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小説3,000作品以上読んだ人間がオススメする名作20選⑤

皆さんこんにちは
今回は今まで読んだ小説の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
※この記事ではamazonアソシエイト・楽天アフェリエイトリンクを利用しています。


1.銀河ヒッチハイク

なぜ人は生きるのかとか、なぜこの宇宙が生まれたとかそんな面倒な質問を考え続けるどうしようもない脳みそを持って生まれてしまった人。そんな人のためにつくられた処方箋がこの本です。
悩む暇があるならページをめくるといいと思います。そして読み終わったときにはきっと、生命、宇宙、その他もろもろの答えはわかったけど、生命、宇宙、その他もろもろって結局なんだっけとなると思います。

世の中で起きていることの全てを、自分で考え、情報を選別して、判断しようと考える人間にとって、この本のストーリーは痛快で、言い回しの面白さも楽しめます。
「頭の良い人間がバカを言ってる」そんなのが好きな人にはたまらなく面白い本だと思います。

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2.半落ち

妻殺しの元警部の隠された謎を解明していくのかと思いきや、その謎に関する進展はほとんどなく、最後の最後で唐突に真相が明かされます。
しかし物語の見せ方が非常に上手く、最初から最後まで大変面白く読めました。

刑事→検事→新聞記者→弁護士→裁判官→刑務官と、章ごとに主人公が異なる構成なのですが、所属する組織や立場などの影響で、それぞれが不本意な選択や妥協せざるを得ない状況に陥ります。
そんな彼らが葛藤する姿がとてもリアルに描かれていて読み応えがありました。
そしてそれぞれが仕事を通して妻殺しの元警部を見つめ、彼に対して共通の想いを抱くのですが、章が進むごとに想いのバトンを繋いでいっているかのような構成が見事でした。
過去の章の主人公と「あ!あんたも同じ気持ちなんだ!」と言葉がなくても通じ合ったシーンがいくつもあり、そこは特に印象的でした。

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3.試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。

渋谷の奥まった場所にあるセレクトショップ「Closet」ここを訪れる女性たちを主人公とした、連作短編集。
女性たちは、それぞれに様々な恋の事情を抱えている。そんな彼女たちは、自分を可愛くしてくれる一着、自分がもっと好きになれる一着、明日が来ることを楽しみにできる一着を求めてここを訪れるのだ。
そこのただ一人の店員カナメは、訪れる女性たちの内面に寄り添いながら、その人らしい一着を見立てていく。その一着は、昨日までの自分とはちょっと違う、それでいて彼女らしさを引き立ててくれる一着となる。その一着と出会った彼女たちの幸せそうな姿が、とても愛おしい。

作者はこの作品がデビュー作なのだという。なんという美しい言葉を選んでいるのだろう。物語としては、大きな事件が起こったり、複雑な心理描写があったりということはない、日常的な風景が描かれているのであるが、一つ一つの言葉がしっくりと収まっている。主人公の女性たちの気持ちが、手にとるように伝わってくる。なるほどと思った。作者は、広告の世界で実績を積んできていたのだ。一話ごとのタイトルも、物語の最後に語られる一言も、磨かれた魔法の言葉のようだ。

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4.無私の日本人

前半は、9人の粘り強さ 懐の大きさに圧倒され応援し、後半は勘定方の萱場のやり方に悲痛なくらい腹が立ち、そのあと陣内の心得 最後までの生き方に息を飲み 脱帽しました。
お下知をしたためた巻物を読む陣内のあたりから、涙が止まらなくなりました。
人間は尊きものであり、他の尊き人間を苦しめてはならない、という理念が 萱場の心まで動かした
浅野屋陣内、十三郎の最後に安堵しながら
これほどにまで深く強く 世の中を浄化させた人物が、この国の歴史の中にいたことは、現代の私達に、生きる情熱と覚悟を与えてくれるように思いました。

日本人が失いつつあるアイデンティティを、そのアイデンティティに基づいた見事な生き方を示してくれる。解説にある「江戸期の庶民は、親切、やさしさ、ということでは、この地球上のあらゆる文明が経験したことがないほどの美しさを見せた。倫理道徳において、一般人が、これほどまでに、端然としていた時代も珍しい」とあるが、本書はどんな人々が生きて、どんな生き方をしたのかを描いている。

そして、最も私の心に響いたのは、著者の磯田氏のあとがき「少なくとも子どもには、ほんとうに大きな人間というのは、世間的に偉くならずとも金を儲けずとも、ほんの少しでもいい、濁ったものを清らかなほうにかえる浄化の力を宿らせた人である」という一言であった。

