小説3,000作品以上読んだ人間がオススメする名作恋愛小説20選
皆さんこんにちは
今回は今まで読んだ恋愛小説の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
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1.汝、星のごとく
文章が胸に迫りページを捲るのが躊躇われる体験をしたのはいつ以来だろう。
近年、恵まれない環境に生きる人間や社会課題への問いかけを含む作品は非常に多く、個人的には取って付けたような唐突さや、問題の説明・整理が強調され過ぎて物語として違和感を覚える作品も少なくない。
凪良ゆう作品も著者自身の生い立ちからだろう同様のテーマを扱った作品が多いが、本作は人物設定・構成・ストーリー展開・心情描写など全てが極めて高い次元で調和されており、細部に至るまで非の打ち所がない。
作品全体を通して「人が自立して生きるとは何なのか?」を徹底して問いかけられるにも関わらず、説教じみることもなく圧倒的に物語として完成されている。
男女2人の恋愛を軸にしながらも、如何ともし難い境遇に翻弄される想い、すれ違う心、幸せの形、そんな誰もが感じたことのあるだろう人生の機微をこれ以上なく丁寧仔細に書き切った、正に凪良ゆうの集大成と言える一冊だ。
ただ直向きに人間を掘り下げる作品がどれほどの感動を読み手に与えるのかを改めて思い出させてもらった。
著者がいかにこのテーマと物語に向き合ったのか、その途方もない熱意に心から賛辞を送りたい。
近年の本屋大賞作品の中でも頭ひとつ抜けている。
2.恋文の技術
主人公・守田一郎を取り巻く状況が、話が進むに従って見えてくる構成が面白く、「気が利いて上手いよなあ」と思いました。
このグルグルと悩み続けて、書かれた手紙が、心を揺さぶるんです。
相手のお返事がないのに、次の手紙でなんとなく想像できるのもいいですよね。
読み出した最初のうちは、イチロー・モリタのあまりの阿呆らしい自意識過剰ぶりに辟易するところもありましたけど、読んでいくうちに、彼のどうしようもないもやもやした思いに、「ったく、しょうがねぇ奴だなあ」と感じつつも、親しみのようなものが沸いてきました。
手紙を並べるだけでにやにや、くすりと、これだけ楽しませてくれるというのは、なんというか、「森見さん、やるなあ」て感じです。
この度、新版になりました。
どうしてかな、と思ったのですが、今回読み返して、もしかして、と
思い、新版のあとがきを拝読し、なるほどと思いました。
おっしゃる通りだと思います。
新版のあとがき、ぜひ購入してお読みいただけましたらと思います。
あとがきの内容については、読んでいただきたいので、触れません。
3.ノルウェイの森
読者の性格や生き方によっては、ワタナベや直子、緑の考え方や行動はよく理解できないこともあるのかなと思いました。
私は学生時代を含め長い間都内で暮らしていたこともあり、街の情景やキャラクター(例えば、大塚といえばあまり高級な地域でない、四谷や市ヶ谷は静かで落ち着いている、など)を知っていたため、するすると物語の世界の中に入っていけました。
私自身ややドライで人や自分を俯瞰して見る癖があり、また、根底に悲観的なところがあるため、こうした性格をもつ人間からするとワタナベや直子たちはとてもリアルなキャラクターに見え、物語の描写ひとつひとつもとても心に触れるものでした。
この物語は読み手のタイプによって大きく印象の変わる物語だと思います。外交的だけどドライな性格、やや悲観的な方など、とてもはまるのでは?と思います。
まだ読まれていない場合はぜひ読んでいただきたいです。
4.四月になれば彼女は
学生時代の恋人ハルから突然の手紙。
結婚を控えた精神科医藤代の心に何かがうずき始める。ハルはなぜ手紙をよこしたのか。
ずっと一緒にいるといった言葉はどこへいったのか。
穏やかだったはずの日常に風が吹く。
また来ようねと言った初めての海外旅行。いつでも来れるとその時は思っていた。
なぜか私のこころの奥でも揺れるものがあった。
書店で表紙に目を奪われ手に取ったときはこんな気持ちになるとは思わなかった。
今すぐ好きな人のところに飛び込んでいきたくなる。
