかに面白かったですがやはりここに帰ってきますね。
基本原作再現率の高いアニメだな…というのが感想ですが、行間というか、アニメではカットされているセリフや場面などもあり、アニメではこうなったのはこういう理由があったからかぁ…というものもあって面白かったです。
読むのはもう何回目なのかというほど読んでいるはずなのに面白い。
この作品の良さは、何と言っても味わい深い個性あふれるキャラ同士の会話です。
とにかく会話がこれだけ面白く表現されている小説というのはなかなかないと思います。
良い意味でインパクトがあってとても楽しい作品です。
23.教団X
宇宙と世界と人間が全て素粒子たちで再利用されて今がある。
と言うような話は、私自身好きな話しなので、読んでて面白くて引き込まれました。
現代社会、物理、宗教、人間の本性、歴史、暴力…まあ、これだけ異質なものを一つにまとめる手腕に脱帽です。
性的な描写が多くて生々しいのですが、私的には、生きる事と性とは切り離せなくて、人間の内面をきちんと描こうと真摯に向かい合えば合うほど、いやらしく生々しくなるのかもと思い、必要な描写なんだと納得しました。
読み終わった後に、自分の人生を自分で前よりも受け入れられた感じがして、テンション上がる感じではなく静かに安心したような、何となく穏やかな気分になりました。
24.流浪の月
最後まで読み切った時、今まで自分を守るためにかけていたフィルターが外れ、世界が今までとは違った色で見えてくる。
誰に理解されなくても、自分だけの真実を握りしめて生きていく勇気をもらった。
人それぞれの真実を、客観的で残酷な事実が押しつぶす。
それでも自分の真実に忠実に生きた不器用な二人(更紗と文)はやがて…。
簡単にまとめられる物語ではありません。
主人公の2人には絶対幸せになって欲しい。
読み易い文章です。巧みな比喩表現にやられた!と立ち止まりつつも、スラスラ読めます。
「優しさ」、「思いやり」、「普通」、によくよく向き合って、自分のアイデンティティにも向き合いました。
愛を凌駕した人の結びつきに出会えて、新鮮です。
凪良ゆうさんの深い力量に、感謝です。
多くの方に読んで欲しい作品です。
25.モモ
効率化を極限まで追求しようと発展してきた文明社会。
とても便利で恵まれた環境で生活をしている私達はここで立ち止まり落ち着いて考えてみる必要があるのかもしれない。
もしモモのような知人が近くにいたらその存在に気がつく人は、気にする人はどれだけいるだろうか?
よく沖縄では独特なゆったりとした時間の流れがあるなどと言うが、関係があるように思う。
自由に使える時間=心のゆとりに繋がる。
幸福とは、心のゆとりなんだと思う。
ゆとりがないと、毎日忙しい生活に追われて家族や自分との時間を大事にできない。
別の本で、人が亡くなるときに思うことは、仕事のことではなく、家族ともっと思い出を作りたかった、と書かれていて、家族との時間を有意義に過ごすことが幸福に繋がるんだと思う。
そのために、心のゆとりを持つことが重要。
全世代にオススメの作品です。
26.百年の孤独
まさかこの作品が文庫化される日が来るとは
本書は、ある時期(最後の方に電信、電話、汽車が出てきますのでそれから推測することになります)に中南米のどこかの地方に仲間と移り住んで開拓を行いマコンドという村を作ったホセ・アルカディオ・ブエンディアとその妻ウルスラ、そしてその子孫五世代にわたる家族史ですが、一言で表すと「とんでもない本」です。
海外ではこの種のトンデモ本は時々あるのですが、飛びぬけてとんでもないと言って過言ではありません。
登場人物はいずれも奇人変人で、偏執的で、自分自身の考えに固執し、自己中心で、他人のことを思いやることなど決してありません。
そして、出てくるのも錬金術、空飛ぶ絨毯、空中浮遊、殺人、白人資本家によるバナナ農園搾取と農民の反乱、大量虐殺、超精力、淫乱、引きこもり、死人の再生、埋蔵金貨、大食い、文字通りの昇天、額に書いた消えない十字架の奇跡、近親相姦、豚の尻尾の生えた赤ん坊など考えられる限りの突拍子もないことの連続です。
最後の方では4年間続く大雨と洪水が出てきます。
深遠な哲学が盛り込まれているわけではありません。
人生に役立つ箴言があるというわけでもありません。
同じような名前がいっぱい出てきますが注意深く読めば混乱することはありません。
また、最初に家系図が載っていますので、コピーして手元に置いて読むと便利です。
壮大な大河小説ということでは間違いありません。
読み応えがあるということではその通りです。
読み終えるとしばらくは茫然とされるかと思います。
そして胸の底にその記憶が澱のように残ります。
他の人に薦めてよいのかどうか迷うところです。
それなりの覚悟と忍耐をもって読んでみようという方にはお薦めです。
27.一九八四年
大きな権力が監視等のありとあらゆる手段を使って個人の思想にまで入り込んでくるというのは、本当に恐ろしいことです。
個人的には、思想の自由は人間が人間らしく生きるうえで、かけがえのない権利であり、行動の自由が制限されるよりも思想の自由が制限されることの方が危険なことであると思います。
