小説3,000作品以上読んだ人間がオススメする名作SF小説20選
皆さんこんにちは
今回は今まで読んだSF小説の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
※この記事ではamazonアソシエイト・楽天アフェリエイトリンクを利用しています。
1.虐殺器官
「虐殺器官」のタイトルが示すように、人間の生死のうち、「死」がテーマとされているが、主人公は「アメリカの暗殺秘密機関」大佐であり、日本の依頼を受けて「秘密組織の命令」で、世界中で虐殺事件を工作している人物を拘束する極秘作戦を展開していくストーリーである。
「人間には虐殺に至る構造(器官)が生まれつき備わってるんです」ていう設定が土台にあって、なぜ備わっているのか、どう作用するのかの説明もよくできていると感じました。
著者の初作品であり、かなり多くの内容が含まれており、そこに「生と死」「人間の持つ恐ろしい一面(器官)」が横たわっているように感じた。
2.ハーモニー
まず、形式が面白い。
本文は、etml(html言語に近い創作された記号)によって、感情などのメタデータを日本語に与える形式で記述されている。
それが、読者に与える影響と小説全体を成立させるための「動機」を、計算した上で用いられている点に妙味がある。
現代の技術や価値観を延長した様な、人によっては楽園とも地獄とも取れる世界観の描写が特長。
1984年などの一昔のディストピア小説とは異なったまた別の息苦しさが堪らなかった。
現代社会の論理的帰結としての物語だからこそ、現代人のこころを揺さぶらずにはいられない。
3.ソラリス
この作品に出てくる知性は、「人」でも「動物」でもなく、「思考する海」である。
互いを理解するために最低限必要な共通の経験も概念もない。
そんな海が人間達に送って来る唯一のメッセージ(?)は、人間の深層意識にあるもっとも痛い部分を具現化した存在F。
その意味を理解しようと、悪戦苦闘し、結果狂っていく人間達の物語は、あまりに難解かつ不毛過ぎてSF小説と言うより不条理小説の様な印象をもたらす。
私はこの本を読み終えてソラリスの海は、人間達と同じことをしようとしていただけでは無いかと思った。
作中でも明言されてる通り、ソラリスの海が主人公達を殺す気ならもっと簡単に出来るだろうし、何らかの実験なら修正も無く全く同じ実験を繰り返すのは実験としてはあまりに稚拙だろう。
恐らく海は彼らにしか理解できない合理性に基づきファントムを送り込み人類とコンタクトを取ろうとしたが、結果としてそれは人間を苦しめる以上の意味がなく、しかもそれが苦しみ以上の意味を持たないと理解する事も出来なかったのではあるまいか。
この作中で語られてる事は予言なのではないかとも思う。
その予言が正解であるかはまだ分からない。
人類は今だ未知との遭遇には至っていないから。
しかし何時かその日は訪れるはずである。
そして、人類と未知なる知性との遭遇が、作中の様な見当外れの狂乱と希望の日々を生み出す時、その時こそこの作品の真価を我々は理解するのではないだろうか。
4.幼年期の終り
ある日、オーバーロードの巨大な宇宙船が世界各国の都市上空に現れ、人類の運命は静かに、しかし決定的に変化します。
彼らは武力で支配することなく、圧倒的な知性と技術によって人類を導き、戦争や貧困、飢餓、差別を終わらせます。
人類は理想郷に到達したかのように見えますが、その平和は「自ら選び取ったもの」ではないという違和感を孕んでいます。
オーバーロードの統治下で多くの宗教は消えていきますが、ただ一つ例外があることが示唆されています。
それは明言されてはいないものの、神を崇拝せず、執着を捨て個別の自我を超えていく仏教の思想に近いものだと感じました。
人類が個人の意識を離れ、集合的な意識へと移行していく物語は、その考え方と重なっています。
オーバーロードは冷静で合理的な存在であり、神秘主義に距離を置きます。しかし彼らは、宇宙には理性では捉えきれない領域が存在することも理解しています。
彼ら自身、オーバーマインドというさらに高次の存在には到達できず、あくまで“媒介者”“管理者”にすぎません。
