小説3,000作品以上読んだ人間がオススメする名作海外小説20選
皆さんこんにちは
今回は今まで読んだ海外小説の中で個人的にオススメの作品を紹介します。
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1.蠅の王
少年たちが乗っていた船が座礁し、無人島に到着するところから物語が始まります。
自分たちの世界、暖かい島。少年たちにとっては小さい頃から誰もが一度はあこがれた状況だったでしょう。
しかしやはり現実は甘くはありませんでした。
自分たちのやりたいことをやる願望があるということは社会や大人に守られているからこそ存在するものだったのです。
当然ルールは破られ、秩序は乱れ、そこに思春期の少年特有の揺れが混じり、話は進んでいきます。
理由なく行動を起こすことがこの時代の子供たちの特徴なのです。
ちょっと自分と異質なところがあると判断した時点でいじめたりいじめられたり、さっきまで機嫌よくしていた子が突然口もきかなくなったり。
でも理由を探してはいけないんだと。こういう時期なんだと。最近やっと悟りました。
この本のラストは二段階になっています。書かれているラストとその先にある書かれていないラストと。
少年たちは果たして救われたのか、否か。
中学生に是非読んで欲しい小説です。
でも多分あまりにも自分たちの嫌な部分を見せ付けられるでしょうから、はじめに読んだときは不快になるでしょうね。
10年経って再読するとまた違った気持ちを味わえるでしょう。
本の中には一回読んだだけでおしまいではなく、自分が今社会のどこに存在しているかによって読み直したときに違った感想を持つものがあります。
そういった本は名著と呼ばれるものが多いです。
この本もそんな本の一冊です。
2.異邦人
人間は言葉を持って以降、自然から乖離し、あらゆる出来事に意味を見出し、喜怒哀楽に翻弄されながら生きてきた。
人間同士が暗黙のうちに想定する文脈の食い違いが、時に笑いや憎しみを生む。そこから様々な小説のテーマが生まれてきたといえる。
この小説では、アルジェリアの海と太陽の中で、自然に同化して生きる人物が主人公になっている。
いま目の前にある世界にのみ関心を寄せ、過去を振り返ることのない男。
羨んだり、恨んだり、悲観したりといったこととは無縁の人生。
無限の海と太陽が、彼に満ち足りた気分を与えてくれる。
しかし、こうした自然に同化した人間の存在を許さない「社会の掟」が主人公の前に立ちはだかる。
「母の死」「キリストの苦しみ」といったことに関心を示さないことが、社会の掟を無視する危険な人物と解釈され、死刑を宣告されるに至る。
文脈を共有しない異邦人は、罪人同様に敵視されるのが人間社会の本質なのか。
象徴や文脈といったものから脱却し、リアルな自然に没入することを許さない人間社会の一面を描き出した小説。
また、その不条理に対峙し、それでも自然のままに生きる/死ぬことを選択した男の生き様を浮かび上がらせた小説。
3.ドン・キホーテ
騎士道物語を昼夜問わず読み耽った善良な郷士が従士のサンチョ・パンサを引き連れて遍歴の旅に繰り出す、言わずと知られた古典である。
特に非日常的な出来事が起こるわけではないのだがなんでも騎士道物語に現実を合わせて考えるドンキホーテは風車を巨人に見たて、無から冒険を生み出す。
このようなかくも愉快な出来事がこの物語の代名詞になっているわけだが、この物語の大部分は狂気じみた冒険から構成されるわけではなく、思慮分別に富んだ(騎士道物語のことになると思慮分別を失うのだが)高潔で、機知に富んだ主人公ドンキホーテと軽口をよく叩く単純で善良なサンチョ・パンサとの掛け合い、また彼らが会う人々が語る物語や時折挿入される短編で構成されている。
