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雅へと繋がる七条駅

目に優しい明るさ…
照明が抑えられているのか、だだっ広い地下駅だから そう感じるのか分からない…。
まるでベール……
(薄霧がかったトンネル…)
とでも言おうか…
ちょっとだけ もぐった気にさせる…。
朝夕の通学時間でなければホームは静か。
この空間が、鴨川べりの地下かと思うと、 わざわざ感じなくてもいい湿気が気になる。
自動改札の電子音が天井を突くとバタンと扉が振り切って開く。
地下道には三十三間堂のレリーフ。
冷たいタイル壁に、絵が簡素な彩りを添えている。
清盛秀吉色 濃い七条…。
その中にあって博物館は 何故だか違和感がない。

京都国立博物館…

私の中では
「博物館」と言えばここ……
京博…とも言わない。

伊勢神宮を神宮と言うようなもの…。
東京の博物館も想い出深いが、時代を超え周辺ごとまきこむ圧倒的な力は、ここでしか味わえない。
東京には東京の味がある…。
それは また
別の機会に譲っておく…。

時代は令和へ…。
今の新しい博物館は、クセがなくスタイリッシュな理由で景観の邪魔をしないが、旧館はレンガという明治を象徴する自然由来の素材力で
東山に馴染む。
今は無き
常設を展示したコンクリートの旧館は、建設当時、その時代の先端をいく箱だったと思う。
厳しい京都の寒暖に色づき、それはそれで意味ある建造物に見えた。
コンクリートと巨大なガラスで美をくるんだ箱…。
かの有名な火焔土器は、たいていひとつ 独立ケースに置かれた。
経塚関連の出土資料も沢山出ていた。
天橋立図も同じ展示室で見る機会が多かった。一見地味だが天龍寺青磁の大きな花入れも忘れられない…寄贈者の名前が あるものもいくつか目にした…。
ペタペタと足音響く室内…。
観る…というより歩いて感じる建物。
ごちゃごちゃと…  雑然と…
考古資料から近代まで
時代を巡っていく楽しみがあった。
どちらかと言うと夏は涼しく冬は寒いイメージ…。
そして
あのコンクリート独特の匂い。
防虫なのか燻蒸なのか、はたまた当時の力任せの空調の匂いか……。
あるいは
体育館奥に仕舞われたマット……
その倉庫が醸す匂い……時と共に誇張されゆく鼻の記憶……。

今の新しい博物館には無い匂い。

匂いの想い出は、昔の蛍光灯の白光とセット…… 神経の隅 奥底に染み付いて離れない……。
少しのコインで、沢山の歴史の息づかいを受け取った。
閉館ギリギリまで粘ったことも多い。
早足で門を出て
来た坂道をくだる。
博物館に行くためだけの駅に向かって…。
思えば 博物館を訪ねる時は
ほとんど寄り道をしたことがない。
そう……
昔七条は地下駅ではなかった。
鴨川が見える所まで出て
昔線路だったあとをしのんでみる…。
翳る陽に なんとなく合掌
車窓の記憶を辿りつつ
気を取り直して地下へ…。
たちまち鼻撫でる
水気の匂い。
種類は違うけど、あの昔の博物館の匂いと駅の匂いは微かに似たところがある。
地下駅と博物館……
わたくしごと
切っても切れない関係は
今後も解消されることなく
続くだろう。
三条
四条
五条とは
違う風吹く駅。

チャージするカードではなく
たまにはコインで
切符を買うのもいい…。

そう悪くはない
あの頃の感触が
よみがえってくるから…。

















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阿毘羅亭日乗 お心お寄せいただきありがとうございます。お考えいただきましたこと厚く御礼申し上げます。