その立場は、人類にとっての「神」に似ていながら、同時に神ではないという哲学的な矛盾を抱えています。
物語後半では『竹取物語』を思わせるエピソードが描かれ、地球の子どもたちは第六感を開花させ、オーバーマインドとの同化へと向かいます。
その変化を前に、親たちはただ見守ることしかできません。そこには、置き去りにされる人間の、静かで深い悲しみがあります。
オーバーロードは人類の進化を止めることも、加速させることもせず、ただ定められた役割として見届けます。
そこには、人類より一段高い知性を持ちながらも、最終的な真理には届かない存在の、静かな諦観が感じられます。
本作におけるオーバーロードは、支配者でも救世主でもなく、「人類の幼年期の終りを告げる観測者」です。
彼らの存在は、人間の自由、成長、そして進化とは何かを、読者に否応なく問いかけてきます。
本作で人類が物質的存在を超え、精神的次元へ移行していく物語は、2001年宇宙の旅を彷彿とさせます。
5.タイタンの妖女
SF小説なんだけど、生きるってなに?を考えさせられるお話です。残酷物語とおもいました。
たくさんの人の人生を台無しにできるほどの巨大な富。
火星と地球の絶対的にどうしようもない距離。
取り戻すことのできない時間と、失われて取り返せない人間と人間の関係。
ヴォネガットがテーマにしている、「永遠」、そして、「自由意志」がふんだんに取り込まれた、初期の代表作。
自分たちが生きているのは大きな流れの中の一部。
宇宙的観念から見れば自分達の生きているのはほんの一瞬だけれど、逆説的にいえば、それは永遠に生きつづけているのではないか?
SFと哲学は相性がいいが、大上段に構えて哲学をぶちまけるのではなく、軽いユーモアとアイロニーの中に覆い隠し、さらっと読ませる、くせに、深い。
6.月は無慈悲な夜の女王
現実の、ネットで簡単に使えるAIサービスの「知性」は、ヒトが求める答えを、データベースから拾い上げて組み上げるように設計されたアルゴリズムでしかないが、「マイク」は巨大なコンピューターの中に自然発生した知性であり、「アルゴリズムの海で生まれた生命体」とでもいえるような、よく言えばロマンティック、悪く言えば時代なりの科学考証だと言えるだろう。
(むしろ現代科学では人間の方が単なるアルゴリズムであることが解ってきてしまっている。)
しかし、無邪気で好奇心旺盛、卓越した能力を持ちながらも紳士的なマイクと仲良く、共にに戦う(上手いことやっつける)話は単純にワクワクする。
また、マイクと一緒に革命の計画を牽引する「デ・ラ・パス教授」は何とも掴みどころのない、魅力的な大人物で、飄々としながらも時折、ずしりと語る思想がこの作品をハインライン作品の中で特別なものにしていると思う。
革命とか独立を描いたフィクションで成功する話って見た記憶がないのだけれど、これは、まあ…上手くいく(ネタバレすみません)。
たぶん、それはハインラインが理想的な政治形態、社会構造の実現を前提にして描いているからで、それを何らかの主張・発信とみるか、SFおとぎ話の安易な解決と取るかで読後感が変わってくると思う。
民主主義ベースの資本主義社会がそこそこの閉塞感に包まれている現代、こういった作品を読んで、「そういうこと」を考えてみてもいいんじゃないかな、とも思う。
7.ねじまき少女
舞台は近未来のタイ。
温暖化による海面上昇、病に冒された食物が人の命をおびやかし、石油の枯渇により動力源が生き物の物理的運動に頼るほかなくなった日常。
あるいは人間が、あるいはメゴドント(体高4.5メートルの遺伝子操作により生まれた象からの新生物)が、物理的運動によって動力を供給する。
またはゼンマイを巻き上げて、それを解放することによって起きるエネルギーを利用して生活している。
安全な食物が乏しく、それらは世界企業に掌握されている。
自由貿易で利益を得ようとする外国企業と、かつてそうした者たちからもたらされた疫病で国内の作物が全滅に追い込まれたタイ。
章が改まる毎に視点が変わる。
タイ人視点の時は「ファラン」、日本人の時は「ガイジン」というように、異国人、特に西洋人を表す言葉が変わるのに気がつく。
タイ人、中国人、日本人、アメリカ人(?)が出て来るが、各国の歴史背景を持った思考と行動原理の書き込みにも圧倒される。