格調高い言葉遣いから繰り出されるドンキホーテの言葉は何にも増して魅力的なのでぜひご一読ください。
彼の住む村の住民や冒険の最中出会う人々は口々にドンキホーテの狂気をやめさせようとしたりからかったりするのだが、それはほんとに彼のために言っているのだろうか。
たしかに狂気に陥っているのは一目瞭然だが、冒険に出ている時ほど彼の心を踊らせて人生に深い喜びをもたらせてくれるものはほかにないのかも知らない。
かくいう私たちも多かれ少なかれ物語を信奉して生きているのだし、もし人生に色鮮やかな色彩をもたらせてくれる物語ならどれだけ馬鹿げていても矯正する権利はあるのだろうか、ということを考えさせてくれる作品であった。
4.シッダールタ
家柄もよく、才能にあふれ、努力も惜しまない、ブッダと同名の主人公シッダールタが、出家して悟りを開くまでの生涯を描いた小説です。
長くない作品の中に、探求者が直面する苦悩のほとんどが盛り込まれています。
裕福な家を捨てて出家し、厳しい修行により奥儀を極めた主人公は、修行の無意味さを感じ、修行者の生活をやめ、仕事と恋愛の成功も手に入れます。最初は無一文で乞食同然でありながら、「私ができるのは、待つこと、考えること、断食することだ」と言って、有力商人と対等以上の関係を結び、最高の女性に愛のレッスンを受けて、世間的な成功を収めます。
しかし成功を果たし、快楽を尽くした後には堕落が待っており、手に入れたすべての成功を手放して探求生活に戻っていく主人公。
そしてまた一つの境地を極めたと思ったら、そこにも限界があり、また手放して。
そうやって、学んで、成功を得て、壁に当たって苦しんで、成功も手放して、また新しいチャレンジの生活が始まることを繰り返して、一生をかけてらせん状に成長していく姿は、感動的です。
ただ、すべての条件に恵まれた主人公ですら、真に満たされた境地に達するには一生かかってしまい、ほとんどの人は修行に一生を捧げてもその境地に至ることはできないという事実は、小説とはいえ、この道の険しさを改めて感じさせるものと言えます。
そこに、おそらくはヘッセ自身が抱えていた苦悩と理解の深さも、また見て取れるかと思います。
悟りや自己実現に興味のある人はもちろん、人間はなぜ生まれてきたのか、人生の目的は何かを考えたことのある人には、一つの答えを示してくれる本です。
5.悪童日記
本書では、主人公の双子の少年達による事実の記録の羅列を読者が盗み読みしているかのように物語は進んでいく。
文体は客観的事実の記載にとどまり、そこに少年達や他の登場人物達の主観が入ることはない。
第二次世界大戦下の時代背景を舞台とした不合理で冷徹な場面、悲惨で残酷な場面、倫理的に受け入れがたい様々な場面においても、本書の記述に主人公達の感情が入り込む余地はなく、ただ単なる事実として物語は進んでいく。
事実に主観的な評価を与えないこの文体から、本書は痛快で悲惨さが抑えられ、また淡々と進んでいく事実を子どもの視点から見ている効果が生まれている。
悪童とは主人公達二人の少年を指すことは明白だが、主人公達は自分達の行いを悪だとは評価していない。
本書の時代背景において、悪とは何なのか。
理不尽で不合理な社会なのか、その社会の中で存在するため様々な倫理を犯す主人公達なのか。
ストーリーも破天荒ということで、大衆受けする要素を備えつつも、第二次大戦中のハンガリーという舞台を活用して、人間存在の複雑さ、人間の欲望の深さに取り組んだ力作だと思う。
本書の続編において彼らの世界がどのように変化していくのかが大変楽しみな一冊。
6.白鯨
この物語を語るのは、イシュメールと名乗る風来坊の船乗りである。
仕事欲しさに、「知らずに」エイハブ船長の船に乗り込んでしまったよそ者の彼は、エイハブという強烈なカリスマと出会い、彼の許で未開人クイークエグ、銛打ちの名手スターバック、いかれ気味のボーイらとチームを組むことになる。
