フェアトレード紅茶プロジェクト第5回「筆が語る、心の色。」〜tomoniartの制作現場を訪ねて〜
月に一度、ともに福祉会で開かれるアートの時間。
この日は、フェアトレード紅茶のパッケージデザインをお願いする「tomoniart(トモニアート)」の制作日にお邪魔してきました。自由で温かな表現が生まれる現場の雰囲気を感じていただけたら幸いです。
講師は銅版画家として活動されている臼井千晶先生。
臼井先生とともに福祉会の偶然の出会いから始まったこのアート活動、最初は小さなきっかけでしたが、今では毎月の恒例行事として、多くの方が楽しみにしている時間になっています。

画材も表現も、ぜんぶ自由
工房に入ると、すでに活動が始まっていました。
アクリル絵の具、水彩絵の具、パステル、ポスターカラー、水性インク……。使う画材は人それぞれ。テーブルの上には、思い思いの作品が並び、筆を動かす手には集中とリズムが宿っていました。
ある人は、アクリル絵の具で抽象画のような世界を描き、ある人は水彩で細やかな色の重なりを試しています。「今日はいろんなグレーを作る日」と、色の絶妙な配合にじっくり向き合う人、「最近はことわざにはまっているの」と説明しながら筆を動かす人、それぞれのキャンバスは楽しくおしゃべりをしているようです。

モチーフ選びも個性的。
臼井先生が「家で眠らせておくより、アーティストたちに見てもらったほうが価値がある」と、惜しみなく提供する画集や雑誌には、自然、人物、動物、風景など、さまざまな刺激が詰まっています。
この“自由に触れられる”環境こそが、表現の奥行きを広げているのだと感じました。

“その人らしさ”がにじむ一枚
tomoniartの看板作家の一人でもあるあべゆうじさんにもお会いできました。石川さんに勧められるままにゆうじさんの前に腰かけると、ゆうじさんは大きな瞳でこちらをまっすぐ見つめ、迷いなく画用紙にクレヨンを滑らせていきました。そう、ゆうじさんは似顔絵も得意なのです。

肩から上に向かって描いていく独特のスタイルですが、不思議なことにきちんと頭の上まできれいにキャンバスのなかに収まります。その技術の妙を見られるライブ感もまたアート。途中で水彩絵の具に持ち替えやさしい色を重ねていくゆうじさんと、なんともいえない穏やかな時間を共有することができました。

さて、制作時間も終盤。様々な作品が仕上がりました。
にぎやかな色、淡く繊細なタッチ、塗り重ねの深み…どれも“その人らしさ”がにじみ出ていて、まるで自己紹介をしてくれているようでした。
ここからうまれる「想い」の詰まった紅茶をぜひ味わってほしい
これから、この場所で生まれたアートが、紅茶のパッケージとして形になっていきます。
ただの“デザイン”ではなく、そこに込められた想いが、手に取る人の心にも届くように、ここからが私たちの腕の見せ所です。
紅茶の香りとともに、誰かの世界の一片がそっと広がっていく――
そんな風景を想像しながら、今日の訪問を締めくくりました。
