9割の売主が損してる|囲い込みを見抜く3つのサイン
あなたが「反響がありませんね」と報告を受けているその3ヶ月、物件は他社に一件も紹介されていない。
これは市場の評価ではなく、手数料を2倍にするために作られた状態だ。
投資用1R/1LDKの売却で売主が最初に潰すべきは、この構造だ。
「反響ゼロ」は市場の答えではなく、業者の設計である
投資用ワンルームの売却相談で最も多い誤解がこれだ。問い合わせが来ないのは物件が悪いからではない。
REINS(不動産流通標準情報システム)は、全国の不動産会社が売却物件を共有する国土交通大臣指定のネットワークだ。ここに正しく載れば、全国の買主側業者が同時に動く。
逆に言えば、REINS上で他社が触れない状態を作れば、市場から消せる。これが囲い込みだ。
囲い込みは「怠慢」ではない。売主の売却期間を犠牲にして、業者の取り分を2倍にする経済合理的な行動だ。
■ 手数料が2倍になる計算を知れば、動機が見える — 仲介手数料の上限は宅建業法で決まっている。400万円超は「売買価格×3%+6万円+消費税」だ。
1,500万円で成約した場合、売主から受け取れる上限は税込56万1,000円。ところが買主も自社で見つければ、買主からも56万1,000円。合計112万2,000円だ。
他社に買主を見つけられると、この差額56万1,000円が消える。だから他社に紹介させない。動機はこれだけで説明がつく。
囲い込みを見抜く3つのサイン
感覚では見抜けない。書面と画面で確認できる事実だけを見る。
■ 契約から1週間たっても登録証明書が手元に来ない — 専任媒介契約なら契約日の翌日から7日以内(休業日を除く)、専属専任媒介契約なら5日以内に、業者はREINSへ登録する義務がある。
登録が済むとREINS登録証明書が売主に交付される。ここには売主専用の確認画面にログインできるURL・二次元コードとID・パスワードが記載されている。
期限を過ぎても証明書が来ない、あるいは「後で渡します」と言われる。この時点で1つ目のサインが立っている。
■ 取引状況が「公開中」以外になっている — REINSには物件ごとに取引状況が登録される。売主は交付されたIDで自分の物件のステータスを直接確認できる。
売り出し中なのに「売主都合により一時紹介停止中」になっていれば異常だ。あなたが停止を頼んでいないなら、それは他社を排除するための表示だ。
2025年1月1日施行の宅地建物取引業法施行規則および解釈・運用の考え方の改正で、囲い込みは宅建業法第65条に基づく指示処分の対象として明確化された。従わなければ業務停止に進む。
■ 業務報告に他社からの問い合わせ件数が書かれていない — 宅建業法第34条の2第9項で、専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上の業務処理状況の報告が義務づけられている。
見るべきは「頑張っています」の文面ではない。REINSからの物件確認が何件あったか、内見が何件で、なぜ止まったかだ。
数字がない報告書が2回続いたら、3つ目のサインだ。ここまで揃えば偶然ではない。
相談で何度も聞いた、同じ形の話
査定でA社1,780万円、B社1,520万円。高い方に専任媒介で預けて3ヶ月動かず、「相場が下がっています」と1,450万円まで値下げを提案される。
このパターンで共通しているのは、登録証明書を一度も見ていないことだ。高い査定額は媒介契約を取るための数字で、売却価格の約束ではない。
3ヶ月を失った損失は値下げ幅だけではない。その間の管理費・修繕積立金・ローン利息も出続けている。
売主が陥るNG行動と、その回避策
■ 査定額が一番高い会社に専任で預ける — 査定額は法的な保証ではなく営業提示だ。根拠となる成約事例を3件出せない査定額は無視する。
回避策は単純だ。査定は3社以上取り、各社に「この価格の根拠となる直近成約事例」を書面で求める。出せない会社は落とす。
■ 期間満了時に流れで更新を申し出る — 媒介契約の有効期間は3ヶ月が上限で、更新は依頼者の申出が必要だ。自動で延びる契約ではない。
3ヶ月で他社紹介がゼロなら、更新しない。ここで惰性で判を押すことが、囲い込みを最も延命させる。
■ 「専任にしないと本気で動けない」を受け入れる — これは交渉の言葉だ。一般媒介で複数社に出す選択は常に売主の側にある。
サブリース契約中、残債が売却価格を上回る、管理費滞納がある——条件が複雑な物件ほど、この一言で判断を明け渡しやすい。条件の複雑さは、専任を選ぶ理由にはならない。
今日、10分で終わる確認手順
手元のREINS登録証明書を探す。無ければ業者にメールで交付を請求する(口頭ではなく文面で残す)
記載のURL・IDで売主確認画面にログインし、取引状況が「公開中」か見る
直近2回の業務報告書に、他社からの物件確認件数が書かれているか確認する
3つのうち2つで引っかかったら、更新はしない。それが最短で数十万円を守る判断だ。
📩 投資マンション売却 匿名相談:LINE @874gqomt
電話はしない。急かさない。名前も物件名も出さなくていい。
「登録証明書の見方が分からない」「この報告書、普通ですか」——その1行から確認できる。
売却するかどうか決めていない段階の相談が一番多い。決める前に構造を知る方が、決めてから知るより安い。
まずはフォローして、次回「サブリース付きワンルームの売却で価格が崩れる本当の理由」を受け取ってほしい。
FAQ - よくある質問
Q1. 一般媒介にすれば囲い込みは起きませんか?
A. 一般媒介はREINS登録義務がなく、逆に市場に出ていない状態を確認しづらい。複数社に出すなら各社の掲載状況を売主自身が確認する。
Q2. 登録証明書を請求したら不機嫌になりました。それは異常ですか?
A. 異常だ。交付は業者の義務であり、売主の権利行使を嫌がる反応そのものが判断材料になる。
Q3. 取引状況が「書面による申込みあり」でした。売れたということですか?
A. 申込段階で成約ではない。契約前に白紙になる例はある。誰の申込か、条件は何かを書面で確認する。
Q4. サブリース契約中でも売却できますか?
A. できる。ただし賃料設定と契約内容が価格に直結する。契約書の解約条項と賃料改定条項を先に読む。
Q5. 残債が売却価格を上回っている場合はどうなりますか?
A. 差額の自己資金または金融機関との調整が前提になる。まず残高証明と査定の差額を数字で把握する。
Q6. 囲い込みを見つけたらどこに言えばいいですか?
A. 免許行政庁(都道府県または国土交通省地方整備局)が窓口だ。証明書・報告書・やり取りの記録を残しておく。
出典・参考文献
東日本不動産流通機構「売却依頼主様向け説明ページ」(登録証明書・売主専用確認画面)https://www.reins.or.jp/explanation.html
レインズ利用ガイドライン 令和7年1月1日改正版(中部圏不動産流通機構)https://www.chubu-reins.or.jp/reinspdf/data/dc17_moushikomi.pdf
SUUMOジャーナル「2025年1月から不動産取引の囲い込み規制が始まる」https://suumo.jp/journal/2024/12/18/206752/
宅地建物取引業法第34条の2(媒介契約・業務処理状況の報告義務)、同法第65条(指示処分)