そして、彼等が乗るピークォド号。
両舷に鯨の首を吊るし、マストには「白鯨」発見者に贈与される金貨が釘で打ち付けられている、呪われた捕鯨船。
その磨きあげられた艦板に、エイハブ船長の鯨骨で出来た足がコツコツと響く。
凄惨なシーンが多く語られる物語ではあるが、クジラの死骸から抹香油を掻き出すシーンや、捕鯨ボートで小山のような鯨達の間を縫って航行するシーンなど、静的な見せ場も多く用意されている。
本の冒頭、古典に見られる鯨の描写が、相当数の引用文を伴ってオマージュ的に述べられている。
これはメルヴィル自身が抱く、鯨という存在の恐怖、破壊性、巨大さ、禍々しさ、力強さをおそらく表現しており、
そのうえで彼が感じている、避けるべきなにか(たぶん運命的な)を暗示しているのかではないかと思う。
その究極の存在である「白鯨」に立ち向かうエイハブ。
しかし彼を狂気じみた存在として描写する事で偽善を避け、非常に苦みの強い味わいを、この物語に与えている。
この味わいこそが、この物語の肝であり、普通の冒険小説!をひとつ飛び越えたものとして読み手を魅了し続けている。
7.若きウェルテルの悩み
恐るべき破壊力を秘めた作品であることを再確認した。
自分の胸の中にウェルテルの胸が飛び込んできたかのように生々しく伝わってくる。
高鳴り、締め付け、ジリジリと焼け焦げる苛立ち、貫く痛み、深い落ち込み、絶望――すべてが脈打っている。
死を選ぶことは決して尊いものではない。
しかし彼女を愛することがウェルテルの人生にとって全てだった理由で、それを選ぶことは疑う余地の無い唯一の道だった。
その引き金を最終的に引く原因になったのは、願いが叶わないと悟った時だと考えられるが、もしかしたらそれは彼女に自分の想いを伝える最後の手段でもあったのかも知れない。
強固な想いは素晴らしい。しかしそれは狂信性を生む。
人を愛する一つの形を明確に示してくれた一冊だったと共に、考えさせられる一冊でもあった。
8.プロジェクト・ヘイル・メアリー
「ヘイル・メアリー」とは「アヴェ・マリア」の意。
アメフトで劣勢のチームが運を天にまかせて投げるロングバスの意。
つまり「神様ー!!頼んますー!!」です。
このタイトルだけでもう面白い。
言葉や感覚器の違いも乗り越えて、人類と異星人がここまで心を通わせることができるのだろうか。
グレースと異星人のロッキーはバディと言っていいほど仲良くなる。
徹頭徹尾ポジティブで暗いところがない。
どんな困難な状況でも落ち着いて対応して、乗り越えていく。
徹底的に主人公の思考と見えてる範囲の情報で物語は進むので、やがて彼は読者自身になる。
主人公の喜びも悲しみも痛みも覚悟も直に胸に腹に響く。
SF小説で声をあげて泣いたのは初めてだった。
9.三体
ストーリーが面白いのは言うまでもなく、登場人物の台詞に垣間見える深い洞察や優れた比喩表現も圧巻です。
とにかくスケールが大きく、読めば読むほど引き込まれていきます。
後半から怒涛の流れが押し寄せあれやこれやと話が展開していくのですが、科学の背景を一つ一つを理解しようとすると頭がパンクしそうです
結果読み終えるともう一度詳細を理解したくなる、内容の衝撃とともに話の難しさも相交える独特な読書体験になると思います
洗練された翻訳と分かりやすい解説により、初心者からSF通まで幅広い読者に刺激と感動を与える一冊です。
特に宇宙好きには絶対読んでほしい
10.あなたの人生の物語
表題作は異星人とのコンタクトっていうSFなんだけど、これは「時間」と「愛」についての、すごくパーソナルな物語だった。
もし未来のすべてが見えたら、悲しいことも嬉しいことも全部わかっていたら、自分はどうするだろう?
