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✨『転勤・帯同』キャリアを手放さないために ~女性だからこそ歩めるキャリア:3章④ライフステージ編~

✨シリーズ記事『女性だからこそ歩めるキャリア』 3章④:『転勤・帯同』キャリアを手放さないために


ある日突然、パートナーから言われます。

「転勤が決まった」

辞令は1ヶ月前。
熟考する間もなく、次々と決断しなければならない。

ついていくのか、単身赴任にするのか、自分の仕事はどうするのか。

「一生懸命働いても転勤が決まれば辞めることになり、また未経験からスタート。キャリアや経験が積み上がらず、夫の転勤が続く限り、この繰り返しかと思うと…」

これはある女性の言葉です。


🏢 転勤制度は、なぜ存在するのか

まず知っておいてほしいのは、転勤制度がなぜ存在するかという「企業側の本音」です。

企業が転勤を命じる理由は大きく3つです。

人材育成(様々な地域・業務を経験させる)
人員配置の柔軟性の確保(欠員が出た拠点への即時補充)
マンネリ化や不正の防止(同一部署への長期滞在を避ける)

これらは「社員のため」という建前がありますが、本音は「企業が人材を自由にコントロールしたい」という配置命令権の行使です。

日本のメンバーシップ型雇用において、従業員は「不当な動機・目的」などに該当しない限り、転勤を拒否できません。
企業は法的に強力な人事権を持っており、転勤制度はその行使手段の一つです。

そしてこの制度は「夫が働き、妻が専業主婦」というモデルを前提に設計されてきました。
共働きが標準になった今の時代に、この前提が合わなくなってきているのは明らかです。

でも制度の変化は遅く、その間にも毎年約2万人の女性が転勤を理由にキャリアを手放しています。


📊 企業側の最近の動き

転勤制度をめぐる企業の動きは、ここ数年で変わりつつあります。

エン・ジャパンの調査(2024年)によると、転勤の辞令が出た場合に退職を考えると答えた20代は68%。
転勤を理由に実際に退職した人も31%に上っています。

就活生の19.4%が「転勤がある会社は受けない」と回答しており、転勤制度の存在が採用に影響する時代になっています。

こうした背景から、先進的な企業では転勤制度の見直しが進んでいます。

ニトリHDは2023年、「転勤なし・報酬の減額なし」のマイエリア制度を導入。
転勤制度そのものの廃止・縮小、リモートワーク活用による転居不要の異動なども増えています。

ただしこれらはまだ一部の企業に限られます。

従業員500人以上の企業では77.7%が転勤制度を現存させています。
就活・転職時に「この会社の転勤の実態はどうか」を具体的に確認することが重要です。


⚖️ 3つの選択肢と、それぞれの現実

転勤が決まったとき、選択肢は大きく3つあります。

①ついていく(帯同)
家族が一緒にいられる。
でも仕事を辞める・または大幅に変える必要が生じることが多い。
新しい土地で一から保育園・医療・コミュニティを作り直す負担がある。
実家のサポートからも切り離され、孤独を感じることが多い。
育児の負担は女性に偏りやすく、転勤先でも同じ構造が繰り返される。

②単身赴任
自分のキャリアを継続できる。
でも育児・家事を一人で担う重さ、経済的な二重負担(家のローンと夫の生活費)、精神的な孤独が伴う。
子どもが小さいほど、この選択の重さは大きい。

③パートナーに転職してもらう
2人のキャリアを対等に扱う選択肢として、パートナー自身が転勤のない働き方に移るという選択があります。
「転勤前提の会社に勤め続けること」が唯一の選択肢ではないことを、2人で話し合えているかどうか。
結婚前から「転勤の可能性がある会社かどうか」を確認しておくことも、長い目で見たキャリア設計になります。

どの選択も「正解」はありません。
でも「当然ついていくもの」という前提で考えているとしたら、その前提を一度疑ってみてほしい。


🌍 海外帯同という特別な問題

転勤の中でも、海外赴任への帯同は特に複雑な問題を持ちます。

◆ビザの問題:必ず事前に確認を

夫の海外赴任に帯同する場合、妻には「配偶者等ビザ(帯同ビザ)」が発行されます。

しかし国・地域によっては配偶者ビザでは就労できない場合があります。
またそもそも夫の会社が帯同家族の就労を禁止しているケースも存在します。

マーサーの調査(2023年・299社)では、帯同配偶者の就労に対する企業の方針は様々で、就労を積極的に支援している企業がある一方、就労を禁止している企業も存在するという結果が出ています。

