業者が絶対言わない|囲い込みを見抜く3つのサイン
売りたいと言い出せないまま、毎月の収支だけが削れていく。
査定は取った。だがその会社が本気で売る気なのか、判断する材料がない。
材料は3つある。すべて、売主が自分の手で確認できる。
「売れない」のではなく「売らせない」が起きている
囲い込みとは、預かった物件を他社の買主に紹介せず、自社で買主を見つけるまで市場から隠す行為だ。
動機は報酬にある。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法第46条と昭和45年建設省告示第1552号(最終改正 令和6年国土交通省告示第949号)で定まっており、売買価格400万円超なら 売買価格×3%+6万円(税抜) が片側からの上限になる。
1,800万円のワンルームなら片側で60万円。売主と買主の両方から受け取れば120万円。同じ物件、同じ労力で報酬が2倍になる。他社の買主を断る理由は、ここにある。
囲い込みは「売る努力をしない」ことではない。「他社に売らせない」という積極的な行為だ。
そして2025年1月1日から、これは明確に処分の対象になった。「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」等の改正により、レインズの取引状況(ステータス)を事実と異なる内容で登録・放置した業者は、指示処分や業務停止処分の対象となり得る。
サインは3つ。すべて売主が自力で確認できる
■ 登録証明書が、契約後1週間たっても届かない — 専任媒介はレインズ登録が契約日の翌日から起算して7営業日以内、専属専任媒介は5営業日以内と決まっている。登録後、業者は 登録証明書 を売主に交付する義務を負う。
この書面が来ない時点で1つ目のサインだ。「登録は済んでます」という口頭説明に証拠は残らない。書面を出させる。
■ 売主専用IDでログインし、ステータスが「公開中」以外になっている — これが最大の武器になる。登録証明書には、売主本人が使う確認ID・パスワード(二次元コード/URL付き)が記載されている。
レインズの「売却依頼主用 物件確認」にログインすれば、自分の物件の登録内容をリアルタイムで閲覧できる。
見る箇所は 取引状況(ステータス) の1点だけだ。「公開中」以外――たとえば「書面による購入申込あり」「売主都合により一時紹介停止中」――になっているのに、売主本人が申込も停止も知らされていない。これが2つ目のサインだ。
自分が止めていない物件が「紹介停止中」。理由を書面で説明させる。
■ 査定直後に「うちで買い取ります」が出てくる — 市場に出す前から買取の提示が来るのは、市場価格を試す前に決着させたいという意思表示だ。
買取価格は市場流通価格より低くなるのが通常で、比較対象が存在しない状態での即決は売主に不利に働く。検証させない提案 が3つ目のサインになる。
売主がやりがちなNG行動と、その回避策
■ 一般媒介なら囲い込まれない、という誤解 — 一般媒介にはレインズ登録義務も業務報告義務もない。つまり 登録証明書もIDも発行されない。監視手段を自分から捨てる契約形態だ。
回避策は逆になる。専任または専属専任を選び、登録証明書を受け取り、IDでステータスを毎週確認する。義務がある契約のほうが、証拠が残る。
■ 一番高い査定額を出した会社に預けてしまう — 査定額は売却価格の約束ではない。媒介契約を取るために高く提示し、預かってから値下げを迫る手順は業界で珍しくない。
回避策は、査定額ではなく 根拠にした成約事例 を出させること。事例を示せない査定額は、数字ではなく営業トークだ。
■ 「反響がありません」の一言で納得する — 専属専任媒介は1週間に1回以上、専任媒介は2週間に1回以上、文書または電子メールでの業務報告が義務づけられている。
回避策は、報告のたびに レインズ経由の他社からの問い合わせ件数 を数字で書かせること。口頭は消える。書面は残る。
売る前に必ず確認する、税率の分岐点
税率が変わる線が1本だけある。譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているか だ。
5年超の長期譲渡所得は20.315%、5年以下の短期譲渡所得は39.63%。同じ利益でも、税率が約2倍変わる。
登記簿で取得日を確認し、その線をまたいでから売る。ここを外すと、囲い込みを見抜いた努力が税金で相殺される。
匿名で構わない。電話もしない。
売却を検討していること自体、勤務先にも家族にも知られたくない人は多い。
LINE @874gqomt(投資マンション売却 匿名相談)では、以下を電話なしで確認できる。
登録証明書の見方チェックリスト(無料配布)
手元のステータス表示が正常かどうかの判定
サブリース契約書・管理費滞納・残債がある状態での論点整理
売る・売らないを決める前の段階で構わない。急かす連絡はしない。
売却の判断材料になる記事は今後も更新していく。フォローしておけば、次の更新が届く。
FAQ - よくある質問
Q1. 売主がレインズを見るには、業者の許可が必要ですか?
A. 不要。専任・専属専任媒介で交付される登録証明書に売主専用のID・パスワードが記載されており、本人がログインして登録内容を確認できる。
Q2. ステータスが「一時紹介停止中」でした。囲い込み確定ですか?
A. 確定ではない。売主都合の停止依頼や、申込受付中でも表示される。ただし売主が依頼していないのに停止中なら、理由を書面で求める根拠になる。
Q3. 登録証明書を渡してもらえない場合はどうしますか?
A. 交付は業者の義務。それでも出ない場合は、免許を出している都道府県の宅建業指導担当窓口に相談できる。
Q4. 一般媒介で複数社に頼めば囲い込みを防げますか?
A. 防げるとは言い切れない。一般媒介は登録義務も報告義務もなく、ID発行もないため、確認手段が消える点に注意が必要。
Q5. 残債が売却価格を上回っている状態でも売れますか?
A. 状況次第。金融機関との調整や自己資金の充当が前提になるため、一般論ではなく個別の残高と査定の突合が必要になる。
Q6. 売却するとき、税率はいつ判定されますか?
A. 譲渡した年の1月1日時点の所有期間で判定する。5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%。
出典・参考文献
公益財団法人 東日本不動産流通機構「売却依頼主様向け説明ページ」 https://www.reins.or.jp/explanation.html
公益財団法人 東日本不動産流通機構「媒介契約制度」 https://www.reins.or.jp/contract/
国税庁 タックスアンサー No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
大阪府「不動産取引における仲介手数料の上限額」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o130200/kenshin/houshu/index.html
LIFULL HOME'S Business「2025年1月から『囲い込み』が指示処分の対象に」 https://biz.homes.jp/column/topics-00197