ただし、国民一人ひとりが国家の指導者が道義的に良くないという認識をしていたとしても、経済的な余裕がある場合には、大半がその状況下での生活に快感を感じるのではないでしょうか。
これは、ある意味「二重思考」であり、飼い慣らされている状態ともいえると思います。
このようなことは個人レベルでも起こりうるのだと思いますが、そういった状況下にあっても、一人ひとりが過去の偉大な思想に触れ、もがきながら、真の自由を勝ち取っていくべきであると考えます。
現代を生きる我々であれば、その気になれば多くの書物を読むことができるわけで、個人的には、そのことに感謝しています。
物語はバッドエンドで終わっていますが、それでも、ウィンストンとジュリアが一緒になった時には一縷の希望を感じましたし、洗濯物を干す女性に人間のあるべき姿を見出したのは、唯一の救いであったとも思います。
また、本書に書かれている内容が現実的に起こることはあり得ないと思いますし、当時であっても多少異なったかと思いますが、それでもオーウェルが想像できた世界な訳であり、そういった意味では我々も注意しなければなりませんし、本書が広く読まれるべきであると思います。
28.アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
この作品の面白いところは、人間もアンドロイドのような機械的な行動又は残虐的な行為を平然とやっていたり、アンドロイドたちも人間のように表面上では他者への情を見せたりもしているという点である。
両者は根本的な部分では確かに違うのかもしれないが、両者の関係は非常にあいまいな境界の上で存在しており、人間と被造物の関係を考えせてくれる作品になっている。
50年以上も前の作品なのでコンピューターやインターネットの概念すらなくダイヤルで感情を調節するといった古典SFならではの世界観も面白いが、人間とアンドロイドの違い、人間とはいったい何なのかという今日でも議論される哲学的問いをこの時代にSF作品にしたのは見事である
29.高い城の男
最初はアメリカ人が日本とドイツに戦争で負けた世界で、日本とドイツに再度戦争して勝つお話なのかな?と思って読んでいたけれど、そんなことはなかった。
序盤はロバート・チルダンというアメリカ人の話が主流。
この人物がただの商売人で「日本人嫌い、でも、ビジネスパートナーだし、戦勝国だから相手してやる」といった感じで、本書の世界の世知辛さを体現している。
だから、それだけの物語なのかと勘ぐってしまい、展開が少し退屈だと感じた。
だが、読み進めていくにつれ、出てくる登場人物同士が間接的に影響し合い、自らの運命を変えていく。
あるものは人を救い、あるものは新境地に達し、そして、あるものは別の真実にたどり着く。
それらの過程が日本人なら歴史の教科書で誰もが知る『易経』という占いによって様々に作用しあい、選択していく。
登場人物は立場は違えど、圧倒的な権力に屈服せざる得ない人たちだ。その者共が悩み苦しみ結果にたどり着く、または導く。
中でも、主要な登場人物である田上とフリンクの関係性には深い因果を感じた。
物語全体として派手さはないし、解りやすい一筋物語があるわけではないけれど、『易経』を通じて織りなす様々な人々の物語とその結果は読んでいて引き込まれていった。
本書には仏教や哲学的なもの等々の小難しいセリフが多い。
作中にロバート・チルダンが、ある日本人から”無(ウー)”に関することを熱心に説明されるシーンがあるのだが、ロバートはよくわかってなかった。
以上のように多少小難しい話があるので取っつきにくい、読みにくいかもしれないが、
個人的に以上に述べた要素が好みであれば読んで損はないと断言できる。
30.カラマーゾフの兄弟
本書には、お金・男女・親子・犯罪・宗教等、人類の全てが詰まっていると感じました。
私なりの解釈では、本書は、聖書の解説書とも捉えることができると思います。
宗教の経典には、「〜をすべし」「〜をすべからず」という戒めが書かれていますが、それがなぜ必要なのかを、生涯で様々な経験をしたドストエフスキーが解説しているわけです。
また、それをただ単に実践せよというのではなく、各人が「自由に」様々な経験することにより、身を持ってその重要性を理解すべきであると主張しているのだと思いますし、更に苦しみの末に「罪の意識」を自覚し、赦し、愛するということの重要さを訴えかけているのだと思います。
そういった意味では、ドストエフスキーは全ての人の罪を背負う、キリストの様な存在であるといえるのではないかと思います。
そして、それは、周囲の人々に希望を与えてくれる存在であるとも思います。
本書の中で、「カラマーゾフだから」みたいなフレーズが何度か出てきますが、それは、「人間だから」とも置き換えることができると思います。結局、人は人として、個人の人生を生きるしかありません。
本書に出会えて、本当に良かったです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。
その他書籍も紹介しております。
宜しければご覧ください。
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