主人公の選択を思うと、涙が出そうになる。
読み終わってから、自分の人生も、これから起こることも、全部ひっくるめて愛おしく思えた。短いお話なのに、余韻がすごい。
自分たちの住む現実世界とは全く違う概念の世界を堪能出来ました。
いくつもの新しい世界観を提示しているので、自分の世界が拡がっているように感じました。
全て読み終えたときの満足感は高いです。
絶対に読んで後悔しない1冊です。
11.息吹
人間に扱いきれない技術、道具が出てきたときにそれをどう扱うか人の心の在り様が描かれている。
AI、テクノロジーが進歩しても人間は進化も進歩もしない。
少し哲学的な話も多くそういった話が好きな人にはオススメ。
これほど儚く美しくしかも壮大なまでに物語を紡げる作者の力量には驚嘆せざるを得ません。
寡作であるというのも無理はない。
一作一作に魂がこもっているのもむべなるかな,という印象。
若い時に読むのと40代、50代になってから読むのとで作品の感じ方がまた変わってきそうで面白い。
12.ペスト
本作は完全にフィクションで、疫病に襲われる町とそこで奮闘する人々の姿を、ある語り手(語り手の正体は最後に明かされます)の視点から描いていくというスタイルをとっています。
カミュがここでペストに表象させているのは、一般に、この世の中の不条理(疫病や戦争、災厄など)と言われており、ペストとそれに纏わる騒動や影響そのものが主題ということではなかったのかもしれませんが、フィクションとは思えぬ迫真性、リアリティは圧巻です。
できるだけことを大きくしたくない政治家(知事)の優柔不断、それに基づく行政の中途半端な措置、加えて自らは罹患するはずがないと思う多くの市民の根拠なき期待と無関心など、どこかで聞いたような現象がそこかしこに描かれており、作家の慧眼に驚かされます。
物語は、医師リウーやその周辺の人々のペストとの戦いに関する行動、言動の記録の体裁をとっているわけですが、カミュが描きたかったことを簡単に言ってしまえば、「不条理」の中で、最後に救い、勝利をもたらすのは、人々の誠実な行動と連帯ということになるかと思います。
しかも、カミュによれば、それは決して例外的でヒロイックな行動ではなく、(すべての)人間性の発露として捉えられるべきものということになります。
人はどう生きるべきかという問いに、真摯に答えを見出そうという小説家のそれこそ「誠意」が感じられる傑作かと思います。
13.ライ麦畑でつかまえて
思春期のいらつき、反抗心、自己防衛にも取れる屁理屈の数々、そして行き場のない怒りと不安と独りよがりな感情。思想と行動のアンバランスさ等。この感情が万国共通なのも面白かった。
作者はいったいどうやってこの青い感情を保ち、こんなに上手に解りやすく表現出来るんだろうと、毎回感心しつつ読みます。おそらくサリンジャーは永遠に少年だったのでしょうか。
物語はメッセージ性の強い文章で、1人称で最後までホールデンが話続けていく感じ。私はホールデンの攻撃性とは真逆な繊細さにハラハラしながら読みました。だってホールデンがどうにかやっとの事で生きてる感じなので。
読み進むとサリンジャーの読者への愛とメッセージを感じられます。
今の子にわからないという事はなくて、解る子にしかわからないという意味ではこの本はきっと昔からそうだと思います。
この名作が多くの共感を得て、決して傾倒して迷宮に迷い込むことなく救いになることをサリンジャーも望んでいたのではないでしょうか?