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5.幽霊人命救助隊

4人の登場人物の言葉を借りて、いろいろな局面で、様々な問題で悩む人たちに対し、「死ななくていいんだよ」「やり直せるんだよ」「居るだけでいいんだよ」と、時には具体的な解決策を示し、時には自殺の恐ろしさ、割に合わなさを伝え、ひたすらにエールを送り続けます。
そして、随所では、弱者が救われない社会や、強者ばかりが肥える体制への批判も、決して押し付けがましくなくシリアスになりすぎずに主張しています。

根底に流れるのは、ひとりでも多くの自殺志願者を救いたいという筆者の強い想いと「一つ一つの命が、この世界を支えている」という、人に対するあたたかい眼差しです。
最後のエピローグもまた気が利いています。
形としては長編小説なのですが、たくさんのエピソードが詰め込まれ、内容としては連作小説のようなイメージです。

いまいま自殺を考えている方は、「本を読もう」という気持ちになれないかもしれません。
しかし、ひとりでも多くの方が本作を読み、それをひとりでも多くの方に伝え、結果として、自ら命を絶とうとする方がひとりでも減ってくれればと思わずにいられません。

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6.青い鳥

現在の学校は如何に優秀校への卒業実績を増やし、お客様である生徒(親達)に満足してもらうかを競いあっている。
何かが違うと誰もが思いながらも必要、重宝される先生は塾講師と何ら変わりない偏差値教育に長けた先生。

しかし、この本では吃音でうまくしゃべれず、現実の世の中では恐らく落第先生と呼ばれる村内先生が主人公である。
生徒に正しい事を教えるのではなく大切な事を伝えてくれる。
「大切じゃない大切なことは絶対にない、大切なことはどんなときでも大切なんだ。中学生でも高校生でも大人でも子供でも」と青臭い理想論と言われればそれまでの台詞であるが、村内先生が一人ぼっちの生徒に伝える大切な事は、一人ぼっちに耐えてきた生徒がずっと必要としながらも、誰も教えてくれなかったすがりつける場所。
吃音でうまくしゃべれない村内先生はそれがわかっているからこそ一人ぼっちの生徒に会えたとき「間に合って良かった・・」とつぶやくのだろう。
当たり前の普通の生活をしてきた人達ではたぶん語る事ができない大切な何かを、村内先生は教えてくれます。

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7.タルト・タタンの夢

下町の小さなビストロを預かるシェフ、三舟氏。彼は、来店した客の悩みや謎を、極上の料理と快刀乱麻を断つ推理とで解決するのだ、という短編連作集ミステリである。

本作は、料理自体のうんちくに偏ることもなく、人物像などの描写ばかりになるわけでもなく、といって謎解き話にやたら傾倒することもなく、うまいバランスになっている。
筆力の問題にもなるが、描写される料理の数々が本当に「うまそう」なのもポイントだ。

作品にでてくる料理を実際に料理店で食べてみたくなる。
フレンチ料理にそんな詳しいわけではないので、数少ない高級本格フレンチの記憶を反芻しながらになるのだが、例えば、カッテングボードに並んでいるとおぼしき旨そうなフロマージュ、想像するだけでもうよだれがでそうである。

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8.熱源

生きるということはなまなましいことであるというのを最初から最後まで感じながら歴史を横から眺めているような物語。
これがまた横から眺めていると見せかけて、読んでいるものの心の内にも熱いものが湧き上がってくる。お涙ちょうだいではなく、淡々と描写される生きていくうちに遭遇した理不尽や悲しみを乗り越えるでもなく打ちひしがれるでもなく、それでも生きていく人間の物語なのだ。そしてそれはいま生きている自分もそうなのだ。
というのを読み進めていくうちに感じる。
登場人物はたくさん出てくる。そして生きて死んでいく。
アイヌを低く見る和人たちもまた、その和人の中において勝った負けたがあり、西洋の中のロシア、ロシアの中のポーランド、いくらでも人間は自分たちが線を引いた集団の中で区別し差別していく。
人間社会の根源的悪というのはこれなのかもしれない。どこまでいってもそれが終わらない。

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9.時生

時間旅行を下敷きにして父親と息子の血の繋がり、心を結ぶ強い絆を描き出した、これは実にしびれるエンターテインメント小説でした。

話の序盤ですでに、主人公・宮本拓実が出会う謎の青年の正体が、読み手の私たちには分かっているんですよね。そのせいで、拓実とトキオの噛み合わないやり取りを聞いていると、つい、くすり、にやりとしてしまいます。この辺のコミカルなおかしさの出し方が、作者の東野圭吾さん、上手いよなあと思いました。

