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山岡家で因縁勃発!(11/9伊佐沼大会)

えすぽわーる伊佐沼。

オシャレなアパートみたいな名前のここが今回の試合会場である。

大会開催が発表されたその日から初めて行く会場だと思っていたが‥

目の前に広がる沼、天井にぶら下がったミラーボール、会場内を取り囲む大量の謎の赤いカーテン‥

これらを見ると瞬時に思い出した。

この会場は来たことがあると。

それと同時に嫌な思い出が蘇ってきた。

あれはもう何年だったか、確かリングアナを始めて一年も経ってないくらいだ。

シングルマッチが行われていた。

試合は丸め込み合戦になり2.9カウントの攻防が続き、最終的に両選手の肩がマットに付いてレフェリーは両手でカウントを数え始めた。

「ワン!ツー!スリー!」

そのまま2人の肩がマットについたまま決着した。

いわゆる"ダブルフォール"という決着である。

当時ズブの素人だった私は(今も素人丸出しだが)ゴングを叩いた後、何のコールをすることもなくしばし呆然としてしまった。

そう何を隠そう"ダブルフォール"というルールを知らなかったのである。

その後レフェリーが手を挙げて

「ダブル!」

と宣言。何もわからない私はとりあえずマイクで

「ダブル!」

と叫んでみた。

何がダブルなんだとポカーンとするお客さんを見て焦った私はさらに

「只今の試合はダブルでございます!」

と、再び謎の宣言。

ダブル!ってなんなんだと呆気に取られているお客さんを見てリング上からW田K平レフェリーが

「なにがダブルだ!」

とこちらに向かって叫んできた。

あまりの鋭いツッコミに会場からは笑いが起きてしまった。

私のせいで緊迫感のある試合が台無しになってしまったのであった。

その後、裏でW田K平レフェリーにみっちり怒られたのは言うまでもないが‥

そんな懐かしい思いを抱えつつ、大会は感動の終了。

終了後には夕飯として会場の近くにあった山岡家にみんなで行くことに。

リングスタッフ数名と元レフェリーF田さん、それに同伴していた練習生Xで店に向かう。

聞いたところによると練習生Xはかつて、山岡家のラーメンを年間50杯食べるという前人未到の偉業を達成し、山岡家界のバリー・ボンズの異名を欲しいままにしていたそうだ。

さらに50杯食べたものだけが辿り着ける境地、全ての山岡家ファンの憧れである山岡家TシャツをGETしたこともある筋金入りの山岡家マニアであるとのこと。

有効期限がある為、1年以内に50杯食べなければならないのである。


おそらくここ一年は毎日ちゃんこしか食べてないであろう練習生Xはラッキーパンチで山岡家にありつけることになって鼻息を荒くしていた。

店舗に到着。

着くやいなや、店舗の前に広がる光景に我々一同は驚愕したのである。

とんでもない大行列だ。

推定1時間から2時間は並ぶのではないかというような長蛇の列。

たかがラーメン一杯にこんなに並ぶのか‥

しかしスタッフの中には山岡家を人生で一度も食べたこともないというメンバーもいたのでせっかくの機会だからと長期戦覚悟で列に並ぶことにした。

それぞれが歯を食いしばり握りこぶしを固めて、これから1時間以上続くであろう死闘に向け覚悟を決めていたところ、1人の男が突如声を荒げた。

元レフェリーF田さんだ。

「私は何時間も並べないんで帰りますから!」

なるほど、たしかにそれも正解である。

ラーメン一杯、しかもチェーン店のラーメンに1時間以上も並ぶなど常人から考えたら狂気の沙汰なのかもしれない。

しかし、隣で悲しそうな顔をしている男がいる。
練習生Xである。

練習生XはF田さんに同行しているため、F田さんが帰る場合は強制的に練習生Xも帰らなければならないのである。

練習生Xにとって一年ぶりにたどり着いた山岡家が蜃気楼だったかのように目の前から消えていってしまったのである。

スタスタと帰っていくF田さんの後ろを悲しそうについて行く、山岡家を愛し山岡家に愛された男、練習生X。

悲哀に満ちた後ろ姿を見つめながら我々は声をかけることもできず、ただただ無言で列に並び続けるしかなかったのであった。

結局、残された我々がラーメンを食べることができたのは練習生Xが山岡家を去ってから1時間半後のことであった。

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