見出し画像

クェーカー詩人 ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア(John Greenleaf Whittier)

武士道 第17章 #62 の 英文は、新渡戸稲造の著作『武士道』の結びで引用された、アメリカの詩人ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア(John Greenleaf Whittier)の長編詩『Snow-Bound(雪のなかの密室)』の一節です。
 「クェーカー詩人」と呼ばれるホイッティアと、彼が所属したキリスト教の一派「クェーカー」について説明します。

ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア(1807–1892)
 
19世紀アメリカの著名な詩人で、奴隷制度廃止運動などの社会正義に尽力した「人道主義の詩人」として知られています。アメリカ北東部の農村に生まれ、敬虔なクェーカー教徒として育ちました。彼の詩は素朴で自然を愛し、日常の美しさや道徳的な精神を主題としています。質問文で引用されているのは、過ぎ去った武士道の精神が、いつか忘れ去られた後も人々の心に漂い続けることを、ホイッティアの詩になぞらえた新渡戸稲造の美しい比喩です。

クェーカーとは何か
 
正式名称を「キリスト友会(Religious Society of Friends)」といい、17世紀半ばのイギリスでジョージ・フォックスによって創設されたキリスト教プロテスタントの一派です。主な特徴は以下の通りです:

  • 平和主義と非暴力: 戦争や暴力に反対し、いかなる状況下でも誠実さと平和を重んじます。

  • 内なる光: 牧師や特定の教義に頼るのではなく、すべての人間の中に神の光(内なる光)が宿っていると考えます。

  • 平等の実践: 神の御前ではすべての人が平等であるとし、礼拝では沈黙を大切にします。

  • 質素と社会奉仕: 嘘をつかないこと(宣誓の拒否)や質素な生活を実践し、教育、貧困救済、人種差別撤廃などの社会活動に深く関わってきました。

 新渡戸稲造自身もクェーカー教徒であり、彼が著書『武士道』において描いた「武士道精神の普遍的な道徳性」の背景には、このクェーカーの平和主義や博愛精神が深く影響していると言われています。

John Greenleaf Whittie (1807–1892)


ジョン・グリーンリーフ・ホイッティア(John Greenleaf Whittier)は、19世紀のアメリカ合衆国で活躍したクエーカー教徒の詩人であり、強力な奴隷制廃止運動家(アボリショニスト)です。 [1, 2]
ロングフェローらと並び、家庭の暖炉のそばで親しまれた「ファイアサイド・ポエッツ(炉辺詩人)」の一人に数えられます。彼の生涯と主な実績は以下の通りです。 [1]

経歴と人物像

  • 生い立ち: 1807年12月17日、マサチューセッツ州ヘイブリルの小規模な農家に生まれました。

  • 信仰と信念: 生涯を通じて熱心なクエーカー教徒であり、その平和主義と不条理への抵抗精神が彼の執筆活動の基盤となりました。

  • 政治と社会運動: 1830年代から奴隷制廃止運動に深く傾倒し、機関誌の編集やマサチューセッツ州下院議員としての活動を通じて、政治・道徳の両面から奴隷制を激しく批判しました。 [1, 2, 3, 4, 5]

主な作品と文学的功績

  • 『スノー・バウンド(雪縛り / Snow-Bound)』: 1866年に発表された、彼の最高傑作とされる長編詩です。ニューイングランドの厳しい冬の雪嵐のなか、暖炉を囲む家族の情景をノスタルジックかつ美しく描き、南北戦争後のアメリカ国民の心を癒やしました。 [1, 2]

  • 反奴隷制の詩: 奴隷解放を祝福した『ラウス・デオ(神を賛美せよ / Laus Deo)』など、正義と人権を訴える情熱的な作品を数多く残しました。

カリフォルニア州の都市「ホイッティア(Whittier)」は、彼の功績とクエーカーの精神を称えて、彼の存命中にその名が付けられました。彼は1892年9月7日に84歳で亡くなりましたが、アメリカ文学と社会改革の双方に深い足跡を残した人物として今も記憶されています。

関連記事:武士道 第17章 #61  #62





いいなと思ったら応援しよう!

橋本 このたびはご評価をいただきありがとございます。また、チップまで下さるとは私にとって大変な喜びです。さらに英文訓読の役を進め、アップさせていきたいと思います。