胸にびしっと突き立ついい台詞も、いくつかありました。終盤、拓実に向けて涙ながらに言うトキオの台詞にもじーんとしびれましたけど、一番は大阪の女性、竹美(たけみ)さんが言う次の言葉ですね。

《それに悲観しててもしょうがない。そら誰でも恵まれた家庭に生まれたいけど、自分では親を選ばれへん。配られたカードで精一杯勝負するしかないやろ》

ぴしりと、何か鞭打つように放たれたこの言葉には、胸が震えました。
ラスト一行も洒落てて、「ナイスショットや、東野圭吾さん!」 胸のなかで、声挙げてました。
時を超えた息子と父親の運命的な冒険と、その絆の不思議を力強く描き出した、胸が熱くなる素敵な作品でした。

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10.アミ小さな宇宙人

宇宙の法則、愛の度数、文明のあり方, 人間の起源 魂は進化するために生き続けること 宇宙は私たちのすべてを見ていること
ノアの箱舟の伝説はどこからきたのか etc

他のどの本よりわかりやすく具体的でとても説得力があります。
宇宙についての愛のルールの宝の山なのです。目から鱗です。
宇宙人アミは可愛らしい子供の姿をしているけれど、賢くて、面白くて、愛があって、頼りになる素晴らしい存在。

愛の度数がみえたらいいなーなんて何度も思いました。
自分は今、愛の度数が上がる行為ができているかな。
下がってないかな、なんて感じながら言葉を選ぶようになりました。

一人一人の思いやりや気遣いが愛につながり、この地球をよくしていくことができる。
きっとそうです。
アミのお話をお伽話とせずに毎日の生活にエッセンスとして、ほんの少しでも実践できたら、と思うとたくさんの人に読んでほしい。

11.風に舞いあがるビニールシート

「何を言いたいのか?」を考えると非常に面白い短編集。
ストーリーの面白さを求めて読むと、やや不満足の作品ともなり得る。
ストーリーに、斬新さや意外性はあまりない。
多くの本は非日常性をテーマとするが、この本は比較的に日常性が強い。
しかし、だからこそ読者は各ストーリーの主人公に自分を投影し、この本の主張を身近に感じられる。
このストーリーの主人公達は、それぞれ自分の中に「大切なモノ」を持っている。
それが私たちに幸せ、勇気、自尊心などを与えてくれる。
帯にある「あたたかくて強くて、生きる力を与えてくれる」とはまさにこの本を端的に示している。
「私にとって大切なものはなんなんだろう?」と、ふと考えさせられる短編集。

ただ、例外的に「風に舞いあがるビニールシート」のテーマは重い。
日本人は日本の常識に支配されているがゆえに、この本に出てくるエドの言いたいことを掴むのは難しい。
この作品は、恋愛ストーリーとも捉えられるが、「難解で重苦しい現実は見て見ぬふりをされる」との一節のある通り、
平和ボケの日本人に一石を投じる面もある。
この作品は、世界の現実を見なくして理解出来ない作品である。

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12.苦役列車

主人公である十九歳の北町貫多は安下宿に籠り、日銭を稼ぐために
嫌々人足仕事に出ては、安酒を食らう鬱屈した日々を過ごしている。
友達も彼女もおらず、夢と希望を持てないまさに苦役な日々が続く。
しかし、ある日新人の人足が彼の前に現れ、仄かな友情を芽生えさせるのだが・・・。

今作が優れているのは、『私小説』と定義されているにも関わらず、
作者、西村賢太が貫多を徹底的に客観化して描写している点にある。
通常ならば、自己の生涯を振り返るのに多少の自己擁護や社会に対する異議申し立てを試みるところだが、西村賢太の場合は希薄であることが興味深い。
主人公の境遇が中上健次の『十九歳の地図』に似ているにも関わらず
貫多は社会に反抗しようとせず、ただ流されていくばかりの自分を
苦々しく感じ安酒をあおるばかりなのだ。
しかしながら同世代の若者に対する嫉妬と、密かに抱く己への自負、
悪鬼のような残酷性と、少年のような無邪気さが混在する貫多の豊かなパーソナリティは読者を魅了してやまない。