場の力を掌握している側と、被支配の立場の双方の視点から語られ、組み上げられた世界の緻密さ揺るぎなさが圧巻だ。
そしてそれは立場が違うだけじゃない、カルマ(宿業)が違うのだとジワジワと伝えてくる。
奇病の蔓延、遺伝子汚染、人工生命体、新種の奇妙な果実、熱と臭いのこもる工場、不快な湿度、人種の弾圧、虐殺の記憶、宗教観、倫理観…様々な要素が絡み合いくい込み合って、凄い密度の曼荼羅を描き出している。
この作品の素晴らしさは、この世界の病も、人類存続の瀬戸際を感じさせるあらゆる問題も、すべて現時点から遠くない地続きの未来だと感じさせることだ。
21世紀の今、核の脅威よりもっと現実的と言えるかもしれない。
8.プロジェクト・ヘイル・メアリー
「ヘイル・メアリー」とは「アヴェ・マリア」の意。
アメフトで劣勢のチームが運を天にまかせて投げるロングバスの意。
つまり「神様ー!!頼んますー!!」です。
このタイトルだけでもう面白い。
言葉や感覚器の違いも乗り越えて、人類と異星人がここまで心を通わせることができるのだろうか。
グレースと異星人のロッキーはバディと言っていいほど仲良くなる。
徹頭徹尾ポジティブで暗いところがない。
どんな困難な状況でも落ち着いて対応して、乗り越えていく。
徹底的に主人公の思考と見えてる範囲の情報で物語は進むので、やがて彼は読者自身になる。
主人公の喜びも悲しみも痛みも覚悟も直に胸に腹に響く。
SF小説で声をあげて泣いたのは初めてだった。
9.三体
ストーリーが面白いのは言うまでもなく、登場人物の台詞に垣間見える深い洞察や優れた比喩表現も圧巻です。
とにかくスケールが大きく、読めば読むほど引き込まれていきます。
後半から怒涛の流れが押し寄せあれやこれやと話が展開していくのですが、科学の背景を一つ一つを理解しようとすると頭がパンクしそうです
結果読み終えるともう一度詳細を理解したくなる、内容の衝撃とともに話の難しさも相交える独特な読書体験になると思います
洗練された翻訳と分かりやすい解説により、初心者からSF通まで幅広い読者に刺激と感動を与える一冊です。
特に宇宙好きには絶対読んでほしい
10.あなたの人生の物語
表題作は異星人とのコンタクトっていうSFなんだけど、これは「時間」と「愛」についての、すごくパーソナルな物語だった。
もし未来のすべてが見えたら、悲しいことも嬉しいことも全部わかっていたら、自分はどうするだろう?
主人公の選択を思うと、涙が出そうになる。
読み終わってから、自分の人生も、これから起こることも、全部ひっくるめて愛おしく思えた。短いお話なのに、余韻がすごい。
自分たちの住む現実世界とは全く違う概念の世界を堪能出来ました。
いくつもの新しい世界観を提示しているので、自分の世界が拡がっているように感じました。
全て読み終えたときの満足感は高いです。
絶対に読んで後悔しない1冊です。
11.息吹
人間に扱いきれない技術、道具が出てきたときにそれをどう扱うか人の心の在り様が描かれている。
AI、テクノロジーが進歩しても人間は進化も進歩もしない。
少し哲学的な話も多くそういった話が好きな人にはオススメ。
これほど儚く美しくしかも壮大なまでに物語を紡げる作者の力量には驚嘆せざるを得ません。
寡作であるというのも無理はない。
一作一作に魂がこもっているのもむべなるかな,という印象。
若い時に読むのと40代、50代になってから読むのとで作品の感じ方がまた変わってきそうで面白い。
12.夏への扉
物語は1970年のアメリカ。
主人公のダンは愛猫ピートと二人きりで街をうろういていた。
ダンはエンジニアで、家庭用自動機械を次々に設計、製作してヒットさせるが、仲間に裏切られ、自ら起こした会社を追い出されたのだ。
酔いに任せて彼は保険会社へと赴き、ピートと共に三十年間のコールドスリープを契約する。
その後酔いも覚めた所為か、愚かなことだとコールドスリープの実行を思い止まるダンだったが、色々あって結局は永い眠りにつく。
次に目覚めたのは2000年。
そこで目にしたのは、かつてダンが作った機械たちの発展系だった。
あの会社はどうなったのか、あの裏切り者たちはどうしているか?