普段は言葉にできないけれど好きな気持ちでいるこの瞬間を大切にしたくなる。
季節とともに、時間の経過とともに人の心がゆっくり動いていく、でも変わらない自分でいられる。
その様が心地よく読み進めていける一冊。
愛の色や形、においや音は誰とも簡単に重なるものではない。
私だけのものだからこそ、共有できたときは嬉しい。
5.三日間の幸福
当たり前の美しさの解像度をより高めるために、一つだけ提案をします。
歩いてみてください。
その時スマホに目を向けないで、空に、道に、ひいてはそこに広がる空気に、感覚を向けてください。
自分の中ではそれが、この世界に当たり前に広がっている、そこにある美しさを最も手軽に、そして最も深く感じられる方法だと確信しています。
あくまでも主観の話です。
夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色、春の桜、これらはわかりやすい一例です。
空を飛ぶ鳥、道をゆく人、街並み、全てが美しいものだと思って見て見る世界は、たとえ毎日通っている場所でも、全くもって違う景色に見えるんです。
これが三秋縋氏が作品を通して伝えたいと考えていることだと、そう認識しています。
この作品の読了後の感覚は、まるで自分が残り三日間の幸福を味わうことになっていると錯覚してしまうような気持ちに囚われました。
その時に感じたことは焦燥です。
その点で考えると、まだまだこの世界に普遍的に広がる当たり前の美しさの解像度がまだまだ低いんだと思わされます。
毎日がまるで残り三日間しかないように思って生きる人生はきっと価値のある日々になると確信しています。
6.余命10年
割りに余命宣告と言えばもっと短い気がしていたので余命が10年なら充分では?と最初タイトルを見たときに思ってしまいましたが、読みはじめて主人公が20歳と分かり、なるほどこれは辛いなと思い直しました。
著者とは随分年代は違うし幸い余命宣告は受けていないので、すべてが分かり共感できるわけではありませんが、自分の寿命に対する想いは、淡々とした表現ですがそれが逆にリアルに感じられました。
こんな若さで自分の人生に10年という枠が嵌められてしまったらどうだっただろうと考えさせられざるを得ません。
多分著者は主人公の茉莉に自分を重ね合わせながら余命を受け入れようと苦しんだことだと察せられます。
多分その苦しみの軌跡であり生きていたという証の一冊だったのでしょう。闘病のシーンを加筆修正したのもまだまだ受け入れる過程でのことだったのかもしれません。
文章や構成など稚拙な部分も残るけれど、まだ存命で作品を重ねていればと残念でならなりません。
10年という長いようで短い、短いようで長い余命という自分の人生というものを深く考えさせられました。
人生や日常には色々な線引きがあるけれど、重篤な病や死の側に立ったことのある人でなければ理解しきれない部分があるように思います。
イメージにありがちな余命ものとはひと味違う、よい意味で期待を裏切る一冊でした。
7.一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。
天真爛漫なヒロイン香織と、彼女に振り回される輝彦が過ごした二ヶ月間の物語。
カメラマンと被写体という二人の構図が、掴みの良いプロローグから最後まで一貫していてとてもよかったです。
ストーリーに大きなどんでん返しなどはありませんが、「決まっている結末」に向かっていく二人の姿がなんとも切ない。
写真にして残すって本当に美しいことだと思う。
同じ時間は二度と来ないから、この小説を通して、その一瞬一瞬をもっと大切にしようと思えた。
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8.傲慢と善良
私は特に結婚では苦労しなかったので、婚活云々に関しては、なるほどな〜くらいにしか思いませんでしたが、生来の気質、生育環境、自己肯定感、都会と地方、学歴、就職などなど、多くの要素についても描かれているので、どんな人でも一つは刺さる内容があるのではと思います。
ずっと同じ土地に住み続けて子供を持つ私には、長年狭い世界で生きてきた婚約者の親の、視野の狭さからくる悪意のない傲慢な価値観の押し付け、そしてそれが娘を想う善良な心から行われている、というところが一番刺さりました。