帯同を決める前に、夫の会社の方針と現地のビザ制度を確認することは必須です。

後から「働けなかった」という状況になることを防ぐために、この確認を帯同の意思決定より前に行ってほしい。

◆現地でのキャリア形成の選択肢

就労できる環境であっても、海外での仕事探しは容易ではありません。
言語の壁・現地労働市場への理解・職歴の評価方法の違いがあります。

ただし海外での経験・語学力の向上・国際的な人脈形成は、帰国後のキャリアに大きなプラスになりえます。

現地での選択肢として、
・リモートワークで日本の会社に在籍し続ける
・現地採用として就職する
・フリーランスとして活動する
・現地の日系企業で働く
・ボランティア・NPO活動でスキルを維持する
などが考えられます。

◆帰国後のギャップ

海外帯同から帰国した後、日本の労働市場への再参入が難しいケースがあります。
・帯同期間中に何をしていたかを説明できるようにしておくこと
・スキルを維持・向上させる機会を意識的に作ること
・帰国後のキャリアを見据えた準備を帯同中からしておくこと
が重要です。


💡 帯同前に確認しておくこと

帯同を選ぶ前に、パートナーと確認しておいてほしいことがあります。
帯同を決めてから後悔しないために、これらの問いを2人で持てているかどうかが重要です。

◆転勤期間の見通し
いつまで転勤が続くのか。
次はどこに転勤になる可能性があるのか。見通しがあるかないかで、自分のキャリア設計が変わります。

「何年後に戻れる」という見通しがあれば、それを前提にキャリアを設計できます。

◆育児の分担
転勤先でも育児の分担はどうするのか。
転勤先では実家のサポートもなくなります。

「ついてきてくれればいい」だけでなく、「転勤先でも育児を一緒に担う」という具体的なコミットメントがあるかどうか。

◆キャリア復帰への支援
帯同中に自分のキャリアが中断した場合、その後の復帰をパートナーはどう支援するか。

「ついてきてくれればいい」だけでなく、「あなたのキャリアをどう一緒に守るか」という問いを2人で持てているかどうか。

◆帰国後・転勤終了後の計画
転勤が終わった後、自分はどんな状態でいたいか。
そのためにこの期間に何をするか。

漠然と「帯同期間が終わったら考えよう」ではなく、今から設計しておくことで、帯同中の行動が変わります。

◆海外帯同の場合のビザ・就労確認
前述の通り、ビザの問題は帯同を決める前に必ず確認しておく必要があります。


🌱 帯同を選んだ場合:キャリアを手放さないために

帯同を選ぶことは、キャリアを完全に手放すことと同じではありません。
「ブランクがあっても、その期間に何をするかが大事」という視点があります。

◆リモートワーク・フリーランスという選択
場所を選ばない働き方の広がりにより、帯同しながらキャリアを継続できる可能性は以前より広がっています。

前職でのスキルをフリーランスとして活かす、リモートで同じ会社に在籍し続けるという形も現実的になってきています。

◆資格・スキルの取得
帯同中の時間を「学び直し」の期間として使う選択肢があります。
転勤妻としてキャリアを中断した後、資格取得によって新しい職種にチャレンジすることも可能です。

◆人脈のオンライン化
転勤のたびに人脈がリセットされてしまうという問題があります。

オンラインコミュニティ・SNSでのつながりを意識的に維持することで、場所を超えたキャリアのネットワークを育てられます。

◆「この帯同期間で何を得るか」という主体的な視点
単なる「帯同」ではなく「この場所で自分は何を得るか」という視点を持つことで、転勤という経験がキャリアの資産になることがあります。

新しい地域でのボランティア・コミュニティ活動・異業種との出会いが、その後のキャリアの転換点になった例もあります。


🌿 「当然ついていく」という前提を疑ってほしい

転勤・帯同という問いは、女性にだけ生じます。
男性は「妻がついてくる」ことをほぼ前提にキャリアを考えられます。

この非対称は、個人の問題ではなく転勤制度が専業主婦前提で設計されてきたという社会構造の問題です。

「当然ついていく」という前提ではなく、「どの選択が2人にとって最善か」という問いを2人で持てているかどうか。

企業の転勤制度の本質を知った上で、自分たちの選択を自分たちで設計してほしいと思っています🌿


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児玉麗|キャリアコンサルタント/HSPカウンセラー 記事を気に入っていただけたら、サポートしていただけると嬉しいです。 いただいた応援は、これからの記事づくりの励みにさせていただきます。