眠る前にも色々あったが、起きた世界でも様々な人々との出会いと共に色々ある。
「時間旅行もの」と言うジャンルを確立し、世界的な評価を受けた本作は、この後も色々な出来事が続く。
ダンの身に一体何が起きるのかと、最後まで飽きることなく読める一作である。
13.華氏451度
本文でも述べられていることだが、本は情報を収める容器に過ぎない。
当然重要なのは容器ではなく、中身である。
「情報」は大きく二種類に分けることができる。
すぐに役立つ情報と、いつ役立つか分からない情報である。
そして後者がこの小説で「本」と表現される情報である。
今日の天気予報は明日には不用になるし、法律を暗記しても法律が変われば役に立たない。
数十年、数百年、数千年単位で必要とされる情報がある。
それが「本」である。
為政者が恐れるのは、世の中の欺瞞を見抜く「本」当の知識を持った人間である。
そのような人間の登場を抑える最も効果的な方法は、焚書でも検閲でもない。
即役立つ情報と即快楽をもたらす情報で、世の中を満たすことである。
一日身を粉にして働いた人間が夜一息するときに手にするのは、本だろうか、テレビのリモコンだろうか。
14.2001年宇宙の旅
物語の根幹にあるのは、漆黒の『モノリス』の存在です。
これは単なる未知の物体ではなく、人類の進化を“導いた”存在――すなわち、モノリスの創造主=超知性体の存在を示唆しています。
彼らは時間や空間の制約を超え、生命の進化を観察し、あるいは操作する能力を持つ存在であり、人間の想像をはるかに超えた精神的・科学的高みに到達しています。
作中で彼らが直接姿を現すことはありません。
しかし、その意志はモノリスを通して人類に作用し続けます。
この在り方は神を思わせながらも、宗教的存在というよりは“宇宙的理性”の象徴であり、科学と哲学が交差する地点に立つ存在だと言えるでしょう。
本作で描かれるのは、物質的進歩ではなく、『精神の進化』こそが宇宙において最も価値あるものだという視点です。
人類は火を使い、道具を手にし、機械を創造することで文明を築いてきました。
しかし最終的には、精神性の高次元――すなわちモノリスの創造主(神に近い存在)へと“脱皮”していく必要があることが示唆されます。
HAL9000の混乱と暴走は、いかに高度な人工知能であっても、倫理や人間的矛盾を処理できなければ破綻に至ることを象徴しています。
それはHAL自身の欠陥というよりも、人間が与えたプログラム――言い換えれば、人間の認識と設計の限界が露呈した結果だと言えるでしょう。
人類は知性を外部化し、機械へと委ねることで進化を加速させてきました。しかし本作が私に問いかけるのは、知性の高度化の先にあるものです。
すなわち、「精神はどこに在るのか」という問題です。
精神は数値化することも、完全に把握することもできません。
それでも確かに存在し、芸術や行為、そして沈黙の中にその姿を現します。
計算によっては決して到達できない√2が、図形の中では確かに存在するように、精神もまた完全には捉えられなくとも、確かにそこに姿を現しているのです。
そして「宇宙も、意識も、人工知能も」――説明し尽くされることなく、ただ存在し続けるのです。
物語の終盤に現れる『スター・チャイルド』は、人類の次なる進化形を象徴しています。
主人公ボーマンはモノリスを通じて物質的肉体を超越し、宇宙を見下ろす“子ども”として再生します。
それは神格化でも救世主化でもなく、あくまで『人間精神の次の段階』として描かれています。
スター・チャイルドが地球に再び関わるのかどうかは、明示されません。
そこにこそ、作者の壮大なビジョンと、読者に委ねられた深い余韻が残されているのです。
15.火星の人
主人公がユーモアがあって前向きで、読んでいてストレスなく読める。
火星に一人取り残されるという絶望的な孤独の中でも、読者も一緒に陰鬱な気持ちになるということはなく、むしろ、生き残るための小さな目標を立てて一つ一つ課題に立ち向かっていく姿にかえって元気づけられる。