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」でも家族に振り回される主人公とその家族の描写が印象的でしたが、こちらも内容は大きく違えど家族から与えられる影響に考えさせられるものがありました。
ストーリーはシンプルですが人物造形や心理描写が優れているうえ、深いテーマがじっくりと丁寧に描かれている読み応えのある作品でした。
9.陽だまりの彼女
分数ができないくらいバカで、野暮で、協調性が全くない真緒はイジメられっ子だった。
真緒にいやいやながらも勉強を教えていた浩介だが、真緒をいじめから救う。
そのことで逆にクラスから浮いた存在となった浩介だが、真緒との距離は急速に縮まることになる。
結局浩介の転校で離ればなれになってしまうが、取引先の相手として10年ぶりに再会した真緒は、モテ系のできる女に大変身していた。
昔から変わらぬ気持ちを抱く真緒と浩介は一緒になるのだが、真緒には多くの謎があり、浩介にはその謎がとけないまま、やがて真緒は浩介と永遠の別れを示唆する素振りを見せるようになる・・。
中学時代の真緒と浩介のやり取りは、その当時の女子に持つ想いというか、気持ちの揺れみたいなのがうまく表現されていて、読んでるこっちが照れくさくなってしまう。
社会人になってからの二人の関係は、とんとん拍子に進んでいく。
最初から真緒にその気があるから当然なのだが、読んでるこっちは羨ましい。
また、真緒の持つ謎だが、終盤にちょっとづづ分かっていくような構成になっているのだが、最後まで分からない謎もあり、うまく読者を引っ張っていく。
結局この本の面白さは、中学時代の幼馴染が、人も羨むいい女として現れ、殆ど苦労らしい苦労もなしに結ばれていくといった、まさに恋愛ゲームのネタのような内容になっているからだろう。
そこに、推理小説的な謎解きのエッセンスが含まれ、読者をこの本の世界に引き込むことに成功している。
恋愛に対する苦悩・悲しみ・葛藤といったものは、話を進めていく上で必要最小限、はっきし言ってなきに等しいのだが、男の持つ、「女子からこう惚れられたい」と望む理想的願望で話が進むので、読んでいて疲れずに済む。
10.ぼくは明日、昨日のきみとデートする
「運命」。
このありきたりな、時に陳腐と感じられる単語がこれほど似合う作品はないと思えた。
それほど引き寄せられる2人の不思議な関係を喩える言葉は思いつかない。
この最高のカップルが過ごす時間は人々がすれ違う電車の中で、行き交う交差点で遭遇する奇跡。
読み進めるにつれて、彼女の行動、言動の本当の意味が分かる。
「あぁ。そういう伏線だから、おそらくこんな結末なのかな」と思ったけれども読んでみると…。
奇跡とも思える出逢いの中に、驚く仕掛けが隠されていた。最後までぜひ読み進めてみてほしい。
私も残された日々を大切に過ごそう、そう思った。
そして本書を「きっと最初から読み返したくなる」。帯に書かれたこの言葉がすべてを表現していた。
切なさの涙が止まらない。こんなにも「運命」は切なくも美しいのか。
私にとって、恋愛小説ジャンルの中でも、大好きで大切な作品のひとつとなった。
11.世界の中心で、愛をさけぶ
2人の恋は甘酸っぱい…キレイな恋だと思いました。
片山さんはキレイな情景をかくのが上手いと思いました。
その場面が、想像できて、なんだかキレイでなつかしいようなそんな気持ちになりました。
実際に体験して、初めてこの本のすごさが分かるのかもしれません。
本当に大切な人を失った気持ち…これは誰がどんなに伝えようとしても難しいものです。
おじいちゃんが孫に話した恋話。
すっごいいいなぁと思いました。
離れていても、愛し合っている、おじいちゃんとその女性の約束。
この部分は特に心に響きました。
言葉では言い表せない、この気持ち。
私もこんな風に、『時』と『場所』を越えても愛し合える2人になりたいなぁ、と思いました。
遺骨をわざわざお墓にいれなくても、自分の好きなようにしてもらうのもいいなぁ、と思いました。
恋をしている人、付き合っている人がいる人、大事な人がいる人、、、
読んでみてはいかがでしょうか?