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13.ヘヴン

私は、この作品に登場する苛めについて、この世の不条理という抽象的概念をたまたま苛めとして具体化したものに過ぎないと受け取った。
この世の不条理に対して、各々の登場人物がそれをどう捉えているのか。
その不条理に満ちたこの世をどう捉えているのか。
つまり、各々の登場人物による「ヘヴン」が交錯する世界を主人公が生きるさまを描いた作品だと受け取った。
物語の途中までは、コジマの「ヘヴン」が主人公にとっては唯一の正解のように感じられていたが、百瀬の「ヘヴン」論や、それ以外の人物の生きるさまから感じ取った各々の「ヘヴン」に触れる中で、主人公が自らの「ヘヴン」を見い出し歩み出す決心をする。
そういった物語であると受け取った。
ゆえに、物語の結末から私は特に消化不良のような気持ちは感じることはなかった。
それまではただ他者の「ヘヴン」を受け入れるしかできなかった主人公が、自分の「ヘヴン」へと踏み出すことができたのだから。

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14.人質の朗読会

最初から主人公である8人の人質は死んでしまったと、わかって始まる8人の物語に静かに耳を傾けられるのだろうか。痛みばかりではなくいとおしさをもって寄り添いながら読み進められるのだろうかと恐る恐るページをめくった。しかし人質たちが物語を語ることになったいきさつを語った冒頭部分ですでに物語にからめ捕られていく。「いつになったら解放されるかという未来」ではなく「自分たちの中にしまわれて」「決して損なわれない過去」に耳をすませることが必要なのだ。と、小川ワールドに深く静かに潜っていけるのだった。

それぞれのささやかな日々の生活の中のささやかな物語が、どれほどいとおしくどれほど生の輝きを持ってこちらに迫ってくるか。だからかわいそうというのではない。読後に残る涼やかな印象はなんだろう。彼らは生きているのである。物語を通して生き続けているのだ。

全編を読み終わった後に「もしも自分だったら何を語るだろうか」と考えた。そして物語ることの意味、物語ることの必要性を改めて考える。物語のイメージを左手に握りしめ、右手で今自分のできることを一つ一つ丁寧に生きていこうと、勇気をもらった一冊。

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15.カンガルー・ノート

この一冊は安部公房の遺作だということを念頭に置いて読むべき作品。
舞台は黄泉の国であり、本作のテーマは明らかに「死」である。起きているのか寝ているのか、夢か真かを彷徨う主人公の心情も、既に死を予期した著者の投影であることがわかる。病床の夢をそのまま文に起こしたよう。

内容は安部公房ならではの超現実的世界観。脛に生えたカイワレ大根、勝手に走り出すベッド、おかしな看護婦、イカ爆弾、あの世のバスツアー…ユーモアに富み、たまにディズニー映画なんじゃないかと思うくらいテンポの良い世界。しかしそこかしこに死の臭いがちりばめられており、それが一層こちらを不安にさせる。ピンク・フロイドの曲が登場するのも、どこか鬱々とした雰囲気を盛り上げている。

「砂の女」や「壁」に比べると私小説の意が強くあまり有名な作品ではないが、不条理な世界観と著者感情の激しさの危ういバランスはどの作品よりも秀逸。
結末はわかっていても衝撃的。特に最後の一行はこちらを揺さぶるあまりに切ない名文である。ぼやーっとしていた頭に冷水を浴びせかけられたような寒さを感じた。

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16.どうしても生きてる

健やかな理論
別に死にたいわけじゃない。でも「もういっか」って思うことはある。そんなとき、手軽に死ねるツールがすぐ側にあれば、自殺も不思議じゃない。

七分二十四秒めへ
音楽を聴いていても映画を見ていても、何をしていても現実が迫ってくる。もう希望も何もないのなら、一時でもいいから現実から目を背けたい。だから中身のないくだらない動画を、今日も見るのだ。そのときだけは、救われるから。

流転
「好きなように生きる」ことと「嫌なことから逃げる」ことは違う。投げ出して逃げ出してばかりの人生では、どうしたって自分自身に対しての後ろめたさが付きまとう。
遠い自分のために、時には信念を曲げ、絶対に譲れないと思っていたものすら差し出し、自分が対峙しているものと「向き合う」ことが必要になる。


救いようのない話。絶望。醜い人間の本性を暴くこと。朝井リョウの本質だと思っていたものについて、自己言及的な批判をしていた。だが我々は知っている。いつだって最後には、消え入りそうな希望を残してくれていることを。だから、今日もまた生きるしかないのだ。

受け入れがたい現実を目の前に「こうなったことにも意味はある」とは思えなくとも、それでも生きるしかない。生きればそれが次の「生きる術」に繋がる。乗り越えた試練を繋げて、次の試練に挑むのだ。