少なくとも私にはそう感じられる本です。
14.薔薇の名前
この小説では、中世の北イタリアの山上の由緒ある修道院で起こった奇怪な連続殺人事件の謎に、当修道院を訪れたフランチェスコ会修道士、バスカヴィルのウィリアムと、その弟子のベネディクト会見習い修道士、メルクのアドソの師弟が挑む1327年11月末の7日間が描かれています。
鋭い頭脳の持ち主であるウィリアムは、謎解きの途中で、この事件の原因は修道士同士の争いや復讐ではなく、修道院の敷地内に建つ巨大な迷宮構造を有する文書館に秘蔵されてきた禁じられた一巻の書物が関係していることに気づきます。
舞台は中世、修道院。
シャーロック・ホームズとワトソンのような関係の師弟修道士が、文書館をめぐる殺人事件に挑む。
エンターテイメントでもあり、学術的でもあり、ミステリーと記号論と歴史と宗教学を同時に含んでいる。
本の迷宮をめぐる物語は、その本自体もまた迷宮のようで、人によって、見方によって、さまざまな読み方ができる。
個人的に、おもしろいと思ったのは、この本の構成。
遠い昔に書かれた書物を、現代の著者が見つけて、訳出していくという作りになっている。
語り継がれて、失われて、そうしたことがめぐりめぐって、今この手元に本がある。
ふだんはうっかり忘れているけれど、多くの伝承や物語に、わたしたちはそうやって出会っているのである。
本の本の本、とでもいうべき多重構造が、なんともさすがというべきか。
学術でもいいし、娯楽でもいい。
そんな本はめったいにないので、たとえぶ厚くてびっくりしても、物語の迷宮に迷いこむ価値はあると思う。
15.火星の人
主人公がユーモアがあって前向きで、読んでいてストレスなく読める。
火星に一人取り残されるという絶望的な孤独の中でも、読者も一緒に陰鬱な気持ちになるということはなく、むしろ、生き残るための小さな目標を立てて一つ一つ課題に立ち向かっていく姿にかえって元気づけられる。
明るく元気いっぱいって感じではないのもいい。
皮肉屋で、ふてくされたり悪態をつきつつも一晩寝て忘れるぞって感じで、軽快な語り口で記録を残していくところがいい。
ユーモアは、様々な困難を乗り越えて前に進める、大きな推進力であり、潤滑油となる。
『火星の人』は、一流のSFエンターテイメントであり、人が生きていくうえで大切な精神を気づかせてくれる。
16.マクベス
シェイクスピアの4大悲劇のなかでもっとも短い作品ながら、人間の弱さを正面から見つめた作品だと思う。
怪しい魔女に「王となる」と予言されたマクベスだったが、それをきっかけに王ダンカンの暗殺を心に決める。
それでも自分が手を下さなくとも王位が手に入るのではないかという思いで決意が鈍るマクベスに、それを強いるマクベス夫人の言葉と激しさがひとつの山場となっていた。
王を殺してからのマクベスは、いつその座を奪われるのかという恐怖と猜疑心からダンカンの亡霊さえも見る。
精神を病んだマクベス夫人と敵になるかもしれない人を殺していくマクベスの姿を見ていると、何のために王座を欲したのかとさえ思ってしまう。
一度奪い取った王座からは逃げることさえできない。
それがマクベスの狂気を駆り立てるかのようだった。
最後に予言がどうなろうとも戦って死ぬと決めたマクベスは、予言の呪いからようやく解き放れたかのようだった。
そしておそらく自分の弱さから抜け出した瞬間だったのだろう。
成功を目指して、ずるずると悪の道に踏み込んでいく様。
葛藤しつつも、やはり悪の道に知らず知らずに進んでいく。
まさに人間がここに描かれています。
17.戦争と平和
ナポレオンがロシアに侵入し、モスクワを占領し、自滅・敗走するまでの戦争の時代を縦糸に、ロストフ家、ボルコンスキイ家を中心とする人々の生活を横糸に織り上げたロシア民族の精神。
数々の不幸や、死や、悲しみに襲われても、やがてまた木々は芽吹き、花は咲き、空は青く晴れわたります。
苦難が人々を強く、深く、賢くするのだなあ、と彼らの運命を隣人のようにハラハラドキドキ見てきた一読者(オーノヴィチ・カレースキイ)は思ったりします。