明るく元気いっぱいって感じではないのもいい。
皮肉屋で、ふてくされたり悪態をつきつつも一晩寝て忘れるぞって感じで、軽快な語り口で記録を残していくところがいい。
ユーモアは、様々な困難を乗り越えて前に進める、大きな推進力であり、潤滑油となる。
『火星の人』は、一流のSFエンターテイメントであり、人が生きていくうえで大切な精神を気づかせてくれる。
16.われはロボット
アシモフの「ロボット三原則」は子供でも諳んじられるくらいに簡潔です。
基本の姿勢としてはロボットが「好ましい存在であるため」の原則といえると思います。
事実、アシモフのロボット(またはマシン)達は高度化すればするほど、
深い思考と複雑な手法で人間を尊重するように行動します。
「ロボット三原則」は「人間の命令に従う」ことを真ん中に据えていますが、「命令に従う」を、「社会的責務を果たす」や「他人の尊厳を守る」、などに言い換えれば、そのまま「好ましい人間」としての原則に読み替えることが出来ると思います。
そんな理想を経済競争に使われる、現実のAIやロボットに当てはめようとするのは、お花畑な思考なのかもしれません。
しかし、『人類は思い描いたことは実現できる』とも言います。
実現すべき目的地を間違えない為にも、アシモフが描いてくれたこの未来の物語は、読んで、その思索に触れておくべきものだと思います。
17.一九八四年
大きな権力が監視等のありとあらゆる手段を使って個人の思想にまで入り込んでくるというのは、本当に恐ろしいことです。
個人的には、思想の自由は人間が人間らしく生きるうえで、かけがえのない権利であり、行動の自由が制限されるよりも思想の自由が制限されることの方が危険なことであると思います。
ただし、国民一人ひとりが国家の指導者が道義的に良くないという認識をしていたとしても、経済的な余裕がある場合には、大半がその状況下での生活に快感を感じるのではないでしょうか。
これは、ある意味「二重思考」であり、飼い慣らされている状態ともいえると思います。
このようなことは個人レベルでも起こりうるのだと思いますが、そういった状況下にあっても、一人ひとりが過去の偉大な思想に触れ、もがきながら、真の自由を勝ち取っていくべきであると考えます。
現代を生きる我々であれば、その気になれば多くの書物を読むことができるわけで、個人的には、そのことに感謝しています。
物語はバッドエンドで終わっていますが、それでも、ウィンストンとジュリアが一緒になった時には一縷の希望を感じましたし、洗濯物を干す女性に人間のあるべき姿を見出したのは、唯一の救いであったとも思います。
また、本書に書かれている内容が現実的に起こることはあり得ないと思いますし、当時であっても多少異なったかと思いますが、それでもオーウェルが想像できた世界な訳であり、そういった意味では我々も注意しなければなりませんし、本書が広く読まれるべきであると思います。
18.アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
この作品の面白いところは、人間もアンドロイドのような機械的な行動又は残虐的な行為を平然とやっていたり、アンドロイドたちも人間のように表面上では他者への情を見せたりもしているという点である。
両者は根本的な部分では確かに違うのかもしれないが、両者の関係は非常にあいまいな境界の上で存在しており、人間と被造物の関係を考えせてくれる作品になっている。
50年以上も前の作品なのでコンピューターやインターネットの概念すらなくダイヤルで感情を調節するといった古典SFならではの世界観も面白いが、人間とアンドロイドの違い、人間とはいったい何なのかという今日でも議論される哲学的問いをこの時代にSF作品にしたのは見事である
19.高い城の男