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17.宙ごはん

「その謝罪が暴力になることもある」
「許しを請うことは、自己満足でしかない」
初めて読んだ時もこの2フレーズに心を動かされた記憶があります。
私が似たような経験をしているということではなく、物語と同じような境遇の人に出会ったときに、うまく伝えるにはどうしたらいいのかなと。

そして、良い意味でも悪い意味でも、人は何歳からでも変われるということ。
接する人の立場によって、その人が良い人にも悪い人にも映るということ。
本気で自分のことを考えてくれる人がいるって、こんなに幸せなことはないんだろうな。
ただ必ずしも、一生のパートナーになると決めた人とは限らないっていうのが難しい。

また、ごはんは、作り手の心と食べる人の心、そのごはんを食べるときの環境次第で、一人の人生を本気で救うことができるんだなと思いました。
もちろん、作中ほど上手に心が沈んでいる人を元気にできることはあまりないだろうけど。
私は単純なので、美味しいご飯を作れるようになりたいなと、思いました。

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18.ステップ

1歳半の一人娘の美紀を残して病気で亡くなった母親。残された
美紀の1歳半から小学校卒業までの成長と、シングルファーザー
として美紀を育て上げる決意をした健一の成長を描いた感動作です。

時間をかけて書かれただけあって、お盆や彼岸やクリスマスなど、
季節感もふんだんに盛り込まれたお話になっていて、時間をかけて
成長していく父親と娘の様子がちょうどよくえがかれています。

この本も重松ワールドたっぷりの本です。この本も温かい人間味
たっぷりで、突然一人で娘を育てていかなければならない状況を
突き付けられた健一も、強く優しく育っていく美紀もとっても格好
いいです。だから、重松作品は読み終わった後に力をくれるのですね。

読んでいく中で、心に突き刺さる多くの言葉に出会いながら、温か
い場面に心癒され、同時に悲しみや喪失感を持ちながら生きていく
ことの意味を考えさせてくれます。

「悲しみや寂しさは、消し去ったり乗り越えたりするものではなく、
付き合っていくものだと―誰かが、というのではなく、僕たちが生きて
きた日々が、教えてくれた」とっても素敵な一節です。

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19.つるかめ助産院

夫の失踪による絶望から、思い出の離島に至った主人公のまりあが、妊娠を知り出産するまでの人間としての成長する過程を描いています。

デビュー作「食堂かたつむり」の倫子は、「料理」と言う武器で絶望に立ち向かいました。
この作品のまりあには、そうした武器はありません。
敢えて言えば、「妊娠」と言うことになるのですが、これさえも最初は戸惑いしかありません。
どちらの作品も如何に絶望から立ち直るかですが、前作の人と人との「絆」に加えて、今回は人の「生命」と言うものが加わります。
人の命の大切さが重要な意味を持ちます。
もともと捨て子としてのまりあが、そうした暗い過去をこの離島で払拭して行きます。
そこで出会う「生」と「死」。
長老の死の場面もありますが、出色なのが何度か登場する出産のシーンです。
その場面を読むだけでも、この本を読む意味はあると思います。

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20.まほろ駅前多田便利軒

便利屋という少しやくざな商売を営む主人公の多田。過去に何かをかかえているようで、暗い影がちらほらする。そんな中、元同級生の行天(ぎょうてん)が多田と再会する。行天も深刻な過去を抱えているようで、行き場がない状態になっており、多田便利軒に転がり込み、多田の仕事を手伝う。多田便利軒の周りで、どちらかというと表に出ないやくざな世界で事件がおこり、多田は巻き込まれていく。
あらすじだけだと暗い話に思えるが、日が当たらないような世界でありながら、人々はあたたかい。多田も行天のことをだんだんと認めていく。

この本の魅力はなんといっても個性的なキャラクターたちだ。中でも行天はエキセントリックで魅力的な人物だ。
それだけならよくあるキャラ小説というかラノベに落ち着くところなのだが、行天のエキセントリックさの理由が彼の生い立ちや物の見方に起因しているということが段々わかってくるので、単なる記号的なキャラ付けに終わらない。そういうところがわかってから彼の危険な振る舞いを見てみると、切なさに胸が締め付けられさえする。
彼は常に自暴自棄であり、自分を価値ある人間だと思っていないからこそ、何かをしようとするときに対価としてあっさりと自分自身を差し出してしまうのだ。それが行天の強さの秘密であり、また同時に弱さでもある。
この小説は痛快でテンポよく進むのだが、物語全体をどこか切なさが覆っているようにも感じられる。

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おわりに

いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。

その他書籍も紹介しております。
宜しければご覧ください。


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