12.レインツリーの国
一冊の本をキッカケにインターネットの世界で二人は出会う。
メールでの繋がり。
いつでも切ろうと思えば切れてしまう関係性。
健聴と中途失聴、現実・画面上で、交わり・すれ違いを繰り返し、前進・後退しながら歩み寄り一歩ずつ前に進む恋愛小説。
聴覚障害のことで、ここまでストーリーを膨らませたのは、入念な小説を書くための下調べがあってのこと。
メールでのやりとりを小説で書いて読ませる手法はよくあるのかもしれないが、ヒロインが聴覚障害であることで、よりいっそう文字のコミュニケーションが意味合いを帯びる。
激しい場面展開はなくとも、現実にこの二人がいれば、こう選択肢を選ぶのも納得がいく。
日常性と聴覚障害を見事に織り交ぜた、派手ではないが、しっかり書かれた小説だと思った。
待ち合わせ場所を好きな本の棚の前にするのがとても魅力的だなって思った。
他人に理解できない辛さを抱えていることは健聴者と変わらないのだ。
その辛さの種類がそれぞれ違うだけで。
人に対する態度を考えてみようと思った。
見た目で判断するのでなく、その人の背景にあるものを。
13.生きてさえいれば
叔母さんの元恋人へ手紙を届けようと、小学生の甥がはるばる大阪までやってきて・・というお話。
お互い家庭的に恵まれなかった者同士だからこそ、分かり合える何かがあって、惹かれ合ったのだろうなと思います。
わずかな期間ですが、2人が一緒にいるところの描写が後から思い出してみると、じわじわ悲しくなってきます。
純愛ストーリーで目まぐるしい展開や脆さもあってハラハラしましたが大切な人を大切にできる幸せに尊さを感じました。
生きてさえいればたくさんの可能性に出会えることを教えてくれるお話です。
あなたの悲しみに愛を持って寄り添うって素敵だなぁって思いました。
14.マチネの終わりに
10代20代の互いに傷つけ合いながら葛藤して成長していくような話とは一味違い、もっと妖艶な、複雑な心境がとても魅力的に、そしてまたリアルに描かれていて、非常に引き込まれました。
中盤の成り行きには「え!?」と思わず声をあげてしまうほど緊張させられましたが、読んだ後味はさっぱりとした印象を受けました。
主題の恋愛以外にも様々なテーマが盛り込まれていて、主人公らを通じて自身にも考えさせられることがたくさんありました。
個人的に、おもしろいと思ったのは、この本の構成。
遠い昔に書かれた書物を、現代の著者が見つけて、訳出していくという作りになっている。
語り継がれて、失われて、そうしたことがめぐりめぐって、今この手元に本がある。
ふだんはうっかり忘れているけれど、多くの伝承や物語に、わたしたちはそうやって出会っているのである。
本の本の本、とでもいうべき多重構造が、なんともさすがというべきか。
学術でもいいし、娯楽でもいい。
そんな本はめったいにないので、たとえぶ厚くてびっくりしても、物語の迷宮に迷いこむ価値はあると思う。
15.言の葉の庭
流石は光の魔術師や切なさの魔術師と言われる新海誠監督です。
地を打った雨が染み込むように、繊細に描かれた文章がしっとりと胸に染み込んで情景を鮮明に浮かび上がらせてくれます。
こうした小説では小難しい言い回しを好む作者が多い中、辞書が必要にならない程度にわかりやすい文章構成はとっつき易く、読みやすい。しかし、しっかりと読み応えもあります。
生徒と教師。雨の日の偶然の出会い。二人を取り巻く苦々しい環境と依存。
そんな奇縁によって結ばれた二人が紡ぐ物語はなんとも言えない切なさが雨の如き湿っぽさを伴って匂い立ちっています。
生徒と教師の二人だけでなく主人公の兄達の話も丁寧に起こされています。映像作品から入られた方ですと書籍は尚楽しめる後日談付き。
ホロリと来る小説ではなく、甘酸っぱい恋愛と言う物を雨に上手く絡めて表現された一作。
時間を置いた時にふと読み返したくなる一冊です。
16.夜は短し歩けよ乙女
ボーイミーツガール。普遍的かつ永遠の人気テーマ。
思えば聖書もアダムがイヴと出会い、古事記ではイザナキとイザナミが柱を回って出会い頭に一目惚れを演じる。
初めて手に取った森見登見彦の小説の発端は、ひとりの男子がひとりの女子を求め続けるお話。
彼は彼女をすでに見出しているのだが、彼女が彼を見出す日は来るのか?