戦争で勝敗を分けるのは「兵士の士気」と「予期せぬ偶然」であるとか、当時の戦争は司令官の命令が前線に届くのに時間がかかったから作戦に大した意味はなく、だからナポレオンなんぞ別に偉くも何ともない、それにひきかえ我がロシアのクトゥーゾフは何て偉大なのだ……とか、作者の微笑ましい一面も垣間見られます。
普段の生活で「嘘」と「偽善」と「建前」に辟易して疲弊している方へ。
ここには赤裸々な真実ばかりが豪華絢爛に並んでます。
人の本音や物事の真相を明らかにすることは日常生活ではまず不可能。
じゃあ真実は存在しないのかと言ったらそんなことはないはずだ……。
こんなモヤモヤをズバッと解決してくれるトルストイはホント神ですね。
読むほどに爽やかな気分になること請け合いです。
18.アルジャーノンに花束を
知的障害の方から見る世界を知ることができた。
表出する行動に目を向けるのではなく、その深層を知ろうとすることが大事だと思った。
また何事においても愛の力は強く、そして幼少期における親の存在はその後の人格形成に大きな影響を及ぼすと改めて感じた。
あらためてじっくり読んでいて、ふと気がつきました。
この小説に出てくるような、特別な手術や薬がなくても「人が生まれて、教育と努力で成長して、やがて衰えて身体的にも知能的にも退化していく」のは人類の性かもしれません。
そうなったときに必要なのは「人を愛し愛されて、明るく朗らかに生きていく」性格と、それによって培われた人間関係だけかもしれないと思いました。
それと、花束をささげる誰かも。
19.モモ
効率化を極限まで追求しようと発展してきた文明社会。
とても便利で恵まれた環境で生活をしている私達はここで立ち止まり落ち着いて考えてみる必要があるのかもしれない。
もしモモのような知人が近くにいたらその存在に気がつく人は、気にする人はどれだけいるだろうか?
よく沖縄では独特なゆったりとした時間の流れがあるなどと言うが、関係があるように思う。
自由に使える時間=心のゆとりに繋がる。
幸福とは、心のゆとりなんだと思う。
ゆとりがないと、毎日忙しい生活に追われて家族や自分との時間を大事にできない。
別の本で、人が亡くなるときに思うことは、仕事のことではなく、家族ともっと思い出を作りたかった、と書かれていて、家族との時間を有意義に過ごすことが幸福に繋がるんだと思う。
そのために、心のゆとりを持つことが重要。
全世代にオススメの作品です。
20.カラマーゾフの兄弟
本書には、お金・男女・親子・犯罪・宗教等、人類の全てが詰まっていると感じました。
私なりの解釈では、本書は、聖書の解説書とも捉えることができると思います。
宗教の経典には、「〜をすべし」「〜をすべからず」という戒めが書かれていますが、それがなぜ必要なのかを、生涯で様々な経験をしたドストエフスキーが解説しているわけです。
また、それをただ単に実践せよというのではなく、各人が「自由に」様々な経験することにより、身を持ってその重要性を理解すべきであると主張しているのだと思いますし、更に苦しみの末に「罪の意識」を自覚し、赦し、愛するということの重要さを訴えかけているのだと思います。
そういった意味では、ドストエフスキーは全ての人の罪を背負う、キリストの様な存在であるといえるのではないかと思います。
そして、それは、周囲の人々に希望を与えてくれる存在であるとも思います。
本書の中で、「カラマーゾフだから」みたいなフレーズが何度か出てきますが、それは、「人間だから」とも置き換えることができると思います。結局、人は人として、個人の人生を生きるしかありません。
本書に出会えて、本当に良かったです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
どの本もオススメなので良ければご一読ください。
その他書籍も紹介しております。
宜しければご覧ください。
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