腹が減っては・・・零戦搭乗員の食事とトイレ事情
今回は零戦搭乗員の食事事情とトイレのお話です。
日本人なら誰もが一度は聞いたことのある零戦。デビュー当時、世界が驚愕したのはその強さだけではありませんでした。遠くまで飛行できる航続距離の長さが異常だったのです。その性能は他国の戦闘機の平均の約3倍。
長い時間飛行できるということは、長時間座席に座ることになります。そうするとお腹も空くし、出したくもなります(^^)
今回はその搭乗員たちの食事とトイレの事情について語ります。

◆広い洋上での孤独な長時間任務
太平洋戦争中の日本海軍航空隊は、洋上での作戦が多かったので非常に長い時間を飛行する必要がありました。
零戦も、空戦性能の良さばかりが取り沙汰されていますが、実は航続距離が非常に長いというのが最大の魅力だったかもしれません。
当時の各国の戦闘機は1,000kmがほとんどでしたので、約3倍もの後続距離を出す零戦は、連合各国に衝撃を与えたと思います。ドイツのBf109Eに比べて約5倍です。
その作戦行動時間も、約8時間近くもありました。これも欧州大陸での戦闘機たちの行動時間の約2,3倍はあります。

◆航空機搭乗員たちの食事事情
日本海軍の規定では、普通の兵員が食べる「基本食」の他に航空機搭乗員に対する食事が用意されていました。
「常時増加食」〜パイロットなどの搭乗員に対する食事。通常の基本食より栄養あり。
「航空時増加食」〜2時間以上の作戦で高度3千m以上の任務に就く時に支給される増加食。
「航空応急食」〜3時間以上の飛行任務で支給される、いわば弁当。
この航空応急食はこんな感じです。

海苔巻きは、「ラボール巻キ」と言われ、航空手袋と操縦桿を握ったままでも食べられる工夫がされています。乾燥を防ぐためのパラフィン紙が巻かれていますが時代を感じますね。
単なる海苔巻きのようにも見えますが、一応「携帯が容易であること」「腐敗しにくいものであること」「汁気が少なく崩れにくいものであること」「香味が強く食欲を増進させるものであること」「少量をもって副食の用をなし、栄養多く、かつ腹持ちがよいものであること」「簡単に食することができるものであること」などの条件をクリアして開発されたものであるそうです。
中身は、紅ショウガ、かんぴょう、梅肉、おかかなどだそうで。
試食レビューはこちらにあります。
→零戦搭乗員が食べていた機上携行食を再現した「ラボール巻キ」試食レビュー
なんで「ラボール巻き」というのかを調べてみたのですが出てきませんでした。ラボールとは、勤労とか労働とかいう意味なので(Labor)、労働しながら食べられる携行食という意味なのかな。
でも当時の敵性語を使って良いんでしょうかね。ちょっと疑問。海外ではサンドイッチになるんでしょうか。
零戦のパイロットたちは航空搭乗員の中でも最も過酷なものでした。何時間もかけて敵の領内に行って戦闘して、生き残って、また何時間もかけて基地へ戻る・・・。
戦闘には生き残れたものの、疲労困憊して帰還できなかった者、計器航法を誤って燃料切れで広い洋上の中で不時着、遭難した者も多かったと聞きます。体力、気力の限界に挑んだ彼らにとって、このような食事の一時が楽しみだったかもしれませんね。

◆零戦のコクピットの中はとても臭かった?
普通に考えても、8時間も座りっぱなしだと、人間の生理現象として色々と身体に中に入れたり、出したりすることもありますよね。
戦闘に不要なモノを一切省いた兵器が戦闘機な訳ですから、当然トイレはありません(爆撃機や飛行艇には装備されている機種もある)。
小の場合ですが、支給されたラムネ瓶や袋の中に入れるそうですが、狭いコクピット内ではそれさえも大変だったようです。
革手袋をしていますし、片手で操縦桿を握り続けていますので、誤って服にこぼしたりもしょっちゅうだそうで。
風防を空けて外に投げ捨てようとして風圧で顔にかかってしまった話も。中にはそのまま座席に垂れ流すこともあったそうで。
当然クッション代わりに下に引いてある落下傘にも染みて、臭くなり、整備兵はその後の掃除が大変だったみたいです・・・。
大の方は・・・我慢するしかなかったそうですが、それでも我慢の限界にきたら・・・汗
とある搭乗員は「こんな長時間も乗れる戦闘機を作りやがって!」とぼやいたとか(;^ω^) 。