懐中時計を持ったうさぎを追って穴に飛び込んだアリスよろしく、「彼女」は夜の京都、先斗町(飲み屋街)の懐深く入り込んでゆく。
そこで会うのはマッドハッターや海亀さながらの、奇人変人あやしげな伝説。
初々しい乙女である彼女は、うさん臭く危ない臭いのする場所を、知らぬが仏とばかりにひょうひょうと泳ぎ渡ってゆく。
その清冽さたるや天下一品。
彼女の真摯さは先斗町のあやかし共を感得させえるのか。
「彼」は「彼女」と巡り会うことができるのか。
ほろ酔い気分の時のあの、他人が世界すべてが自分と親しきもののような、浮遊する全能感。
お酒を飲んだときの、そんな感覚が甦ってきて…いやもう楽しかった。
一滴も飲まずに小説でほろ酔い気分になったのは初めてだ。
17.ジョゼと虎と魚たち
「ジョゼと虎と魚たち」は、忘れがたい小説です。
水族館の魚たちや、好きな人ができたら見に行くと決めていた動物園の虎、フランスの小説の主人公の名前といった、少女趣味のかわいいものがちりばめられています。
にもかかわらず、私はこんな怖い小説は読んだことがないという気持ちにもなりました。幸福の絶頂にいながら、ジョゼは同時にその幸せを死と呼ぶのです。
愛を知る前のジョゼは、まだ見ぬ恋人を夢見ながら、まだ得られない幸せに憧れながら、自分の人生に何かが起こるかも知れないという淡い期待を糧に生きていたと思います。
でも、恋人が現れ、ついに完璧な幸福を経験したとき、その先に何を夢見ればいいのでしょうか。
まさに、人の心の深淵をのぞき込むようです。
この本を読むと女性の奥深さを堪能できます逆に男の単純さも感じることでしょう。
18.センセイの鞄
私はこんな恋愛をしたいんだ、私にはこういう距離感と時間と空間の使い方が合っているんだ、と心の底から思う。
ゆっくり、ゆっくりと、時間をかけてお互いを思い合う。お金にものを言わせたプレゼントとか、スノッブなレストランとか、空虚な駆け引きとか、そういうものは無用で、ただひたすらシンプルに、相手が存在することに感謝すること。
この本の一行一行が宝物のようで、私はかみしめるようにじっくりと読み進めました。
物語が終わってしまうのがもったいない。
ふとしたシーンで涙が出る…。
最後の一行を読み終わったあとは、ひとつの恋愛を体験したあとのような、不思議な充実感と、ひっそりした悲しみと、何者かへの感謝の気持(の、ようなもの)に包まれ、ただ涙が溢れ、しばらく動くことができませんでした。
私の中の恋愛小説ナンバーワンに輝く作品です。
19.秒速5センチメートル
世の中で初恋を成就させ、一生添い遂げられる人達はどれぐらい居るのだろうか、それ自体が幸せに直結するのだろうか、それは人それぞれに違う筈で、理想と現実の距離、それに翻弄される人や流れに任せる人、それぞれの感じる時間や心の距離は同じではなく、子供や大人でも違う、ごくありふれた日常において点とも言える奇跡の時間を共有出来たのは、「貴樹」と「明里」に取ってあの雪の日の再会までだったのだろう。
十代の多感な時期に取って身近でしかし最も遠く、心がかき乱される不思議な感覚を与えてくれる、それが恋なのでしょう。
正に揺れる心を、桜が舞う様にゆっくり表現した本作、心情と時間の流れを的確に表現していて監督の力量を感じる。
特に、社会人パートの本作のタイトルと同じ第三話は、大人達なら共感できるのではないだろうか、今でも彼女が好きなのか?、それともあの頃の思い出にすがり付きたいだけなのか?、世間の厳しさやそれに抗いたいが出来ない自分への葛藤、それを打破する為に貴樹が取ったカンフル剤が、一番嘘や損得考えず突っ走れたあの頃の明里への想いだったのでしょう。
会社を辞める事で明里との距離が縮まる訳でも、何かが変わるのかは分からないが、動かずにはいられなかったのだろう、しかし明里は新たな幸せに向かい歩み始めていたのだった。
いずれ貴樹は知る事になるのだろうが、それは果たして不幸なのだろうか?、それは本人の行動や考え方によるもので、この先の事は誰にも分からないのだから。
美しい田舎の原風景に、自然現象の秀逸な描写、ここまで雰囲気に浸れる作品はそう多くは無いでしょう。
大人達は思い出と重ね合わせ、若者達は今と照らし合わせ、誰もが感動出来るものだと思うので、全ての人達にオススメです。
20.流浪の月
最後まで読み切った時、今まで自分を守るためにかけていたフィルターが外れ、世界が今までとは違った色で見えてくる。
誰に理解されなくても、自分だけの真実を握りしめて生きていく勇気をもらった。
人それぞれの真実を、客観的で残酷な事実が押しつぶす。
それでも自分の真実に忠実に生きた不器用な二人(更紗と文)はやがて…。
簡単にまとめられる物語ではありません。
主人公の2人には絶対幸せになって欲しい。
読み易い文章です。巧みな比喩表現にやられた!と立ち止まりつつも、スラスラ読めます。
「優しさ」、「思いやり」、「普通」、によくよく向き合って、自分のアイデンティティにも向き合いました。
愛を凌駕した人の結びつきに出会えて、新鮮です。
凪良ゆうさんの深い力量に、感謝です。
多くの方に読んで欲しい作品です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。
その他書籍も紹介しております。
宜しければご覧ください。
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