答練を一周もできないまま修了考査を受けた話
前職の同期からラインが届いて、初めてその日が合格発表日だったことを知りました。
おめでとう、という一言を見て、結果を確認しました。合格でした。合格とわかったとき、嬉しさよりも反省と後悔の気持ちの方が大きかったです。
準備不足のまま受験した
修了考査を受けたのは、シンガポール移住が迫っていた時期で、準備の時間は極めて限られていました。お盆の時期と試験直前の考査休暇を使って詰め込むしかなかった。
どのくらい準備が足りなかったかというと、答練を一周することさえできませんでした。
かつて論文式試験を受けたときのわたしは、毎回の答練でランキングに載ることを目標に、範囲をほぼ完璧に仕上げてから試験に臨んでいました。そのときのやり方と比べると、修了考査の準備はまるで別人のようでした。
受験中も終わった後も、落ちたと思っていた
会計・監査・経営は論文式試験で積み上げた知識がそのまま通じた部分がありましたが、税と倫理は修了考査で初めて問われる範囲が多く、試験中に手が止まる場面が何度もありました。
試験会場を出たとき、ほぼ諦めていました。それどころか、現実逃避していたのか、合格発表日がいつなのかも把握していませんでした。落ちた前提で次のことを考えていたというより、考えること自体を後回しにしていました。
結果は総点数B、会計B、監査B、税D、経営B、倫理C。税と倫理がDとCというのは、ギリギリという言葉でも足りないくらいです。
嬉しさよりも、反省の方が大きかった
合格したのに、なぜ素直に喜べなかったのか。
ひとつは準備不足への後悔です。答練を一周もできない状態で受験したのは間違っていた。今回合格できたのは論文式試験の知識が土台にあったことと運が重なったからで、再現性がない。もし落ちていても言い訳できない準備でした。
もうひとつは、合格後に感じた怖さです。出題範囲の完成度に関係なく、登録後には対外的に公認会計士と名乗れてしまう。クライアントはわたしのことを会計税務のプロフェッショナルだと認識するし、何を聞いてもちゃんと正解を答えてくれると期待する。でも自分はもちろん完璧ではない。その期待と実態のギャップが、嬉しさを上回りました。
ただ、だからこそ勉強を続けるモチベーションにもなっています。公認会計士という肩書に見合う専門家であり続けるために、実務の中で知識をアップデートし続けることが必要だと強く感じた合格発表でした。
修了考査の対策、わたしの失敗から学べること
修了考査はみんな十分な時間が取れない中で準備するものです。なので理想論ではなく、限られた時間でどう動くかという話をします。
できるだけ論文式試験と同じ予備校にした方がいいと思います。わたしは論文のときと違う予備校に申し込んで、これが失敗でした。特に会計や税務の計算問題では、下書きの方法が予備校ごとに違うことがあります。時間が限られている中で新しい下書き方法をマスターするのは非効率です。テキストの構成も少し異なるので、論文時代に血肉になるまで読み込んだテキストとは違うものを読む違和感が積み重なりました。
論文時代のテキストも積極的に活用した方がいいです。特に会計・税務の計算で論文時代から改正がない論点は、修了考査の予備校テキストより論文時代のテキストを見た方が頭に入りやすいです。
授業は税務だけ、修了考査で新しく出題される範囲と論文時代から改正があった範囲に絞って受けると効率がいいと思います。それ以外の科目はテキストを読めば対応できます。
答練は税務だけ解くことをおすすめします。税務は論文式試験と修了考査で出題形式がかなり違うので、答練で慣れる必要があります。わたしはこの形式の違いに苦戦して、論文でも出題範囲だった箇所すらうまく解けませんでした。それがD判定の原因です。それ以外の科目は答練を解くより、問題と答えを確認してテキストの該当箇所に印をつけ、その部分だけ読む方が時間対効果が高いと感じています。
あとはテキストと例題を繰り返して、どれだけ広い範囲の完成度を上げられるかです。その完成度が、合否と各科目の判定を決めると思っています。
合格してから変わること
修了考査に合格すると、JICPA(日本公認会計士協会)の正式な会員として登録できます。ようやく、正式に公認会計士として名乗れるようになります。
ただ、登録までには数ヶ月ほどかかるらしく、周りに同じタイミングで登録を進めている人がいないので、自分で能動的に情報を取っていく必要があります。
わたしの場合はシンガポールにいるので、JICPA会員になることでCA Singaporeへの準会員申請ができるようになります。これはシンガポールの会計士コミュニティに正式に足を踏み入れる第一歩として、以前から目標にしていたことです。
論文式試験に合格してから数年、ようやく正式なスタートラインに立てた気がしています。そこからが本番だという気持ちの方が、強いです。
