大事件勃発!(9/8後楽園ホール大会)
N-1 VICTORY 2025開幕。
開幕戦にふさわしい激闘に次ぐ激闘で後楽園ホールはまさに熱狂空間と化していた。
そんな大盛況の後楽園ホール大会の裏側でひっそりと、力道山先生から始まった70年以上にもなる日本プロレス史を揺るがしかねない、トンデモない大事件が発生したのであった。
それは大会開始前のこと。
我々スタッフはリング設営を完了し、試合の準備に取り掛かろうと各々の着替えを始めたその瞬間、
「忘れたー!」
と叫び声が聞こえてきたのである。
その耳をつんざくような大声に周囲のスタッフは全員振り返る。そしてもう一声。
「忘れたー!」
「学校へ行こう!」の未成年の主張を彷彿とさせる大声に周囲のスタッフはイノッチと長野くんばりに全員駆け寄る。カーペンターズのイエスタデイワンスモアもしくは青春の輝きあたりが流れてもおかしくないシチュエーションだが、叫んだ当の本人は様子がおかしい。
叫び声の主はN永レフェリーである。
普段から多くを語らない寡黙な男としてレフェリー界のスティーヴン・セガールの名を欲しいままにしている男の突然の叫び声に周囲のスタッフは皆驚いた。
N永レフェリーの方を見ると明らかに普段とは違う青ざめた表情、瞳孔が開いた目、いつもとは違う明らかな異変、8番出口なら間違いなく引き返さなければならない様子である。
誰からともなく
「どうしたんですか?」
と問いかける。すると
「レフェリーシャツを持ってくるの忘れた!」
とのこと。
これは一大事だ!
レフェリーにとってレフェリーシャツと言えばもはや体の一部である。
大谷翔平のバット、錦織圭のラケット、ゴー☆ジャスでいうところの地球儀を忘れたも同義である。
さあどうするか?
それぞれアイデアを出し合う。
「上半身ハダカでやったらどうですか?」
下はレフェリーの黒いパンツ、上は裸。
どこかで見たことあるこの姿は江頭2:50およびエスパー伊東スタイルそのものである。
これでは選手の入場曲の前に布袋寅泰のスリルかエレクトリカルパレードを流す必要が生じる。大会進行の大幅な遅れ、そして何よりもレフェリーとしての威厳があったものではない。
却下。
「上だけシャツ着たらどうですか?」
下はレフェリーパンツ、上はシャツ。
その昔、巨人vs阪神で乱闘になった時、慌ててベンチ裏のロッカールームから飛び出してきた清原と同じ格好である。
さすがに清原乱闘スタイルでリングに待ち構えていては入場してきた選手に星野仙一ばりに一喝されること必至である。
却下。
「僕のを貸しますよ」
中山レフェリーが名乗り出た。
しかし、これも問題がある。
レフェリーシャツは特注品であり、各人それぞれサイズが違うのである。
その昔、ダルビッシュがユニフォームを忘れ、新人からユニフォームを借りて
「背番号29 YAGI」
と背中に書いてあるユニフォームで登板、どう見てもサイズがピッチピチだったことがあるがその状況になりかねない。
いくら厳格なN永レフェリーといえどダルビッシュ八木状態、あるいはイ・スンヨプ鴨志田状態では観てる方も試合どころではない。
却下。
アイデアも出尽くし八方塞がりとなったその時、グッズスタッフの人が登場し、その手にはなんとレフェリーシャツを持っているのである。
聞けばN-1開始を見越してレフェリーシャツも新しいものにしようと発注していたというのである。
間一髪、新しいレフェリーシャツを手に入れて、プロレス史に不名誉な出来事を聖地・後楽園ホールで刻むことなく乗り越えることができたのである。
後楽園ホール大会が終わり長期巡業が始まる。
忘れ物には気をつけたい。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもありがとうございます!
チップが貯まったら茨城県に村を作ります、宜しくお願い致します!