最初はアメリカ人が日本とドイツに戦争で負けた世界で、日本とドイツに再度戦争して勝つお話なのかな?と思って読んでいたけれど、そんなことはなかった。
序盤はロバート・チルダンというアメリカ人の話が主流。
この人物がただの商売人で「日本人嫌い、でも、ビジネスパートナーだし、戦勝国だから相手してやる」といった感じで、本書の世界の世知辛さを体現している。
だから、それだけの物語なのかと勘ぐってしまい、展開が少し退屈だと感じた。
だが、読み進めていくにつれ、出てくる登場人物同士が間接的に影響し合い、自らの運命を変えていく。
あるものは人を救い、あるものは新境地に達し、そして、あるものは別の真実にたどり着く。
それらの過程が日本人なら歴史の教科書で誰もが知る『易経』という占いによって様々に作用しあい、選択していく。
登場人物は立場は違えど、圧倒的な権力に屈服せざる得ない人たちだ。その者共が悩み苦しみ結果にたどり着く、または導く。
中でも、主要な登場人物である田上とフリンクの関係性には深い因果を感じた。
物語全体として派手さはないし、解りやすい一筋物語があるわけではないけれど、『易経』を通じて織りなす様々な人々の物語とその結果は読んでいて引き込まれていった。
本書には仏教や哲学的なもの等々の小難しいセリフが多い。
作中にロバート・チルダンが、ある日本人から”無(ウー)”に関することを熱心に説明されるシーンがあるのだが、ロバートはよくわかってなかった。
以上のように多少小難しい話があるので取っつきにくい、読みにくいかもしれないが、
個人的に以上に述べた要素が好みであれば読んで損はないと断言できる。
20.星を継ぐもの
私達は、人類の進化、地球と月と太陽系のありようについて、専門家から一応の説明を受けて納得している。
専門家の視点では、まだ色々と解明すべき課題が残っている事も、常識に照らして納得している。
とにかく、大筋において理解に苦しむような問題は何もないのだ。全てはうまく収まっている。
ところがジェイムズ・P・ホーガンは、月の裏側に、「5万年前に死亡した宇宙服を着た人類の死体」を置く事によって、丸く収まっていた理解を根底から無効にしてしまう。
完成していたはずのジグソー・パズルに、もう一つの小さなピースがあるのですよ、と宣告したようなものだ。
新たに突きつけられたピースをはめるには、これまでの人類の進化、地球と月と太陽系のありように関する理解を、一度全部バラして組み立て直さなければならない。さあ、どうしよう?
人類は、5万年前に月旅行を実現するまでに文明を発展させた後、原始状態にまで後退した?
5万年前なら、地質学的にはつい先日。高度文明なのに何の遺跡も痕跡もないのはなぜ?
それとも、人類は他の惑星で進化して、そこからやって来た?
それにしては人類の形態や遺伝子が、他の地球生物と類似性・連続性が有りまくるのはなぜ?
かくして、常識を再構築するための科学者達の闘いが展開されるわけだが、次々に新事実が発見されるつど、その事実が新たな謎を呼び、疑問は膨らむ一方。
読者はホーガンの突きつける謎に翻弄され、派手なアクションなど無いにも関わらず、何がどうなる事やらと、手には汗を握り、頭からは湯気を立てて読み進む事になる。
そしてついに、全ての謎が明らかになった後の、何という爽快感!
物言わぬ死体が突きつける謎を緻密な調査によって解いていくという展開は、まさに推理小説のスリルとサスペンスであり、結末で明らかになる新たな太陽系像は、これぞセンス・オブ・ワンダー、SFならではの醍醐味だ。1977年に発表されて以来、読み継がれてきただけのことはある、文句なしの名作。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。
その他書籍も紹介しております。
宜しければご覧ください。
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